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孤児院の英雄  作者: 夜猫
13/34

時は遡り…

時は遡る。

月詠と名乗るカミサマがノワールに何かを飲ませ、ノワールが蹲り足掻いているとノワールの身体に異変が起きていた。

全身を火炙りにされた様な感覚を受けていた。


「あぁぁぁぁぁぁ!!」


いくら経っても痛みは無くならない。


何分、いや、何時間経っただろうか?

突然痛みが消えた。


「…へ?」


立ってみると視点がおかしい事に気付く。

手を見ると見らからに小さい。


「……へ?」


後で調べた所、月詠と名乗るカミサマが飲ませた液体は霊薬である『変若水』と呼ばれる若返る薬だった。


しかしもっとやりようは無かったのかと思うが…


「しかしなぁ……このまま王都には戻れないしな…」


ザールにお世話になるのも個人的に嫌だし、冒険者にはスキル習得後である歳しかなれない。


今の自分は恐らくその年齢には達していない気がする。

あと1年程経ったらなれるかも…と考えていた。


「よし、冒険者の街へ行こうか!」


そう決意したのはいいが、ノワールは重要な事に気がついた。


「俺、一人旅とか出来ないんだけど…」


迷宮を攻略出来たのは王様への怒りとかで頭がいっぱいだったからだ。

本来ノワールは生まれてから極端に一人でいる時間を嫌っていた。


冒険者の時にはザールやテレーゼと行動を共にし、孤児院には元気な子供達が沢山いた。


「あ、ダメだ。仲間を作らなきゃ……」


そうして前話の冒頭に戻るのである。


「なんで一人がダメなの?」


レインは顔を伺いながら聞いてくる。


「何でだろうな?俺にもよくわからん。」

「ふーん。」


会話が終わると沈黙が流れる。


「………なぁ、強くなりたいか?」

「え?……そうだね。冒険者になったら強くないと死んじゃうでしょ?」

「いや、そうでもない。純粋な強さと冒険者としての生き残る強さは違うからな。関係無いとは言いきれないが…」


そもそも俺がどうして『英雄』とまでに言われるようになったかと言うと確かに魔法は優れている自信がある。

だが、それだけでは『英雄』にはなれない。


俺は『冒険者としての強さ』が高かったから、それ以外に存在しない。

戦いに負けても生きて帰ってくる。

山賊に襲われても翌朝には街に帰ってくる。


つまり、サバイバル能力が極端に高かった。


だからノワールは『英雄』となった。


それで無ければこんな中途半端な奴など厄介者扱いされて終わりだ。


「ふーん。でも私はもう冒険者になるのが決まってるからね。なら、両方の強さを持てば良いんでしょ?」

「あはは!確かにそうだな!」

「……なんで笑うのよ?」

「いや、まさか俺と同じ考えを持ってるやつがいるとは思わなかったんだ!」


俺は立ち上がり手を広げる。


「俺は両方の強さを持ってる!冒険者としても自慢では無いが一流だ。そこそこ剣も出来るし、魔法も出来る。薬草だって作れれば毒だって作れる!」


俺はレインに手を伸ばす。


「俺の強さが欲しかったら手を握れよ。しかし、妥協はしないぞ?」


レインは少し微笑む。


「妥協なんてされたら殴るからね?」

「望むところだ!」


レインは手を取る。


「所でなんでアンタはそんなに偉そうなのよ?」


俺はニヤリとする。


「お前の前にいる男は『英雄』だぞ?」


俺は不敵に笑った。

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