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神華牡丹学園物語  作者: 瑞目叶夢
1章華人の不安と仇の顔
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桜を獲るため捨てる野花

千李は必死に影姫の踊り方と風火水狐の踊りを覚えた。

11月23日建国祭の日代表として鈴里村と神華学園、そして葉人学校の牡丹学園の生徒達の前で半端なものは見せれない!

純血の姫、影姫と踊る上に代表なのだ混血だからと言われないよう、完璧で立派な舞をしなくてはいけない

とまぁ本人は緊張しているが、体術にかけては天才的な千李はすぐに舞を覚えたし

人から見れば完璧に影姫のリズムに乗って舞っている


影姫と千李の舞を見てポツリと美羽が呟いた。


「千李、本当は、あんなに舞えるんだ・・・・」


今まで自分が足を引っ張って居たんだなと思うと美羽は、寂しくなる

私ももっと頑張ろうと駘瞿と練習を再開して、すっかり舞えるようになった真望と一緒に癒澄に教えをこうのだった。


そして来たる23日


みんな、華やかな華服を着て、女子は自分の扇を胸に鈴を腰に、男子は飾り木刀を腰に刺しシルクを帯に巻き、花壇前に集まっている、

そして、順番に学園バスや朧車、地獄牛車(大きな黒い牛6mほどの大きさ)などの車や上級生は自分のキントウンに乗って空や森の道などから桜城に向かう

窓から外を見れば精霊たちが森から出てきて、その一行を見ている、

精霊の月光で光る体で森が輝き、囁きや歌い声で心が踊る

桜城に付くと、市役所部分から奥に通される

千李達は一緒に行動していて、ライラーズと永禮達も一緒にいる

白雅が水神と手を取っていて

鍔と凛々亜が仲良さそうに歩いていて

永禮の相手は産咲では無く雅だった。


「あれ?永禮先輩、産咲先輩は?」


千李が永禮に聞く


「産咲は、二の婚約者と居る」


みんなびっくりだ、産咲に2人目の婚約者が居たとは

癒澄がワクワクしながら聞く


「どんな方なんですか!?」


キラキラと恋の話に目を輝かせていた癒澄の目はすぐに不安な色に変わる


「鷺家の次男だ」


「鷺家って・・・脈羅先輩の弟ってことですか?」


癒澄は、不安そうに言う

みんな思いは一緒だ、あの脈羅の弟?

そこに白雅が朗らかに言う


「安心しなよ、(ほむら)は脈羅と違って生真面目だけど人を馬鹿にしたりしないからさ、産咲にも丁寧に接するし、口数が少ないのが玉に瑕だけど悪いやつじゃないよ」


白雅にそう言われても中々6人は納得できず顔を見合わせる

そこに瑙虹と瑙銀が声を上げる


「来たぜぇ、初等部の王子と」


「切り花の姫のご入場だ」


6人はそっちを見ると

黒髪のまだ幼さが残るが厳格そうな顔の男の子と。いつも通りぼーとしてる産咲が入ってきた。

周りがざわつくがそんな事は関係ないと言うように男の子は産咲を完璧にリードしている、あからさまに嫌味を言う人間には睨みつけて黙らせている

なんだ、思ったよりも悪くないのかと6人は思った。


そこに九頭竜が来る


「金帯と淡金銀とそのパートナーが何故まだここに居るんですか、早く入り口に並びなさい」


「え、」


千李がびっくりしていると影姫がはい、と返事をして千李を引き連れていく

それに、永禮と雅、白雅と水神、ライラックと瑙虹も付いていく

入り口にはほとんど人はなく、神華学校、牡丹学園の各学年の金帯達と

主賓の獏家名代(みょうだい)の白雅の父親の弟が妻と並んでいる


そして、扉が開いて、それぞれ手を取り合い順番に入って行く


そして獏家のみょうだいを中心にぐるっと囲むように並ぶと音楽が鳴る


琴や三味線、龍笛の音に混じって鈴の音がする

千李と影姫は中でも素晴らしい踊りをしている、息があっていて無駄な音はせず

優雅に流麗に力強さと柔らかさを兼ね備えて踊る様は天女と鬼神のごとく

皆一様に二人を見ている


音楽が終わり女形を今まさに貫かんとするような締めの時、本当に刺さるのではないかと、木刀はまるで真刀に見えて天女は悪女に変わっていた。

一つの舞台を見終わった感覚に大きな拍手が送られたのだった。

ただ千李だけはその拍手の意味をわかっていない


「なんか、みんな大興奮だね」


千李がそう言うので影姫は、クスクス笑う

千李は笑う意味がわからなかったが影姫に連れられてダンスホールからどく

次はさっき踊らなかった人の中でダンスホールが埋まる

これに入れなかった人はその次に踊る


真望と癒澄、駘瞿と美羽、瑙銀と寿獲琉、産咲と婚約者が出ている

2曲目の月下美人は桜姫時代に末の公子月下のためにコルリ妃が作った曲とされている、静かで優しく消え入りそうな曲は桜姫の片腕として血の宰相と言われた姿には重ならない曲だ

この場では意外なことに産咲と婚約者が注目を集めた何と息のあった舞だろうか

儚く今にも消えそうな産咲を捕まえようと焔がシルクの手を伸ばす

曲の儚さをよく出している


月下美人が終わった時、入り口がざわつく、

そちらを見るとそこには深瑠と寸魏が立っていると千李が認識するよりも早く

岸雄が飛び出して深瑠を抱きしめる


抱きしめて顔を見る


「み、る、さん・・・・」


「ただいま、岸雄くん」


ニコッと笑う深瑠の顔を見て岸雄が固まる


そして、顔を強張らせ、後ろに下がる


「岸雄くんどうしたの?」


深瑠が首をかしげる

異変に気が付いた影姫が影を伸ばして深瑠と寸魏の影をそっと捕まえる


「岸雄君」


影姫が岸雄の隣に行くと岸雄がつぶやく


「ちがう、深瑠さんじゃ無い」


岸雄の言葉に深瑠の瞳孔が開く


「何を言っているの?岸雄くん、私は「深瑠さんは!」


拳を握り怒りをぶちまけないように抑える


「深瑠さんは!そんな風に僕を呼ばない!そんな嫌らしい笑い方はしない!」


岸雄の怒号に深瑠らしき人物は怖気づく、だが体を震わせて怒るように言う


「なんでそんな酷いことを言うの!?せっかく会えたのに!そうだわ、繋がりが薄いからよ!これ!」


深瑠は懐から小さな小瓶を出す、その中には赤い液体が入っている


「これは人魚の神聖な水なの!私の血が1滴入ってるわ!これを飲めば私が本物って信じてもらえるはずよ!」


そう言って深瑠は動こうとするも、影を縫い付けられていて足が動かせない


「何なのよこれ!離して!岸雄くん!これを飲ん「嘘を吐くな!!!」ひっ」


岸雄は空気を鞭にして小瓶を弾き落とさせる

そして小瓶は落ちて割れてしまった。

深瑠の顔面が蒼白になり叫ぶ


「いやああああ!!やめて!酷い!そんな!いやよ!駄目よ!なんで飲んでくれないの!いや!死にたくない!虹の女帝様どうか今一度チャンスを!!」


その叫び声で床に術式が展開されて結界が張られ、影姫の影も弾かれ深瑠のような者は、隔離された。

深瑠のようだった者は姿を変え雪原のような髪は岩のような灰色に新緑色の瞳は木の皮のような茶色に、薔薇のような唇は桃のような色に変わる、その姿は深瑠をからかっていたうちの一人で死体報告のない人魚だった。


「あ!あああ!まって!まだ!まだ!ア”ア”ア”ッ」


そして、変化が解けた人魚は、体中に8芒星の呪印が浮かび爛れながらボコボコと膨れる、その様子に周りは騒然となり逃げる者や倒れる者も居る


「殺しちゃいけない!千李!」


真望が千李に言う、千李はその意図を感じとって走る

もう原形など見る影もないそれに近づく

すると、そこに寸魏が立ちはだかる


「駄目だよ千李くん」


千李が無効化を発揮しながら近付いたからだろう、寸魏の姿も変わる

ミルクティーのような色の長めの髪に可愛らしい大きな目は黒曜石のような輝きを持ちどこか彩良恵良を思い起こさせる男の子が現れた。


「馬堅くん!」


癒澄の言葉に彼が初めて話しかけて来た悪鬼防衛術の授業を思い出す

確かに同じクラスの男の子だ


「千李達くんは僕の憧れだったんだ、君は僕の事知らなかっただろうけど」


「べつに、そんな「先生から聞いた」ッ」


「嘘つかないでよ、興味無かったくせに」


馬堅が指を鳴らすと人魚は青緑色に変わり、とてもこの世のものとは思えない悲鳴をあげる


「あはははは!人魚にはお似合いの姿だよね」


「馬堅、辞めろ」


千李が楽しそうに笑う馬堅にそう言いながら、飾り木刀を構える


「やだよ」


馬堅はそう言って何かのカプセルを噛み砕いて飲み込む

そして、結界の術式を足で壊した瞬間、人魚は弾けて、飛び出した肉片や血は凶暴な妖獣になり骨は額に呪印を持つがしゃどくろに変わった。



「くそ!」


それを見て千李は憎悪の目を馬堅にむけて、驚く

そこには繊細そうな男の子の姿はなく狼のような獣人が立っていたからだ


『ただの僕じゃ勝てないからって李薇様がくれたんだ!これで僕は君をコエレルンダヨ!ゼン”リ”グン”!!』


もう声も人では無い

なんで、こんな事に!

馬堅は、手を振り上げ襲って来た。千李が飛び退いて避けると千李がいた場所は抉れた。

技術はないが圧倒的な力に千李は冷や汗をかく

当たったらひとたまりもないなと思いながら飾り木刀をみる、頼りない武器しかないとは

ふと、周りを見るが、妖獣やがしゃどくろに手を取られていてこちらに来れそうにない、せめて真刀ならばまだどうにかできたろうに、千李は真刀を持ち歩ける年齢に達していないため、持っていない


「どうしようかなぁ」


ニタニタとわらう馬堅だった者を見ながら千李は考える

そこに、強い風を感じたと思ったら岸雄が馬堅を殴り飛ばしていた。


「うお!?」


「深瑠さんは!どこだ!!」


千李が驚いていると岸雄が吠えるように言う


『イヴワゲナイダロウ!!』


「なら殺す!!」


馬堅に向かっていく岸雄を笑いながら馬堅は、避けて千李に攻撃してくる

あくまで狙いは千李と言うことか

千李は馬堅に攻撃されながらも周りを確認する

真望、影姫は、妖獣達の動きを止めるのに必死だ

高天、甲泉の護衛組と永禮、白雅、ライラック、脈羅の4強はがしゃどくろと戦闘

先生達は生徒の避難誘導や、戦えない葉人生徒の保護

美羽と癒澄も怪我人の手当や、けが人や非戦闘者や小幼等部生徒を結界で守ったりしている、

ちらっと焔が産咲を守りながらも黒い炎で妖獣を一瞬で消し去っている


「へー、やるな」


飛び上がって馬堅の攻撃を避ければ空中にいる所を狙われるが向かってくる拳に木刀をぶつけてその力で距離を取る


さて、打撃程度ではダメージを与えられていないし、

がしゃどくろから延々と妖獣が出ている

そこに千李めがけて何か飛んでくる千李はとっさに掴む

刀だ、鞘から抜けば真刀でしかも妖刀だ!


「それであの馬鹿を切れ!アレの胸元の呪印がくずれればがしゃどくろも消えるはずだ!」


千李がそちらを見れば見たことはないが美羽に少し混ざっているような薄紅色の髪の毛の少年、年は同じくらいか、だが王家にあんな人は居ただろうか


「ありがとう!」


千李は鞘を腰に挿して刀を抜く


「終わったら麒麟寮に送れ!」


そう言って少年は別の腰に挿している刀を持って走って行く


「王家は未成年でも刀を持ってよかったんだっけ、助かったや」


この際、本州で大樹の富豪の会になぜ参加してないのかとかは気にしない

岸雄に邪魔されながらも馬堅が千李に飛び込んでくる

千李は少年に言われたとおり胸元を見ると確かにがしゃどくろと同じ呪印がある


千李は迷わずその呪印に刀を向ける

馬堅はその狙いに気が付き、間一髪で避けた。

そして無闇矢鱈に突っ込んでくることはなくなり少し離れたところから様子を見てる


「はは!どうしたんだよ馬堅!その呪印はダメか!」


そう言いながら千李は距離を詰める


千李の発言を聞いて岸雄も胸元を見てクナイを投げる

馬堅は挑戦的なさっきの動きとは違い

逃げるように距離を取る、しっかり胸元を守りながら


どんなに身体能力を底上げしてもつたない戦闘能力では

神童と言われる二人に叶うはずもなく

岸雄のクナイでの攻撃、千李の鋭い刀を避けることで精一杯なんだろう

逃げ場所を探すようにチラチラとある方を見ている


千李がその視線の方を見ると美羽達が張っている結界が出口に近づいている

結界を壊せるとは思わないが

あちらに逃げられると面倒だ


千李は馬堅の目の前に炎を出す

馬堅は驚いて後ろに仰け反りバランスを崩したところに岸雄が前から蹴りを入れて

床に倒す

そこで千李が馬堅の胸元に刀を一閃させたことで呪印が切れる


「アアアアアアアアアアア!!!」カタカタカタカタカタカタ


馬堅の咆哮とともにがしゃどくろの額の呪印も切れてボロボロとその体をすぐしていった。

そして、周りの妖獣も姿を崩して消える

呪印が崩れた馬堅は見る見ると元の姿に戻ったが新たな呪印が浮かび、馬堅が呻く


「くそ!2段階呪印か!!」


慌てて千李は馬堅に無効化の力を注ぐ

だが、呪印は、傷になって刻まれている

常に無効化していなければ呪いが進行して馬堅は死ぬだろう

結界があった場所から美羽と癒澄が走ってくる

その時だった。


床が光って美羽が消えた。


千李は馬堅から手を離してしまったのだった。




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