君と過ごした悲劇の日
笑顔は変わらないのに、今回はもっと悲劇的な死だ
ビービービー!
アラーム。午前6時30分。
跳ね起きる。冷や汗。荒い呼吸。見上げる。
【名前:一路くん】
【役割:主人公】
【説明:プロットの存在に気づいたキャラクター。リセットの記憶を保持できる。】
【ループ回数:3回目】
殺された。今度は誰かに殺された。
ノックの音。ドアが開く。
「一路〜! 起きてる?」
真冬がそこに立っている。無事だ。生きている。同じ制服。同じ笑顔。
「今日の朝ごはん、何がいい? 卵焼き? それとも目玉焼き?」
俺は彼女を見つめる。言葉が出ない。
彼女は生きている。でも、今日もまた殺される。誰かに。あの家の中で。
「一路? どうしたの、顔色悪いよ?」
彼女が近づく。その手が俺の額に触れようとする。
俺はその手を掴む。
「……真冬。」
「な、なに?」
「今日、一日中、一緒にいてくれないか?」
真冬が目を丸くする。そして、少し照れくさそうに笑う。
「もう、一路ったら。今日は特に予定ないけど……でも、学校は行くんでしょ?」
「学校が終わっても。ずっと。日が暮れるまで。」
「……変なの。」彼女がくすくす笑う。「でも、いいよ。一緒にいてあげる。」
その笑顔を見ながら、俺は心に誓う。
今回は絶対に守る。そして――あの犯人を見つける。
一日中、彼女と過ごした。学校でも、休み時間でも、放課後も。ずっと一緒にいた。
そして夕方。彼女の家の前。
「じゃあね、一路。また明日!」
「……うん。」
彼女が門を開ける。中に入ろうとする。
「真冬。」
「ん?」
「真冬……俺が絶対に守るから。」
真冬が一瞬固まり、顔を赤くする。「な、なに急に……!」
「いいから。早く入って。」
「う、うん……! また明日ね!」
彼女が家の中に入る。ドアが閉まる。
俺は深呼吸をする。そして――彼女の家の裏手に回った。
塀を越える。庭に静かに着地する。窓から中の様子をうかがう。
リビング。真冬がいる。無事だ。ホッとする。
その時――
影が動いた。真冬の背後に。黒い服の男。手にナイフを持っている。
「真冬――!」
俺は窓ガラスを割って飛び込んだ。
「離れろ!」
男が振り向く。顔は半分、影に隠れている。でも、その目は冷たく光っている。
「またお前か……しつこいな。」
「また? 何を言って――」
男が笑う。不気味な笑い声。
俺は男に殴りかかる。男はナイフで切りかかってくる。避ける。もう一度殴る。男の頬に拳が当たる。
でも――
男が後ろに跳び、懐から何かを取り出す。黒い。小さな――
銃だ。
「真冬、伏せろ!」
ドン!
銃声。でも弾は俺を外れる。壁に穴が開く。
男がもう一度狙う。今度は真冬に向けて。
「やめろ!」
俺は真冬の前に飛び込んだ。
ドン!
二発目。腹部に衝撃。熱い。何かが流れ出る。
「いっ……と……?」
真冬の声が遠く聞こえる。俺は倒れながらも、必死に彼女を見る。
「いっと……いっと……!」
真冬が俺のそばに駆け寄る。彼女の涙が俺の顔に落ちる。温かい。
「にげ……ろ……」
「嫌だ! 一路を置いて行けない!」
その時――男がゆっくりと近づいてくる。足音が耳に響く。
男が銃を構える。向けられた先は――
真冬の頭だ。
「やめ……ろ……」
体が動かない。声もかすれる。
真冬が振り返る。その顔は涙で濡れている。でも、俺を見て微笑んだ。
「一路……一緒にいられて、幸せだった。」
「やめ……真冬……!」
男が引き金に指をかける。
「さようなら。」
ドン!
銃声。
真冬の体が、ゆっくりと倒れる。俺の隣に。彼女の髪が俺の手に触れる。まだ温かい。
目は閉じられている。でも、口元はわずかに笑っているように見えた。
「ま……ふゆ……」
視界が歪む。血が流れる。冷たくなる体。
でも、それ以上に――彼女を守れなかった悔しさが、心を焼く。
その時――
空がひび割れる。
【バッドエンド達成。】
【主人公・ヒロイン、同時死亡。】
【世界をリセットします… チェックポイントから再開…】
「まだ……終われ……ない……」
世界が引き裂かれる。
ビービービー!
アラーム。午前6時30分。
飛び起きる。全身が冷や汗で濡れている。心臓が破裂しそうなほど速い。
「はあ……はあ……!」
見上げる。
【名前:一路くん】
【役割:主人公】
【説明:プロットの存在に気づいたキャラクター。リセットの記憶を保持できる。】
【ループ回数:4回目】
四回目。
真冬の笑顔が蘇る。最期の笑顔。そして――銃声。
拳を握る。強く。強く。爪が手のひらに食い込む。
ノックの音。ドアが開く。
「一路〜! 起きてる?」
真冬が立っている。無事だ。生きている。同じ制服。同じ笑顔。
「今日の朝ごはん、何がいい? 卵焼き? それとも目玉――」
俺は彼女を抱きしめた。
「え?! 一、一路?! どうしたの――」
彼女は温かい。生きている。今はまだ。
「一路……泣いてるの?」
気づけば涙が落ちていた。
「……ごめん。なんでもない。」
抱きしめるのを解く。彼女の顔を見る。生きている。笑っている。
――必ず守る。今度こそ。
でも、それだけじゃ足りない。
あの男を倒す。そして――なぜ彼があの場所にいたのか、突き止める。
その時、視界の端に新しいテキストが浮かんだ。
【隠しミッション更新】
【目的:白雪真冬を卒業の日まで生かし続けよ。】
【追加目標:謎の男の正体を突き止めろ。】
【失敗=世界リセット。】
【成功=??????】
「一路? 大丈夫? 顔色、すごく悪いよ……」
真冬が心配そうに俺の顔を覗き込む。
俺は小さく笑った。
「大丈夫。ちょっと、悪い夢を見ただけ。」
「そう……ならいいけど。」
彼女が微笑む。その笑顔が、さっきの光景と重なる。
俺は心に誓う。
次こそは。次こそは二人で生き残る。
そのために――まずは作戦を練らなければ。
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