第83話 密かな人魔会談
俺は、王様と魔王に書簡を送った。
内容は、パピーよりもたらされた蒸気機関の話である。
いつもの砦で、余人を排し、密かに会合を持とうという内容であった。
俺を含め、三人は、各々予定を調整し、砦での密会が決まった。
王様、魔王とも、連れは近衛兵二人。俺は一人だが。
砦の密室に三人が入ると、俺は切り出した。
「パピーから、技術を教えてもらった」
「技術とな!」
「技術でござるか!」
「そう興奮するな。俺たち転生者には、当たり前の技術だ」
「蒸気機関だ」
「なんだ、蒸気機関か」
「もっと、先進技術かと思ったでござる」
「よく考えてくれ、この世界では、とんでもないブレイクスルーだぞ!」
「そう考えると、とんでもないな」
「そうでござる。いつかは至る道ではあるが、今現在ではブレイクスルーでござる」
「そうだろ、だから、この場を設けた」
「マシュー商会で、抱えるには大きすぎる」
「それで、両種族で共有しようということか」
王様が言う。
「そうだ、一種族がこの技術を持つと、勢力の均衡が崩れる」
「そうでござるな。マシュー殿の言う通りでござる」
「それで、どうする?」
「この技術は、人間族と魔族の共同開発で生まれたものとする」
「それは、いい落としどころでござる」
「して、どう進める?」
「俺の考えだが、ユニティアの街にカバーフェイクの工場を作り、そこで開発されたと発表する」
「いい考えでござるな。あそこは、人間族と魔族の街でござる」
「よし、その線で進めよう」
「しかし、蒸気機関でござるか。転生者の我らにとっては、旧時代の技術でござる」
「そうは、言えないぞ。原発も突き詰めれば、核分裂の熱で水を沸かし、その蒸気でタービンを回して、電力を得ているし」
「たしかに、そうであるな」
「この世界の産業革命でござるな!」
「色んな用途があるな」
「そうでござる。犬のホームズが乗っていた車も蒸気機関なのでござる」
「魔王も見ていたか!あのアニメ!」
「宮〇駿監督は神でござる」
「そうであるな、アクションシーンを描かせたら右に出る者はない!」
「おい、ヲタトークは、そのへんで」
(俺が、スチームパンク好きなのは、黙っておこう)
「それじゃあ、カバーフェイクの工場設営と発表の時期を詰めよう」
こうして、転生者三人で、この世界の産業革命が計画された。




