第56話 誕生日会その2
実家から手紙が来た。
『マシュー、12歳、13歳の誕生日会は、おまえが忙しくて
見送りしたが、14歳の誕生日会はどうだ?
帰って来られるなら、来て欲しい。もちろん、ネネ殿
と、リリ殿も連れて来い。
父より』
「ネネ、どうだ?行けるか?」
「マシューは、侯爵様になったんだから、今回は行くべきだよ」
「そうだなぁ、じゃあ、行くか」
「あっ!お母さんは、ダメそう。新しいチェーン店の指導があるから」
知らない間に、レストランのチェーン店がどんどん増えていく・・・
「じゃあ、俺とネネで行こうか」
「そうだね、そうしようよ」
***
「エリーよ、諜報部からの報告で、マシューが誕生日会で実家に帰るらしいぞ」
「そんな楽しそうな会ならば、わらわも行きたいのじゃ!」
「それでは、こっそりと行って、マシューを驚かそうぞ」
「父上、いい考えなのじゃ。マシューを驚かせるのじゃ!」
***
数日後、俺とネネは、実家に着いた。
またしても、町の門に「歓迎!マシュー侯爵様」の垂れ幕がかかっていた。
実家は、相変わらず大きな豪邸である。
両親が出迎えてくれた。
「おぉ、マシュー、久しぶりじゃのう」
「マシュー、大きくなって」
両親が涙目になっている。その横に町長がうやうやしく、
「マシュー侯爵様、お待ちしておりました」
とお辞儀をしてくる。
***
誕生日会は、またもや、公民館の中庭で行うそうだ。
ステージがあつらえられ、俺はその袖で待たされる。
まずは町長のスピーチだ。
「この町は、大きくなって、街となった!」
「この街に、大いなる富を与えてくれた、マシュー侯爵様に感謝を」
「「「感謝を」」」
町民皆の叫び。
まだちょっと、怖いんですけど。
「さあ、14歳を迎えたマシュー侯爵様をお呼びしましょう!」
「マシュー侯爵様」「マシュー侯爵様」「マシュー侯爵様」
また、ここで出て行くの?
父さんに押されて、ステージに上がる。
「きゃーマシュー侯爵様」「マシュー侯爵様」「マシュー侯爵様」
居心地悪い。でも、挨拶はしなければならない。
「どうも、マシューです。晴れて14歳になりました」
「「うおーー」」「「マシュー侯爵様ぁ」」
怖い、はっきり言って怖い。
「皆さまに商品を作っていただいているおかげで、わがマシュー商会が成り立っております」
「これからも、新製品を考えていきますので、その際はよろしくお願いいたします」
「「マシュー侯爵様、万歳」」「「マシュー侯爵様、万歳」」
言うことは言ったので、ステージの袖に下がる。
「さあ、皆さん、マシュー侯爵様の14歳の誕生日を祝い、飲んで食べましょう」
町長がしめる。
町民たちは、テーブルの飲み物、食べ物で大いに盛り上がっている。
「父さん、町の人口がとんでもないんだけど」
「おまえが、店の支店を増やす度にこの町が発展していく」
「町長の言う通り、町ではなく、街になったのだ」
「おまえも、侯爵様になって、父は嬉しいぞ」
父さん、母さんが泣き始める。
「ネネ殿も、マシューを支えてくれているようで、感謝している」
ネネは、恥ずかしそうにうつむいている。
町長が、
「堅い話は、後にして、飲んで食べようではありませんか」
と、広場に連れ出す。
「きゃーマシュー侯爵様よ」
あっという間に囲まれる。
そこで、魔王とエリーが、ひょっこりと顔を出す。
「「魔王様よ」」「「エリー姫様だ」」
町民が、騒ぎ出す。
「親友の誕生日会に、参加させてもらうぞ」
魔王が言う。
「「魔王様」」「「エリー姫様」」
町民は、このハプニングに大騒ぎだ。
「これは、これは、魔王様、お越しいただきありがとうございます」
町長が、お礼を言う。
「いやいや、親友の誕生日会じゃ、わしも祝わせてくれ」
魔王、エリー、なぜここに?聞いてないぞ!俺はビックリする。
「おぉ、マシュー殿。14歳の誕生日、おめでとう」
魔王が、いい顔で、言った。
「ちょ、魔王、エリー、聞いてないんだけど」
「なに、おぬしの誕生日をやると聞いてな、駆け付けた次第じゃ」
やっぱり、魔族の諜報力、怖い。
「魔王様、エリー姫様、マシューがお世話になっております」
父さんと母さんが、頭を下げる。
「マシュー殿の両親か、こちらこそ、お世話になっておる」
「「マシュー侯爵様、魔王様、エリー姫様、万歳!」」
町民は、大盛り上がりだ。
こうして、大騒ぎのうちに、誕生日会は幕を閉じたのであった。




