第45話 攫われたエリー
エリーは、気が付いた。一瞬なにがなにが起こっているのか理解できなかった。
しかし、口には猿ぐつわ、手足はロープで縛られている。
エリーは、理解した。わらわは攫われたのだと。次第に涙がこぼれてくる。
(怖いよぅ、助けて父上ぇ)
「起きたようだな。魔族のお姫様」
後ろから、声がする。はっと、体の向きを変えて、そちらを見る。
黒い頭巾を被った男たちが、椅子に座っていた。
「んー!んー!」
「無駄なことはやめな、それじゃ何にもできないだろう」
それもそうじゃと、エリーは、黙った。結構、度胸はあった。
「俺たちはな、魔族との友好なんてまっぴらなんだよ」
「なぜ、下賤な魔族と仲良くせねばならん」
「賢王ともてはやされているが、愚王だな、ありゃ」
「だから、会談をぶち壊してやったのさ」
人間族の王と父上の崇高な考えを、踏みにじるなんて!エリーは、怒りで顔を真っ赤にした。
「悔しいか、お姫様」
男がエリーの腹に蹴りを入れる。
「ん、んー!」
痛さに顔をゆがめるエリー。
(マシュー、ネネお姉ちゃん、助けてなのじゃ)
***
その頃、砦では、エリー姫捜索隊が結成されつつあった。
しかし、誘拐犯が人間族なのか、魔族なのかすら分からない。
王様は、すぐさま現場に残る貴族たちに聞き込みを行っていた。
魔王はといえば、うろたえまくっていて、「エリー!エリー!」と泣き叫んでいた。
魔王の側近もどうすることもできず、うろたえている。
そこで、俺は、こっそりと魔王に近づいて、耳打ちをする。
「おい、魔王。しっかりしろ」
「そう言われても、拙者のエリーが、エリーが」
「落ち着け、魔王。お前には、魔力探知が使えるだろう。エリーが家出したあの時のやつだ」
「おぉ、そうじゃった!エリーは探知できるぞ!」
「よし、俺も行くぞ!いいかげん俺も腹が立っている!」
「そうか、来てくれるか!親友よ!」
「行かいでか!」
こうして、正気に戻った魔王は、さっそく捜索隊を組織しはじめた。
そこに王様が、申し訳なさそうにやって来た。
「貴族連中に聞き込みをしたところ、どうやら魔族との友好反対派の仕業が濃厚だ」
「人間族がだと!」魔族の貴族連中が憤る。
「まあ、待て!まずは、エリーを救出するのが先決であろう!」
魔王は、完全復活した。
「わしが、魔力探知でエリーを探す!皆の者ついて来い!」
こうして、姫様捜索隊作戦が開始された。




