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プロットステータス ―幼馴染がモブキャラで死ぬ運命なら、俺は世界の脚本を破壊する―  作者: スズミヤ
第一章 哀れな主人公の末路

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繰り返す朝に、君はまだ笑っている

彼女は生きている。笑っている。俺の弁当を作ってくれた。――でも、あと30分後、彼女はまた死ぬ。

シャワーを浴びる。温水が全身を流れる。俺は壁に手をつき、ただその温かさに集中する。


さっきまで冷たかった彼女の手を思い出しながら。


頭を振る。考えるな。考えるな。今は彼女が生きている。それでいい。


……よくない。よくないから、俺はこうして考えているんだ。


「一路ー! 朝ごはん冷めちゃうよー!」


真冬の声が階下から聞こえる。俺は蛇口を閉め、急いで体を拭く。


食卓には母と真冬が座っている。父はもう出かけたらしい。真冬が味噌汁をよそってくれる。


「はい、一路の分。のりたまかける?」


「……自分でやる。」


「はいはい。」彼女は笑いながら醤油差しを渡す。


その笑顔を見るたびに、胸の奥がぎゅっとなる。さっきまであの笑顔が血に染まっていた。もう二度と見られないと思っていた。


「ねえ、今日放課後、コンビニ寄らない?」真冬が卵焼きを食べながら言う。「新しく出たアイス、抹茶ストロベリー、美味しいんだって。」


一瞬、心臓が止まる。


「……今日か?」


「うん、どうしたの?」


「いや……」箸を持つ手が震える。「また今度にしないか?」


「えー、なんで?」真冬が首をかしげる。「一路、抹茶好きじゃん。ストロベリーも好きでしょ?」


好きだ。でもお前が死ぬ場所には行きたくない。


「……明日テストがある。早く帰って勉強したい。」


苦しい言い訳だ。実際、明日テストなんてない。でも真冬は「あ、そうなんだ」とあっさり引き下がった。


「じゃあ、テスト終わったら行こうね!」


「……うん。」


朝食を終え、三人で家を出る。母はパートへ、俺と真冬は学校へ。いつもの道。いつもの景色。


庭を掃いている隣人:【モブ。】


ボール遊びをする子供:【背景要素】


横切る黒猫:【背景要素】


何も変わっていない。変わったのは、俺だけだ。


学校に着く。授業が始まる。真冬は前の方の席でノートを取っている。その後ろ姿を見ながら、俺はひたすら考える。


どうやって彼女を生かす?


コンビニに行かなければ、彼女は死なないのか? でも前回、彼女はコンビニの前で死んだ。コンビニに行かなければ、トラックは来ないのか?


それとも――


チャイムが鳴る。休み時間。真冬がすぐにこっちに来る。


「一路、お菓子食べる?」彼女がポケットから小さなチョコレートを取り出す。


「ありがとう。」


「元気ないね、大丈夫?」


「……大丈夫。」


彼女はしばらく俺の顔を覗き込み、それからにっこり笑った。


「テスト前で緊張してるんでしょ? わかるよ〜。でも一路なら大丈夫! 一緒に頑張ろうね!」


そう言って、彼女は自分の席に戻っていく。


……違うんだ。俺が緊張してるのは、テストのせいじゃない。


放課後。


「一路、帰ろう!」真冬が鞄を持って俺の机に来る。


「ああ。」


一緒に教室を出る。廊下を歩く。校門をくぐる。いつもの道。いつもの景色。


真冬が話す。今日の授業の話。隣の席の子が面白かった話。週末に見たドラマの話。俺は相槌を打ちながら、ずっと周りを警戒している。


車の音。エンジン音。トラックが来ないか。


交差点では必ず止まる。信号を確認する。左右を確認する。真冬が「どうしたの?」と不思議そうな顔をする。


「……いや、なんでもない。」


家に近づく。あと三軒。コンビニはもう通り過ぎた。今回は大丈夫かも知れない。


真冬の家の前に着く。彼女が振り返る。


「じゃあね、一路。また明日!」


「……うん。」


彼女が門を開ける。中に入ろうとする。その時――


「真冬。」


「ん?」


「……何でもない。気をつけて帰れよ。」


彼女が笑う。「一路こそね! 勉強頑張って!」


門が閉まる。彼女の姿が見えなくなる。


俺はその場に立ち尽くす。心臓がまだ激しく打っている。


大丈夫だった。今回は――今回は彼女は死ななかった。


安堵の息をつく。自分の家に向かって歩き出す。


30分後。


スマホが鳴る。見知らぬ番号。出る。


「もしもし……もしもし、白雪真冬さんのご友人でしょうか?」


その声で、すべてを理解した。


走った。全力で。息が切れても止まらなかった。


真冬の家の前に着く。そこには救急車とパトカーが止まっている。見知らぬ人々が集まっている。


「真冬! 真冬!」


家に飛び込もうとする。警官に止められる。


「君、落ち着いて――」


「真冬はどこだ?! 彼女は――」


「……申し訳ありません。お嬢さんは、さっき――」


その先を聞かなかった。


リビングに通される。そこには真冬の両親が泣いている。そして、ソファに横たわる彼女。


制服は乱れている。そして――首に赤い線。細い。でも深い。刃物で切られたような跡だ。


「原因は……」警官が小声で言う。「誰かに……首を……凶器はまだ見つかっていません……」


殺された。


トラックでも、心不全でもない。誰かに――殺された。


膝から崩れ落ちる。彼女の冷たい手を握る。さっきまで温かかった手を。


「真冬……」


その時――


空がひび割れる。時間が止まる。あのテキストが現れる。


【バッドエンド達成。】


【ヒロインが死亡しました。】


【世界をリセットします… チェックポイントから再開…】


「待――」


俺の抗議も虚しく、世界が引き裂かれる。


次回予告


二度目のループ。一路は真冬を守るために、ある決断をする――。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

もし気に入っていただけましたら、ブックマークや⭐で応援よろしくお願いします。


次回は明日更新予定です!


他作品『崩壊した世界で自分を探して』も連載中です。こちらもよろしくお願いします :)

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