第15話 手がまわらない
開店からすぐに、あの店は便利な物がたくさん売ってると口コミで広がり、店は連日、満員御礼だった。
もう、目が回りそうに忙しい。うれしいが、手が足りない。
***
泥のように疲れて、猫屋に帰る。
「大丈夫、マシュー」とネネが心配してくれる。
「あぁ、なんとか」
と言う俺ももう限界かもしれない。
「開店したら、店の三階に住むって言ってたのに」
そんな状況ではなかった。閉店した後、疲れ切って晩御飯作る気力も、風呂をわかす気力もない。
「私、手伝おうか?」ネネが言った
「マジで、本気と書いて、マジで!」
「商品の説明とかできないけど、会計はできるよ。宿屋で慣れているから」
「助かる!給料は出すから!」
「ホント、じゃあ手伝う!」
***
次の日から、劇的に俺の負担が減った。俺が商品説明をして、ネネが会計をする。
「ありがとうございます」
最後のお客様が帰った。
店の扉をしめて、閉店のボードをかける。
「いやー、ほんとに助かったよネネ」
「そう、お役にたてた?」
「めちゃくちゃ、お役に立ったよ」
「明日も明後日も来てくれる?」
「うん、大丈夫だよ。宿は暇だからお母さんだけで大丈夫だし」
「給料は一日、これくらいでどう?」
俺は紙に走り書きする。
「えぇ!こんなに貰えないよ!」
「ネネ、今日一日の儲けはいくらだと思う?」
「わかんない、お客さんいっぱい来たから、結構?」
「ざっと、このくらい」
俺は紙に走り書きする。
「えぇ!こんなに!」
「だから、ネネの給料は妥当なんだよ」
「へぇー、じゃあ貰う。でもこれウチの宿屋の売上の半月分なんだけど。なんか複雑な気持ち」
こうして、従業員を一人GETした。




