第64話 王都にて
俺たちは王都に着いた。門番に『マシュー』ですと告げると、冒険者ギルドカードのチェックもなく、すんなりと門を通り抜けられた。
しかも、門番の一人が、「お屋敷まで、お送りいたします」と馬車の前を馬に乗って案内してくれる。
王都の賑やかな中央街を抜け、大きな屋敷が並ぶ地域まで来た。
「ここが、マシュー侯爵のお屋敷でございます」
と言って去って行った。
***
目の前には、門番がおり、俺たちを認めると門を開けてくれた。
俺たちは、あっけにとられ、目の前にある大きな屋敷を眺めていた。
そのすぐ後に、執事らしき人が、
「マシュー様、お待ちしておりました」
と馬車から降りた俺たちを屋敷に案内してくれた。
屋敷に入ると、メイドさんがずらりと並び、頭を下げている。
「なに、マシュー、私怖い」
「俺もだネネ」
「こちらへどうぞ、マシュー様」
執事らしき人が案内してくれる。
その部屋は、豪奢な絨毯が敷かれた、大きな部屋であった。
「こちらにお座りください」
体が埋まるような、やわらかいソファーに座ると、すぐにメイドさんが、紅茶を運んで来た。
そこで、執事らしき人が、
「お初にお目にかかります。筆頭執事のセバスチャンと申します」
(やっぱり、執事は『セバスチャン』なんだ。決まりとかあるのかな?)
その隣の歳をとった女性が、
「お初にお目にかかります。メイド長のヒルダでございます」
「少し、お休みになった後、屋敷内をご案内いたしますので、ごゆっくりしてください」
「マ、マシュー」
「ネ、ネネ」
俺たちは、まったく場違いな場所で、オロオロしていた。
***
しばらくしてから、執事のセバスチャンが入ってきて、
「すっかり忘れておりました。申し訳ありません。ご主人様は長旅の後でした」
「お風呂と、着替えをご用意しました」
「ささ、こちらへ」
「ネネ様はこちらです」
ヒルダがネネをつれて行く。
長い廊下を歩いていると、
セバスチャンが「こちらがお風呂でございます」と一つの部屋を示す。
部屋に入ると、
「ん、なんだ!この大きな浴槽は!」と驚いていると、メイドさんたちが入って来た。
「お体を洗わせていただきます」
「えー、いらない!いらない!一人で入れるよ!」
「そうでございますか、それではごゆっくりなされてくださいませ」
「ふー、あせった」
俺は、体を洗って浴槽に入る。
「あー気持ちいい。けど、浴槽が大きすぎて落ち着かない」
お風呂から上がると、メイドさんたちが待ち構えていて、
「お体をお拭きいたします」
「いらない!いらない!一人で拭けるよ!」
「そうですか、旦那様のお着替えは、そちらに置いてございます」
メイドたちが出て行く。お風呂に入ったばかりなのに、どっと疲れた。
かなり、上等な下着と貴族らしい服に着替える。
「ささ、先ほどのリビングにどうぞ」
迷いそうなので、セバスチャンの後を付いて行く。
***
しばらく、待っていると、ネネが疲れた顔で、ドレスを着ている。
「いいって言ったのに、全身洗われて、これに着替えさせられて」
「変じゃない?」
「きれいだよ、ネネ」
「俺のほうは?」
「変」
「ひ、ひどいよ!ネネ!」
「だって!マシューじゃないみたいなんだもの」
***
「さあ、そろそろ夕飯にしましょう」
そんな、二人の会話に割って入って、セバスチャンが言う。
「ひどいですねぇ」
「ひどいわ、これは教育が必要ね」
二人が、俺たちの食事姿を見て、頭を抱えている。
「何か問題でも?」
俺が問いかけると、
「食事マナーですよ、食事マナー」
セバスチャンがそう言う。
「これは、教育が必要ね」
ヒルダもそう言う。
それから、俺とネネはマナーについて、みっちりしごかれることになった。




