第37話 魔族領への進攻 前編
王城で、マディソンがいら立っていた。
「冒険者ギルドと言い、商業ギルドと言い、みんな国賊だ!国賊!」
「マディソン様、兵力が整いました」
「そ、そうか。人数は?」
「2万でございます」
兵力さえ整えば、進攻ができる!
「若干、問題が」
「なんだ」
「兵站が少のうございます。商業ギルドが王都への供給を停止してまして」
「商業ギルドか、いまいましい国賊め!」
「物資は、進攻した魔族領から、略奪すればいい」
「一週間後に、魔族領に進攻するぞ!」
「はっ!了解いたしました!」
***
それより、少し前の話。
俺は、冒険者ギルドから帰って、考え込んでいた。
このことを、親友の魔王に知らせるすべは無いかと。
「何を、考え込んでるの」
ネネが尋ねた。
「どうにかして、親友の魔王に、進攻のことを伝えられないかと」
「うーん、魔王城に行かなきゃ無理ねぇ」
「でも、魔族領に人間が入るなんて無理だ」
「でも、エリーちゃんは入ってこられたよね?」
「そうだ、付け角よ!付け角を付ければ、人間とは気が付かれない」
「そうか、その手があったか!」
さっそく、付け角を作って、付けてみる。
「どうだ?」
「魔族っぽい!大丈夫そう。バレないよ」
「よし、さっそく行ってくる」
「魔王城が、どこにあるか知ってるの?」
「それは、大丈夫!魔王が遊びに来いって、地図を貰ってある」
「ほんとに、仲がいいのね」
「同好の間柄だからな!」
俺は家を飛び出して、魔王城に向かう。
神様の過剰な加護のおかげで、寝ずに走り続けることができた。
魔王城に着き、門番に、
「魔王様に謁見しに来たマシューです」
「魔王様に謁見?ダメだ!ダメだ!」
「では、せめて言付けを、『マシューが来ました』と言っていただけたら」
と、門番に宝石を握らせる。
「ま、まあ、言付けぐらいなら良いだろう」
それから、待つこと30分。ドドドドって言う足音と共に魔王が現れた。
「マシュー殿、遊びに来てくれたのか」
「歓迎するぞ」
遅れて、トテトテとエリーも出て来た。
「うわーい、マシューじゃ」
門番があっけに取られている所で、城へと招かれる。
「マシュー殿、どうした。アニメ談義でもしにきたのか」
「そうじゃないんだ、言いにくい事だけど、人間が魔族領への進攻を企んでる」
「なんじゃと、人間が?」
「誤解しないで欲しい、全ての人間じゃなく、王都の人間たちだけだ」
「そうか、おぬしとわしは、親友だからのぉ」
それから、地図を持って来て貰う。
「王都から進攻するんだから、攻め込むのはここだろう」
「そうか、すぐに兵隊を配置する。大臣を呼べ!」
大臣が来て、俺は同じ説明をする。
大臣は、
「至急、兵を配置します」
と、駆け出していく。
「よくぞ、知らせてくれた。礼を言う」
「よせやい、俺たち親友だろ。俺も王都以外の人間も戦争なんて、望んでない」
これで、何も知らない魔族の人々は救われる。俺はそう思った。




