第77話 探索
朝食を食べてから、探索を始める。砂浜からすぐに密林となっている。
遠くに山が見えている。
まず、必要なのは、水の確保だ。川や湧き水がないか丹念に探す。幸いなことに川はすぐに見つかった。
飲めそうなほど澄んでいて、魚も跳ねている。
ここを野営地にすることが決まった。
野営地を設置し、さらに奥へと密林をかき分けて進んでいく。
時折、鳥や野生の動物の鳴き声がするが、姿は見えない。
木に果物がなっている。ロックさんが、率先して食べてみる。みずみずしく、ほんのり甘い果物だった。
これで、飢えることもない。川には魚もいる。
がさりと茂みをかき分けて、動物が突っ込んできた。俺はヒラリとかわし首を刎ねる。
野生のイノシシだった。今夜はごちそうだ。
ゲドさんが、素早く解体し、肉と皮を袋につめた。さすがは、Aランク冒険者である。手際がいい。
***
突然、密林が途切れ、広い草原に出た。その中央に小山があり、穴がぽっかりと空いている。
「なんだ?ダンジョンか?」
ロックさんが、慎重に近づいていく。危険はないようで、手で来いとみんなに合図する。
「ダンジョンにしては、おかしいな。違和感がある」
ロックさんが言う。
「ただの洞窟じゃないのか?」
ルークさんが言う。
「魔力は感じないのぉ」
ロナルドさんも危険はないと、判断したようだった。
「入ってみよう」
ロックさんが言った。
俺たちは、洞窟に入っていく。
「階段が下に続いているぞ」
ロックさんが言う。
俺たちは、階段を下りてゆく。
***
階段を下りきったら、景色が一変した。
ただの岩肌だった壁が、つるりとした金属のような質感になった。
「なんだ、ここは、人工的な廊下のようだ、それに天井が淡く光ってる」
ロックさんが言う。
***
俺たちは、その廊下を進む。
突き当りに扉があった。
「なんだ、開かないぞ、この扉」
ゲドさんが言う。
***
辺りを観察すると、扉の横に枠で囲まれた透明感のある板があった。
俺は、その板に手を当てた。
シュンという音とともに扉が開いた。
「おい、マシュー、今、何をした?」
「手を当てるような板があったので、手を当てただけです」
「まあ、いい、先に進もう」
ロックさんが先導する。
***
さらに進むと、広場があり、中心に半球状のドームがあった。
「なんだ、これは?」
ロックさんが言う。
俺たちは、半球状のドームをぐるりと回ると、ひとつの扉があった。
そこにも、枠で囲まれた透明感のある板があったので、俺は手を当てる。
先ほどと同じで、シュンという音とともに扉が開いた。
慎重に俺たちは中に入る。
***
中には、透明なガラスに囲まれたベッドに、ピッチリとした服を着た少女が眠っていた。
人間の少女のようだが、頭から二本の触角のようなものが生えていた。
俺は、ベッドの周りを調べたら、スイッチのようなものが並んでいた。
そのスイッチを右から順に押していく。
そうすると、ガラスに覆われたベッドの中で蒸気が出てベッド内が真っ白になった。
蒸気が収まると、ガラスが左右に開く。少女がゆっくりと目を開ける。
そして、ゆっくりと起き上がる。
ロックさんたちは、ドームの端に飛びのく。
***
俺は、ベッドのそばで、
「君は誰?」と聞いた。
少女は、「パピコキポ」と答えたが、意味が分からず首を傾げた。
それを見た少女は、細い首輪に触れて何かしている。
そして、「あなたは、誰?」と聞いてきた。どうやら、首輪は翻訳機だろうと推測した。
「俺は、マシュー、人間だ」
「マシュー?ニンゲン?」
「名前が、マシュー。種族名が人間」
「あぁ、そういう意味ね」
「君は、宇宙人?」
「この星の生まれ以外というなら、宇宙人よ」
そう言いながら、ベッドの頭部分のスイッチを操作する。
「どうやら、私は、一万年ほど眠ってたらしいわ」
「起こしてくれてありがとう」
「君の名前は?」
「あなたの声帯では、発音できないわ。とりあえず、パピーって呼んで」
「おい、マシュー、その子は何だ?!」
ロックさんの声が上ずっている。
「宇宙・・・うーんと、遠いとこからやってきたようです」
こうして、俺たちは、未知との遭遇を果たした。




