第50話 マシュー商会
商業ギルドから、呼び出しが来た。
「なんだろう?何かしたかな?俺?」
「何もしてないと思うわよ。行ってみたら」
とネネが言う。
「そうだね、しばらくの間、商業ギルドに顔を出してないからなぁ」
そうして、俺は、ローゼンバッハの街の商業ギルドに行くことにした。
魔族領の王都から、ローゼンバッハの街へは、結構遠い。
数日間かけて、ローゼンバッハの街の商業ギルドに赴いた。
着いてすぐに、応接室に通される。
しばらく待つと、ギルド長のアマンダが現れた。
「ギルド長、何かありました?」
率直に聞いた。
「遠くから、申し訳ないわねぇ、マシュー」
「実は、あなたの店のことなの」
「店が、どうしたんですか?何か問題でも?」
「問題というわけではないのよ。あなた、自分の店がいくつあるか把握している?」
「たしか、実家の町に2店、この街に3店、ユニティアの街に1店、あとは俺がいる魔族領の王都に1店ですかね」
「あなた、レストランも経営してたでしょう?」
「あぁ、そうですね。この街に本店が1店、チェーン店が8店でしたっけ」
「あなた、その情報古いわよ。レストランは、この街でチェーン店が10店、王都では3店よ」
「えぇ!いつの間に?」
「あなたの部下は優秀ね。着実にチェーン店を増やしているわ」
「申し訳ございません。レストランの方は把握できておりませんでした」
「はぁー、まあいいわ。問題は規模よ」
「規模ですか?」
「そう、これだけの店を構えていて、商会を作っていないのは、異常だわ」
「商会ですか。作らなきゃダメですか?」
「ダメよ。こちらとしても、あなたの店全体の窓口が必要なんだから」
「そうですか、そう言われるなら作ります」
「そう、いいわ。それで、名前は?」
「名前?そうか名前かぁ。父の店を発展させたんで、父に相談します」
「そう、早急にね」
「分かりました」
商業ギルドを後にして、商会の名前について、実家の父に速達で手紙を送った。
数日後、返信が来た。
「なになに、『おまえが大きくした店だからマシュー商会にしなさい。異論は認めん。』って、俺の名前かよ!」
父の手紙を手に、商業ギルドに行った。
応接室で、ギルド長に手紙を見せる。
「どうにかなりませんかねぇ。自分の名前の商会なんて恥ずかしいですよぅ」
「お父上は、道理を分かっているわね。この名前で登録するわ」
「そ、そんなぁ」
「諦めなさい、あなたの名前は、自分が思っている以上に知れ渡っているのよ」
こうして、マシュー商会が誕生した。このことは、世間に広まり、思いもよらぬ騒動のきっかけとなるのだった。




