第17話 レストラン
マスコットキャラクターのジュディが出現してから、幽霊が商品説明してくれる店として、ますます客足が増えて来ていた。
***
俺は、以前から考えていた、計画を実行することにした。
***
俺は、数日前から猫屋を出て、店舗の三階に住んでる。一人で住むには、広すぎた。
単純に、店舗スペース=居住スペースだからだ。使ってない部屋がいくつもある。
***
店の休日日に猫屋に行った。
「ネネ、居る?」
「あ、マシュー、いらっしゃい」
「ネネ、お母さん居る?」
「呼んでこようか?」
「お願い」
そして、ネネのお母さんが来て、食堂に移りお茶をいただいた。
そこで、俺は切り出した。
「ネネのお母さん。レストランの料理長になっていただけませんか?」
突然のことに、二人は固まった。
「ウチの店舗の二階にレストランを開こうと思いまして」
「いきなり、料理長なんて言われても」
ネネのお母さんは、下を向く。
「いいじゃない!お母さん、いい話じゃない」
「ネネ、そう言っても、私はしがない宿屋のおかみよ」
「いや、ぜひあなたの美味しい料理で、みんなを笑顔にしたい」
お願いいたします。俺は、頭を下げた。
「頭を上げてください。私の料理にそんな力はないです」
「何言ってるのよ、お母さん。ウチの宿のリピーターは、みんなお母さんの料理目当てだよ」
「そうですよ、僕もその一人です!」
「チャンスを拾って、前に進んで下さい」
散々、長々と悩んだ挙句、ネネのお母さんは、
「・・・分かったわ。その話お受けします。どうぞ、よろしくお願いします」
俺と、ネネは、ガッツポーズをとった。
「ぞれと、ネネのお母さんでなく、『リリ』と呼んでください」
「よろしくお願いします、リリさん」
***
そこららは、大急ぎだった。ゲンさんに店舗の二階のレストラン内装工事を頼んだ。
また、設計書が、「規格外だ!」とうれしい言葉をもらった。
それから、一か月、内装工事も終わり、商業ギルドにホール担当と厨房スタッフを紹介して貰った。
内装工事の間、リリさんは宿を休業にし、レストランのメニューを考案していた。
試食は、もちろん、俺とネネ。やっぱり、絶品だった。
商業ギルド長が、あの酒宴の料理は絶品だったと言ったのがうわさとなり、その料理人が今度のレストランのシェフだと分かると、前評判はうなぎ登りだった。
レストランの開店日は、店舗開店時と同じく行列が出来ていた。
***
それを、レストランの窓から見ていた、リリさんは、震えながら、
「大丈夫かしら、怖いわ」
「大丈夫、リリさんは、普段通り料理を作ってくれれば」
開店と同時に、客がなだれこみ、満席となる。ホール担当は注文を聞き、リリさんは、厨房スタッフに指示をしながら、料理を出して行く。
「美味しい!これ、美味しいわ!」
「旨めぇ!こんなのはじめてだ」
「噂はほんとだった!美味しい」
評判は、上々!俺は、ホールの隅でほほ笑んだ。
厨房スタッフが、食材が足りず市場に急いで買いに行く姿が、頻繁に見られた。
「今日の売れ行きから、食材の入荷を増やさないとな」
***
閉店後、リリを一階の応接室に呼んだ。もちろん、ネネも一緒だ。
「大成功だよ!リリさん!」
「わ、私の料理がこんなに喜んで貰えるなんて」
「お母さんの料理は、絶品なんだから自信を持ってよ」
「そうだよ、はじめて猫屋に泊まった時から、僕はぞっこんだよ」
「なんだか、信じられないわ」
「お抱え料理長として、これだけ出す。足りなかったら言って」
俺は紙に給料を書き、手渡す。
「えっ!こんなに!桁を間違えているのでは?」
「全然、それだけの利益は上がったからね」
ネネが横から覗く。
「すごい、猫屋の一か月の売り上げと同じじゃない!」
「これ、一日分?」
「もちろん。技術に見合った対価だよ」
「ホントに、ホントに、ありがとうございます」
リリさんは、涙を浮かべてそういった。
こうして、レストランの開店は、大成功に終わった。




