第54話 王城での人魔会談
人間族の王都に着き、一晩泊まった翌日に、俺たちは王城へと出向いた。
さすがに、門の兵も魔王の姿を見て、
「魔王様、王がお待ちです」
とすんなり通された。
謁見室につくと、王様が、一段高い床の椅子から立ち上がり、魔王の手を握り、
「よく来てくださった、魔王殿」
「うむ、先だっては、そちらから出向いていただいたのでのぉ」
「ささ、こちらへ」謁見室内の円卓に案内され、お茶をふるまわれる。
「国王殿よ、ユニティアの街は、うまくいっておるようじゃなぁ」
「魔王殿、おっしゃる通りでございます。わが領内でも、第二のユニティアの街をと、国境付近の町が名乗りを上げております」
「我が領内でも、同じことが起きておる。喜ばしいことよのぅ」
「人間族と魔族の友好は、着実に進んでおりますなぁ」
と、王様が言い、なんだかソワソワし始める。
「ま、魔王殿とマシューとで、余人を交えず話がしたいと考えておりますが、いかがでしょう」
「エリー姫君と、ネネは、別室にてお菓子を用意させております」
「お菓子じゃと!ネネお姉ちゃん、行くのじゃ」
エリーは、ネネの手を引っ張る。
「はいはい、行こうね。マシューまたね」
「さて、我々も」と連れて行かれたのは、王様の部屋だった。
俺は、愕然とした。見事なヲタク部屋だったからだ。
「魔王殿、いや、魔王。おぬしも転生者だとマシューから聞いている」
「いかにも、拙者は転生者でござる」
「おぉ!おぉ!素晴らしい!転生者の日本のヲタクが一堂に会するとは!」
「拙者も、嬉しいでござるよ。王よ。これは、土産でござる」
王は、受け取り、木箱を開ける。
「な、なんと!これは、シャ〇専用のズ〇ック!これはまた、コアな選択を」
「拙者、ズ〇ックが好きでな。第一期を至高と呼ぶ王にはふさわしいかと」
王は、まったく聞いていなかった。
「この色、造形、まさしく完璧。角も再現されているぜ」
「王様!王様!」
俺は、声をかける。
王は、はっと我に返り、
「魔王よ、このような貴重な物をもらってもいいのか」
「いいでござるよ。同好の友ではないか」
魔王と、王は、がっしり握手を交わす。
「人間族と魔族の友好は永遠だ!」
王が言い放つ。
そこからは、俺を交えて、ヲタトークを楽しんだ。
「また、会って話をしたいぜ」
「拙者もそうでござる」
「ちょっと、待った。王と魔王はいいが、俺は平民の商人だぜ」
「なんとか、ならぬか?王よ」
「よし、相分かった!こちらで何とかするぜ」
「おぉ、心強いでござるよ、王よ」
「まあ、任せておけって、親友よ」
ガッシと、再び握手を交わす二人。
俺は、とんでもなく嫌な予感しかなかった。




