第87話 人魔プロジェクトとテレビ放送
人間族と魔族とで、王様、魔王の主導で、塔の建設プロジェクトが始まった。
王様は、人間領、魔族領問わず、精力的に飛び回り、塔の建設を指導してまわっていた。
それが、功を奏して、次々と塔が完成していった。
完成した塔は、てっぺんに放電が見られた。
俺は、これは、ニコラ・テスラのウォーデンクリフ・タワーだと気が付いた。ニコラ・テスラは、正しかったのだ。
***
完成した塔に、魔王は銅のコードをつなげ、近隣の町の家にコンセントを付けていく。
その間、俺は、ユニティアの街、人間領と魔族領の各王都に映画館を建設していった。
そこで、俺は気が付いた。家にコンセントがあっても、家電がない!
とりあえずは、テレビが欲しい。
王様に相談して、人間領、魔族領の王都にテレビ塔も建ててくれるように頼んだ。
魔王にも相談して、各家庭に受信アンテナの設置を頼んだ。
「ねぇ、パピー、テレビって大量に作れる?」
「テレビ?ちょっとまって、アーカイブで調べる」
「あぁ、電波を介して映像を映すものなのね」
「既に作った、映画の工場で作成できるわ。汎用的に作ったから」
ショートケーキを美味しそうに食べながら、そう言った。
「マジかよ。すげぇな。あの工場!」
俺は、映画工場に行って、機械に機能を説明し、大量にテレビを作るよう命令した。
そうすると、どんどんテレビが、作成されてゆく。
「そうなると、テレビスタジオが必要だな」
映画館と併設して、テレビスタジオも建設する。テレビカメラも映画工場に作ってもらった。
大量のテレビも、各家庭に配って、電源コードをコンセントに、アンテナコードもテレビに挿すように指示した。
住民は、わけも分からないけど、従ってくれた。
人間族と魔族の合同大プロジェクトは、半年かかって完成した。
映画は、まだ撮影していなかったので、まずは、テレビを先に試すことになった。
俺は、パピーに聞いた。「このテレビ、リモコンも電源スイッチもないんだけど」
「リモコン?スイッチ?ちょっとまって、アーカイブを調べるわ」
「あぁ、遠隔操作の機器と、つけたり消したりするスイッチのことね」
「そんなのいらないわ。『テレビの電源つけて』とか命令するだけよ」
そんなの、前世にもなかったんですけど・・・
***
テレビのテストは、二日後の10時からに決まった。
その日の10時前に、『テレビの電源つけて』とテレビに言うことを、住民に周知した。
出演者は、王様と魔王だ。照明が焚かれ、マイクも用意した。映画工場、さまさまだ。
10時になって、俺はテレビカメラを両名に向ける。
「あー聞こえておるか、王である」
「魔王じゃ」
「この度の人間族と魔族の大プロジェクトに従事した者たち、大儀であった」
「これは、テレビ放送という。ここは人間領のスタジオじゃ」
各家庭は大騒ぎであった。
「王様と魔王様がテレビの中にいる!」
「どうなっているんだ?!」
テレビの後ろを覗く者もいる。
「これからは、このテレビで色んな情報を発信する予定である」
「マシュー殿もこちらにくるのじゃ」
えっ!聞いてないよ!しぶしぶ、王様と魔王の真ん中に移動する。
「このマシュー侯爵は、このプロジェクトの立役者である」
「このテレビも、マシュー殿の発案じゃ」
屋敷でテレビを見ていた、ネネ、セバスチャン、メイドたちが驚く。
「マシューもテレビの中に?!」
ネネがビックリする。
「これにて、テレビの放送は終了する」
「みな、テレビに『テレビの電源消して』というのじゃ」
こうして、この大陸初のテレビ放送は、大成功に終わった。




