第53話 魔王の訪問
王様との謁見から、半年後、人間族の王から手紙が届いた。
「ほほぅ、何であるかな?」
魔王は、手紙を大臣から受け取り、読み進める。
『拝啓、魔王殿。
魔王城での会談から、半年が過ぎ申した。
此度は、我が王城にての会談を希望する次第であります。
是非とも、エリー姫君と共にご来城いただきたく存じます。
なお、その際は、我が国のマシューも、同行願いたい。
国王』
「人間族の王城か、魔王城に来て貰った手前、断れんのぅ」
「大臣、一週間後に行くと返事を、出しておけ」
「ははぁ、魔王様。仰せのままに」
「して、マシュー殿は?」
「もちろん、連れて行く。ネネ殿も一緒にな」
こうして、俺の知らない所で、王城への出発が決まった。
***
魔王の側近が、うやうやしく魔王からの手紙を差し出す。
悪い予感しかない。
手紙を開くと、
『マシュー殿、国王のたっての願いにて、人間族の王城への
同行を命ずる。
なお、ネネ殿も連れてくるように、エリーも連れてゆくがゆえに
魔王』
悪い予感が、当たった。王様、行動早すぎだろう。
「何?その手紙?悪い事?」
「うんにゃ。魔王とエリーと共に、王城への出頭命令だ」
「エリーちゃんも一緒!それなら、私も行くわ」
「はぁーーー」
俺は、ため息しか出なかった。
***
一週間後、魔王の馬車で、人間族の王都に向かう。
馬車内では、エリーとネネが大騒ぎだ。
「なあ、マシュー殿、此度の訪問依頼は、どのような意図があるのでござるか?」
俺は、頭を抱えて、言った。
「ごめん、魔王。魔王が転生者だということを王様にバラした」
「なんと、それはなぜでござるか?」
「王様も日本からの転生者だったんだよ」
「本当でござるか?」
「本当だ。しかもヲタク。転生した時期も、お前と同世代だ」
「なんと、現実はラノベより奇なり!」
「そのようなことが、あるのでござるなぁ」
「多分、会談なんて名目。王様は、俺たちとヲタトークをしたいんだろう」
「それは、願ったりかなったりでござる。そうか、王様がのぅ」
「王様は、ガン〇ムの第一期派らしいぞ」
「分かっておられるでござる。第一期は至高でござるがゆえに」
「がぜん、会談が楽しみになってきたでござる」
「俺は、憂鬱だ」
頭を抱える。
数日をかけ、人間族の王都に着いた。




