名前
「むむ!これはまた美味い食べ物じゃ!」
買った狐がはしゃいでいた。
「ほら、そっちに行くな。」
俺は狐の首を掴むとレインに渡す。
「これが新しい仲間?不思議な動物だね?」
「ああ、不思議だな。」
どうやらレインの腕の中は落ち着くらしく素直に抱かれている。
「で、この子の名前ってどうするの?」
「お前名前あるのか?」
「ないでありんす。」
結構長い間生きてそうな感じするけど……
まぁ、無いのなら名付けるしかない。
「うーん。どんな名前がいいかな?」
「そうだな……。タモとかどうだ?」
「うん、それがいいかも!」
「お前はどうだ?」
「別にいいでありんす。」
狐はタモと名づけられた。
「さて、帰ろうか。」
「うん。」
帰ってきた俺らは焚き火を囲んで話し合っていた。
「なんでこの子にしたのか聞いてもいい?」
「いいがその前に……おい、俺らには今後一切魔法とスキルを使うな。」
「分かりんした。」
俺はタモに言い聞かせると首にあった魔封じの首輪を外す。
「おおー!魔法が戻ってきたでありんす!」
「………魔法?」
「ああ、魔法だ、多分こいつは狐じゃなくてーー」
「ええ!わっちは狐ではなく、九尾になりかけの…六尾の狐でありんす。」
「だろうな。」
俺は納得する。
1目見た時から疑わしいと思ってはいた。
コイツの持っている魔力は相当なものだ。
上手く隠してはいるが魔封じの首輪のせいで甘くなっていたのだろう。
だから俺にも気づけた。
「そもそも狐は幻術に長けているんだ。こいつももう少し修羅場を潜り抜けたら九尾になるんじゃないか?」
俺は少し俯く。
「でもそれならタモちゃん私達に魔法を使うんじゃないの?」
「それは俺のスキルで縛った。」
「ああ、スキルで。」
「縛られたでありんす。」
レインは少し考えてノワールの方へ向く。
「私にもスキル使って欲しいんだけど……だめ?」
「……いいが。何を願うんだ?」
「私の願いは『どんな時であろうとノワールの味方として戦う。』これだね。」
レインはニッコリと笑う。
俺は少し笑う。
「それなら俺の願いは『どんな時であろうとレインの味方として戦う。』これだ。」
レインとノワールは少し笑い合う。
「ここに《契約》をする。」
言葉を発するとタモと《契約》した時のように手の甲に模様が浮かぶ。
「これで良いのかな?」
「ああ、大丈夫だ。」
タモは少し離れた場所で肩をすくめる。
「青春はわっちには青苦くて見ていられないでありんす。」
タモはぷいっと顔を背ける。
明日は学校の入学試験だ。
タモの為にも頑張らなくては。




