僕を連続殺人犯にしたのはDさんだと思うのです 後編のつもりがまさかの中編です。
やっぱり土建屋は個性的な人が多いです。1000文字強では収まりませんでした。
こんにちは、ふっしーです。きのうは久しぶりに映画に行ってきました。マクロスのFの短編とΔですが、感想は「炭酸の泡はうえへ上がっていくんちゃうの?」です。
一杯1200円のジュースを買うと三雲さんのキーホルダーが当たりました。
前回の続き、Dさんが自慢げに、裏に【見本】と自分で書いた偽1万円札を出したところからです。
ドヤ顔のDさんですが、僕はその偽札を見た瞬間、違和感に囚われてたのです。他の人は気づいてないようで「わしにも30枚くらい刷ってや」とか言っていますが、明らかに小さい。
「Dさん。それ本物より小っちゃいよな?」
「ほんなわけあるかや」
僕の言葉にもDさんのドヤ顔はかわりません。ニヤついて財布から本物を取りだして偽札と重ねました。
Dさんの顔から笑顔が剥がれ落ちました。僕の言った通り縦も横も2ミリほど小さかったのです。
「……ほんまじゃ」
「ほれなぁ(ほら)。万札はハンカチ替わりじゃきんすぐわかったわ」
もちろん冗談ですが今度は僕がドヤ顔です。するとDさん、偽札をクシャクシャと丸めて焚火に投げ込みました。
「クソ、ばあさんくらいなら騙せると思うたんじゃけどの」
どこまで本気だったわかりませんが、紙質が全然違うのでかなり難しいと思います。
長くなってしまいましたが、やっとのことタイトルの回収です。
その時の現場は林道でした。当然、近くに人家もない山の中です。下っ端の務めとして、倉庫でその日使う材料をダンプに積み込んでから遅れて現場に向かいました。
山道を登っていくとDさんとEさんの軽トラが2台、道の端に止まっていました。野グ○なら独りで行くだろうし、小便なら山になんか入らんし、とダンプを軽トラの後ろにつけました。
すぐに木立が生い茂る山の中から二人が飛びだしてきました。
「イノシシがかかっとる。ほんまにあんなんでかかるんじゃの」
Dさんは興奮していました。『くくり』という、細いワイヤ―が1本あればできる罠を仕掛けていたのです。それに初めて獲物がかかったのです。罠には免許や許可が必要ですが、そんなものはもちろんありません。ついでにいうと『罠設置中』の看板も必要でそこには名前と連絡先も表記しなくてはなりません。
軽トラの荷台からつるはしの柄を取り出すと、また二人で山に入っていきました。やることは想像できたので僕はその場に残ります。
しばらくすると山中から「プギィィィィィィィィイ」というイノシシの鳴き声と、二人の悲鳴のような声が聞こえてきました。またしばらくすると「若いしゅよぉ、ちょっと来てくれ」と僕が呼ばれたのです。
木立を押し退けて斜面を登っていくと二人がいました。数メートルの間合いをとって、前脚にワイヤーを巻きつけたイノシシが二人を威嚇しています。
僕が側に近寄ると狂ったように突っかかってきました。ワイヤーの一方の端を木に巻きつけてあるので、その木がバサンッと大きく揺れました。攻撃が届くことはないのですが、むこうも命がかかっているので全力です。脚が痛いなんて言っていられません。
「ほい」
「え?」
つるはしの柄を渡されました。
「わしらじゃこんなんでどついったっていかんわ、効きゃーせん」
つまり僕に殺れと? 仕方なく柄を握りしめてイノシシに近づいていくと、やつが命を懸けた特攻を仕掛けてきました。僕は一撃を加えることなく後退しました。
「ムリムリムリムリ」
柄をDさんに返すと、
「大きい体して、おじ味噌(弱虫、ビビり)じゃのぉ。近づきすぎなんだらことーないきん頭ごつんとやってみい」
いやいや、それ以前に動物を殺すなんて無理です。ゴキやムカデじゃないのですから。たべる物がないのなら仕方なくやるでしょうが、ここは現代の日本です。それにお母さん? の後ろをついて歩くウリ坊や、かわいいお尻を振りながら必死に崖を這いあがるウリ坊を見ています。僕にはできません。
「しょーないの。ほんなら倉庫行ってブルーシート持ってきてくれ。大きいのはいらんぞ」
ここでいるより百倍マシだと喜んで下りていきました。二人も僕のあとをついてきます。
車まで辿り着くとDさんは座席の後ろに隠してある大きなナイフを引っ張り出しました。警察に見つかると確実に銃刀法違反で捕まるやつです。
1700文字を超えてしまいました。後編のつもりがまさかの中編になってしまいました。きょうはここまでにしておきます。
ご覧くださり、ありがとうございました。近いうちに後編を書きますのでよろしくお願いいたします。




