第三章 手紙の男
最初の聴取が終わっても、ラウルだけは部屋へ残された。
正確には、残した。七人を房へ戻した後、私は近衛隊長にそう命じた。彼の左手は鉄輪につながれ、右手だけが自由である。逃げるには不向きな状態だが、私と親しく話すにも相当向いていない。
卓の上には、彼が書いた聴取録と、私が自室から持ってこさせた三通の返書があった。
「筆跡を調べるなら、無駄です」
ラウルは椅子へ深く座り直した。長く同じ姿勢でいたせいか、左脚を伸ばす時だけ眉が動いた。
「前線報告は伝令書記が清書しました。俺が直接書いたものは、王宮へ送っていません」
「知っています。筆跡ではなく、あなたの癖を調べます」
「人の癖を調べる、と本人の前で言う方は初めてです」
「隠しても、あなたは気づくでしょう」
「気づいても、知らないふりくらいはします」
「それが上手なら、祭壇へ来ていません」
彼は返事をせず、手首に塗られた軟膏の匂いを嗅いだ。オドの靴下へ入っていた薬は、松脂と腐った卵の中間の臭いがする。効き目がなければ、ただの嫌がらせである。
私は一通目を開いた。
戦役九年目、北部の冬営地へ送る塩の量について交わした公文だった。軍の要求に王都の在庫は届かず、私は魚の塩漬けを減らして、春までに不足分を運ぶ案を出した。
返書は、その数字を断った。
『王都にある塩をすべて出されても、冬営地まで届くのは三分の二です。街道の馬が先に食べます。塩を運ぶために穀物を使い切るのは、あまり賢くありません』
宮廷では、王族の案を「あまり賢くない」と評する者はいない。少なくとも署名つきの紙では。
「この返事を考えたのは」
「フィンです」
「フィン?」
「運送隊へ紛れ込んで賭博をしていました。街道ごとの損耗を知っていた」
「文章にしたのは」
「俺です」
「あまり賢くない、も?」
「それは削ったはずですが」
「残っています」
ラウルは初めて紙へ身を寄せた。私は返書を裏返し、彼の目から隠す。
「確認は終わりました」
「今ので?」
「あなたは、削ったはずの文が残っているか気にした。書いていない人は、そこを気にしません」
「書いたことは、先ほど認めました」
「公文だけだと言いました」
「その紙も公文です」
「王女を愚かと呼ぶ文まで?」
「賢い案ではなかったので」
私は二通目を出した。彼の顔には、私を怒らせたという恐れがない。むしろ、王都の塩を本当にすべて送っていた場合を今も心配しているようだった。
腹が立つ。懐かしくもある。二つは両立した。
書簡を始めた頃、私は返書の主を試したことがある。北部へ橋を架ける案へ、わざと荷車の重さに耐えない細い材木を指定した。宮廷の技官なら、王女の数字をそのまま清書し、橋が落ちた後で現場の施工ミスにする。黒玻璃の騎士が本当に報告を読んでいるのか知りたかった。
返ってきた紙には、材木の欄へ太い線が引かれていた。
『この寸法では、橋より先に図面が役に立たなくなります。試しているのであれば、次からはおやめください。間違いを探す時間で、正しい案を一つ読めます』
線の端は紙を破り、封筒の内側までインクが染みていた。私は怒って、試したのではなく書記の転記ミスだと返した。次の便には、『では書記を替えてください。殿下の嘘が下手だとは報告しません』とだけあった。
あの時、初めて笑った。私を褒めず、試されたことへ腹を立て、しかも必要な橋の寸法は別紙で送ってくる。顔も名も知らない人を待つようになったのは、優しい文より、あの破れた紙からだった。
目の前のラウルは、私が二通目を出すのを見ていた。塩の話より先に、橋のことを聞けばよかったかもしれない。だが、試されたと知った時の不機嫌な顔まで想像どおりだったので、聞く必要がなかった。
「黒玻璃の騎士は、いつも先に私の案の欠点を書きました。その後で代案を出した。宮廷の者は逆です。まず褒め、実行できなくなってから欠点を見つける」
「宮廷では、王女を怒らせると給金が止まるからでしょう」
「前線では止まらないのですか」
「給金は三か月遅れていました。失うものがなかった」
彼は無表情で言った。私は笑いそうになり、蜂蜜水の入っていない杯へ手を伸ばした。空であることに気づいた時には、口元は元へ戻っていた。
二通目は、避難所の寝台数についてだった。本文の末尾、消去液で塗られた下に、私しか読まない問いがある。
『殿下は、最後に夜を通して眠った日を覚えていますか』
私が『覚えていません』と返すと、次の便にこうあった。
『では、一日眠ってください。三日倒れられるより安く済みます』
「これも、フィンが?」
「いいえ」
「オドですか」
「違います」
「バルド?」
「隊長は、殿下が眠っている間に竜が待つのか、と言いました」
「では、誰が」
ラウルは右手で軟膏の蓋を回した。開け、閉め、また開ける。答えへ必要な動作ではない。
「俺です」
三年間探していた相手が、婚礼の翌日、囚人の鎖を鳴らして目の前にいる。
思い描いた再会はなかった。私は彼を声で見抜けず、彼も私へ名乗ろうとしなかった。窓辺どころか地下の聴取室で、手首には鉄輪、体にはオドの靴下から出てきた薬の臭いが染みついている。それでも、眠れと書いた時と同じ間で、彼は私から目を逸らした。
「なぜ、バルドの名で」
「部隊からの返書だったからです」
「私的な問いまで、部隊のものですか」
「あの時、殿下が三日眠れば、避難令が遅れました。私的とは言い切れません」
「私が眠るかどうかを、損失として計算した?」
「はい」
「ひどい方ですね」
「よく言われます」
否定してほしかったわけではない。それでも、もう少し迷ってもよいと思う。
私は三通目を開かなかった。北峡門の戦死者について、私が何度も問い、返答を得られなかった紙である。封筒の角へ指を置くだけで、ラウルの視線がそこへ落ちた。
「正式な求婚状は、あなたではありませんね」
「隊長が口述し、宮廷書記が作ったと聞いています」
「内容は知っていましたか」
「六人の恩赦を条件にすることは。殿下が受けるとは思いませんでした」
「なぜです」
「三年間、あなたは相手に断る余地のない提案を嫌っていた」
胸を刺されたというより、机の下から椅子を蹴られた気分だった。私は王女であり、褒賞令の起草者であり、政治婚の当事者である。彼の中では、それより先に、手紙へ書いた考えで判断されている。
「私は受けました」
「はい」
「あなたの手紙だと思っていたからです」
軟膏の蓋が、彼の指から落ちた。
石床を転がり、近衛の靴へ当たる。近衛は拾わなかった。王女と囚人のどちらが先に動くべきか、判断しかねたらしい。
ラウルが腰をかがめようとする。左手の鎖が張り、顔が歪んだ。私は蓋を拾い、卓へ置いた。
「あなたが書いたものを読んで、私は婚姻を受けた」
「材料は皆のものです。塩の損耗はフィン、寝台の数はオド、撤退線は隊長が決めた。俺は順番を作っただけです」
「その順番で、人は誰かを知ります」
「知られては困る人間もいます」
彼の右手が、三通目の封筒から離れた。
「あなたですか」
「俺を含めて」
「北門で何をしたのです」
ラウルは答えなかった。
私は待った。彼も、私が待てることを知っている。戦時中、返事が来るまで四十二日待ったことがある。その時は、途中の橋が二つ落ちていた。
今、私たちの間にあるのは、卓一つだった。
「今日の聴取録を仕上げてください」
先に目を逸らしたのは私だった。
「明日、また聞きます」
「殿下」
扉へ向かった私を、彼が呼び止めた。
「あの後、眠りましたか」
振り返ると、ラウルは三通の返書を見ていた。
「一日眠れと書いた後です。実行されたか、報告がなかった」
私は覚えていた。返書を受け取った夜、寝室へ入り、四時間後に火急の報せで起こされた。眠ったと言うには短く、眠らなかったと言うには、あまりにも救われた四時間だった。
「眠りました」
「そうですか」
彼はそれ以上、何も言わなかった。
その安堵した顔だけは、七人分には見えなかった。




