第30話 ダンジョンその後
ようやく、地上に戻って来た。長かったような短かったような。
でも、気付いたことがある。
「ロックさん、このダンジョン探索は、俺を教育するためだったんですよね?」
「半分正解で、半分不正解かな」
「どう言う意味です?」
「単純に新規ダンジョンに興味があったのと、マシューの能力を見たかったって所かな」
「それで、どうでした俺の能力は?」
「はっきり言って規格外だね」
「でも、マシューがそれを盲信しすぎてるきらいがある」
「確かに能力は規格外だけど、その上限は、神のみぞ知るってやつだ」
「君は固い、でもその固さを超える力が来たら、君は負ける。固さにすがっちゃいけないんだよ、避けないと、その努力を君はしていない。攻撃力も一緒さ、上限は、神のみぞ知る」
衝撃が走った。その通りなのだ。俺は、「俺は固くて強いから」で全てを終わらせていた。
「ロックさん、本当にありがとうございました。目が覚めました!」
「まあ、まあ、冒険者の先輩だからね。指導もするさ」
「君も精進して、Aランクになりなさい。そしたら、俺らのメンバーと前人未踏のダンジョンに一緒に行こう」
「はい!是非!」
「じゃあ、またね」
ロックさん達は、帰って行った。
***
俺も家に帰った。
「ただいまー」
「おかえり?あれ?何か感じが違う?」
「色々あってね」
「そうなんだ、ふーん、よかったね」
ネネは鋭い。
「そうだ、マシューの実家から手紙が来てたよ」
「あぁ、後から読むよ」
「風呂に入ってくる。もうドロドロだよ」
「風呂から上がったら、晩ごはんにするね」
風呂に入って、ロックさんの言葉を思い返す。さすがは、Aランク冒険者の金言。しみるなぁ。あんな大人に俺もなりたい。
晩ごはんを美味しく頂き、自室に帰って実家からの手紙を読む。
なになに、
「マシューの11歳の誕生日会を実家で行うから、絶対帰ってくるように。ネネちゃんと、リリさんも連れて来るように!」
なんだぁ、誕生日会を実家で?面倒くさいなぁ、でも絶対と書いてあるし行くか。ネネとリリさんも誘って。
***
後日、冒険者ギルドに顔を出すと、速攻で応接室に通された。
しばらくして、ギルド長が来る。
「おまえ、ロックさん達とダンジョン攻略に行ったらしいな」
「はあ、まあ」
「はあ、まあ、でない!うらやましい!」
「へっ!」
「おまえ、知らないのか、ロックさん率いる『炎の牙』の伝説を!」
「Aランク冒険者の集まりで、あちこちのダンジョンを攻略し、もはや、伝説的なチームだぞ!」
「えぇ!マジで!」
「マジじゃ!本気と書かなくても、マジじゃ、くぅー俺も一緒したかった!」
「そんな、凄いチームだったんだ」
「それでどうだった?」
「色々、学ばせていただきました」
「話はそれだけですか?」
「いいや、商業ギルドから通達があってな。9月3日から9月7日は、おまえに依頼を振らないようにとのことだった」
「何かあるのか?」
思いっきりあるけど、
「さあ、なんででしょうね」
と誤魔化す。
こうして、俺の誕生日会の外堀は埋められて行くのであった。




