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孤児院の英雄  作者: 夜猫
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ペット

その部屋は獣が棲う場所だった。

魔物がいるのは当たり前、スライムなんて可愛いものだった。


唸り声が収まることは無い。

それでも俺はやることがあったんだ。




「ここの中の動物ならどれぐらいで売ってくれます?」


俺は振り返って店長に聞く。


「そうだな……ここの中の動物を買ってくれるならかなり値下げしてもいいぞ。」


お店側からしたらこの動物達は厄介極まりない存在なのだろう。


「じゃあ少し物色しますね。」

「わかったよ。外にいるから終わったら声掛けな。」

「分かりました。」


俺は笑顔で言うと少し店長の頬が引き攣る。


「こんな動物を買いたいとか頭のネジが数本飛んでいるとしか思えないがねぇ…」


店長は呟きながら部屋を出た。


呻き声の鳴る中俺は1番奥まで進む。


そこには少し大きな檻と1匹の狐がいた。


「さて、お前はなんだろうな?動物じゃないだろ?」

「きゅー?」


可愛らしく狐は首を傾げる。


「そんなことしても無駄だな。お前さんの本性は何となく分かってる。」


狐は少し俯くとまた顔を上げる。


「では、貴方がわっちを買ってくれるのかえ?」

「ほら、やっぱり喋れるじゃないか。」


狐が喋るのもお構い無しに俺は続ける。


「まず、俺から聞きたいことは2つ。答えればそれ相応の対応はしてやる。」

「それ相応ねぇ。そこはハッキリとさせてくれると有難いのですけれど。」

「まず1つ目、何故お前がこんな所にいる?」

「はぁ、人の話を聞かない子はモテないでありんしょう?」


狐は上手に二本足で立ち、肩を落とす動作をした。


「わっちが散歩していたら少し美味しそうな肉がありんして……それを食べたら気が遠くになってしまい……気がついたらここにいりんした。」

「バカか。」

「む、失礼な。」


俺はどうしてもこんな所にコイツがいる事が不思議でならなかった。

喋れる狐などどう見てもーー。


「次の質問はなんでありんす?」

「……2つ目は、なんでお前狐の姿のままなんだ?」

「ああ、それは簡単なことでしょう?」


狐は器用に右手を首に当てる。


「ここに魔封じの首輪が嵌められているから、これが答えでありんす。さて、これで質問には答えたのでありんすが……それ相応の対応とはなんぞ?」

「ああ、お前に2つの選択肢をやる。」

「なんでありんす?」


俺は深呼吸してゆっくりと息を吐く。


「1つ目、誰にも買われずにここで生涯を終える。」

「それは嫌でありんす。」

「2つ目、俺のペットになる。」

「ほほぅ?それは些か大胆ではないかえ?」

「そうでも無いだろ?俺にはそんぐらいの度胸はある。」

「………というか、選択肢が1つしかないのはわっちの勘違いと思うかえ?」

「……さて、選べ。」


この狐をペットとするのは沢山のメリット、デメリットが存在する。

かなりヤバい掛けではあるが……どう転がるか俺でも分からなかった。


「分かりんした。わっちはペットに堕ちるでありんす。」

「そうか。」


俺は少し緊張を解す。


「で?いつ買ってくれるのかえ?」

「その前に1つだ。」

「??」

「俺のスキルの実験台になってもらおうかな?」


俺は笑顔で言うと少し狐の頬が引き攣る。


「ほう?実験台と?」

「そんな過酷なものでは無いさ。俺のスキルは《契約》と言うのだが……恐らく双方の願いを言って了承すれば《契約》が成立すると俺は考えている。」

「確信は無いと?」

「無い。」


少しだけ間を置く。


「わかったわかった。そのスキル、受けようではないか。」

「それは嬉しいね。」

「ではわっちの願いを言うぞ?わっちは『毎日のご飯をくれ。』でありんす。」


俺は少し固まる。


「………それでいいのか?」

「いいも何も、ここはご飯が出てこんのさ。ふざけ散らかしているんでありんす。」

「要するに腹減ってると?」

「正解でありんす。」


狐は長い溜息をつく。


「わかった。じゃあ俺の願いだ。『俺の言うことを聞く。』だ。」

「了承したでありんす。」


俺らは互いに頷く。


「ではここに《契約》を交わす。」


スキルを発動すると少し手の甲が光る。


「ほう?これはまた珍妙な。」

「だな。」


手の甲には不思議な模様が浮かんでいた。


「じゃあ店長を読んでくるか。」


俺はドアを開けて店長を呼ぶ。


「すみません。この狐を買いたいんですけど。」

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