第63話 夜の密談と新天地
王様は、祝宴の後、魔王城に泊まった。
魔王の部屋で、存分にヲタトークを楽しんでいた。
「マシュー殿から聞いたが、拙者らが転生した後にゲームが3Dになってたらしいでござる」
「ポリゴンか?」
「いや、もっと細かく、実写のようでグリグリ動くらしいでござるよ」
「信じられん、ゲームの世界はそんなに進歩したのか?」
「そうらしい、見てみたかったでござる」
「それはそうと、そろそろマシューを返してくれんか?」
「えっ!マシュー殿を?」
「よいではないか、結構、長い間魔族領にいたではないか」
「そうでござるなぁ、会いたくなったら、そちらに行けば良いし」
「では、返してもらうぞ」
「しかたないでござる」
こうして、俺の知らないところで、俺の行き場が決まったのである。
翌日、俺は魔王城に呼ばれた。
謁見室では、王様と魔王が並んで座っていた。
俺は、悪い予感でいっぱいだった。
王様が言う。
「マシューよ、もう魔族領に長いこといるだろう?」
「そろそろ、人間領に戻ってこんか」
「えっ!私が人間領にですか?」
「そうだ、侯爵としての屋敷も与えるし、店も王都に構えればいい」
「そ、そんな。いきなり!魔王様ぁ」
「これは、決まったことなのじゃ」
「これまで、大儀であったのじゃ」
頭が、真っ白になって、いつの間にか家に帰っていた。
「どうしたの?何か変よ?」
「ネネ、人間領に戻ることになった」
「えぇ!人間領に?」
「しかも、王都らしいんだ」
「王都かぁ、今、お母さんが王都にいるからいいかも」
「ネネは、ポジティブだなぁ」
「俺は、いきなり過ぎて、何が何だかだよ」
「いいじゃない、結構長く魔族領にいたんだし、気分転換よ」
それからが、大変だった。長いこと、魔族領にいたので、商店街の人たちや、そのほかの知り合いに挨拶しまくった。
馬車で魔族領の王都を去る時に、王都のみんなが見送ってくれた。
「「マシュー様」」「「マシュー様、ありがとう」」
思わず涙ぐんでしまう。それだけ長く、魔族領の王都にいたのだ。
こうして、俺とネネは、人間領に向かった。




