第41話 魔族領支店
魔族領に支店を作ることとなった。魔族との国交樹立の条件だから、断れない。
言わば、王命である。
従業員を募ったが、国交が樹立したとはいえ、元は敵地だ。誰も手を挙げない。
困ったすえ、ネネに相談した。
「私が行くよ!エリーちゃんとも会えるし」
速攻で、会計担当が決まった。
あとは、商品説明係だが、
「私はダメよ、だって地縛霊だから」
ジュディに、すげなく断られた。そりゃそうだ。
これは、俺が行くしかないか。
結局、魔族領支店は、俺とネネに決まった。
支店は、魔族領の王都になった。いつかは王都へ、という野望があったが、違う王都だった。
どうして、こうなった。
俺は、商業ギルドに、ことのあらましを説明に行った。
応接室で、ギルド長のアマンダに説明する。
「そういう訳で、魔族領に支店を作ります」
「何が、『そういう訳』なのよ。さっぱり分からないわ」
「ですから、魔王が、国交を樹立する条件に、俺の店の支店を魔族領に出すことを望んだんです」
「なんで、魔王はそんな条件をつけたのよ?」
「それは、俺が魔王と縁がありまして」
「一介の冒険者が、なんで魔王と縁があるの?」
「まあ、それは、色々ありまして」
「いいわ、言えない事情があるのね」
「えぇ、まあ、色々です・・・」
「それで、支店はどこに?」
「魔族領の王都です」
「魔王の、お膝元じゃない!」
「誰が行くのよ?」
「募集はしたのですが、誰も行きたがらなくて、俺とネネが行きます」
「そうでしょうね、魔族領になんて、誰も行きたがらないわよ」
「それで、いつ行くの?」
「店の設計図は、送りましたんで、店が完成してから商品を持って行きます」
「気を付けなさいよ、人間が嫌いな魔族もいるかもだから」
「はい、それは重々承知しています」
説明を終えて、商業ギルドを後にする。次は、冒険者ギルドだ。
冒険者ギルドの応接室でギルド長に説明する。
「そういう訳で、魔族領に支店を作ります」
「何が、『そういう訳』なんだ。さっぱり分からんが」
「ですから、魔王が、国交を樹立する条件に、俺の店の支店を魔族領に出すことを望んだんです」
「なんで、魔王はそんな条件をつけたんだ?」
「それは、俺が魔王と縁がありまして」
「一介の冒険者が、なんで魔王と縁があるんだ?」
「まあ、それは、色々ありまして」
商業ギルドとまったく同じセリフだ。
「とにかく!俺とネネは、魔族領の王都に支店を構えます!」
俺は、説明が面倒くさくなっていた。
「店の設計図は、送りましたんで、店が完成してから商品を持って行きます!」
「おぉ、そ、そうか、気を付けて行って来い」
「はい!それは重々承知しています!」
言うだけ言って、冒険者ギルドも後にする。
あとは、実家の両親にも説明しなければならない。
まあ、いいか、支店に行ったら、手紙を出そう。そうしよう、そうしよう。
説明が、面倒くさいので、事後報告だ。
そうこうしているうちに、魔族側から、店が完成したとの連絡が来た。
俺は、商品を馬車に積めるだけ積んで、ネネと一緒に魔族領の王都に向かった。
途中の魔族の町では、おおむね好意的に迎えられた。
王都に着いたら、まず、魔王との謁見だ。
謁見室にて、魔王に挨拶をする。
「魔王様、ご機嫌麗しゅう、店が完成したとの連絡を受け、参上いたしました」
「おぉ、苦しゅうない。後で別室にて、話を詰めようぞ」
「はっ、承りました」
謁見室を後にし、別室へと案内される。
しばらくして、魔王とエリーが入って来た。
「マシュー、ネネお姉ちゃん、久しぶりじゃのぉ」
エリーが、ネネに抱きつく。
「エリーちゃん、久しぶり!」
ネネとエリーは、キャッキャとはしゃぐ。
「おい、魔王、どういうことだよ?あの条件は?」
「拙者は、親友が近くにいればと思ったんでござる」
「まったくもう、周りに説明するのが、どんだけ面倒だったと思う?」
「悪かったでござるよ、趣味の話ができる友が欲しかったんでござるよ」
「商品が、こっちで売れるかも分からないんだぞ」
「大丈夫でござるよ、あっちの世界の文明の方が進んでいるんで、その商品は、必ず売れるでござるよ」
楽観的な魔王に、頭を抱える俺であった。




