第10話 町に帰る
街での用事が済んだので、いったん実家に帰ることにした。
「ネネ、僕、明日帰るから」
ネネが悲しそうな顔になる。
「戻って来るんだよね?」
「当然!街の店舗も確保したし、すぐに帰って来るよ」
ネネの顔が、パッと明るくなる。
「そうだよね、帰って来て、この街で暮らすんだよね」
「うん、まあ、そうかな」
ゆくゆくは、王都にも店を出す野望はあるが、黙っておく。
***
冒険者のロックさんの宿に行き、明日帰ることを伝える。待ち合わせは、街の門だ。
美味しい夕飯を食べながら、あぁ、この食事ともしばしお別れかと思う。
翌朝は、早めに起きて荷物をまとめる。
ネネは、ちょっと憂鬱そうだ。
宿代はかなり多めに払った。
ネネのお母さんは、多すぎると渋ったが、ご飯のおいしさと、ネネの街案内代だと言い受け取ってもらった。
「ネネ、またな」
「門まで送るよ」
***
ネネと一緒に幌馬車で門に向かう。
冒険者の皆さんは、すでに門で待っていた。
「さあ、帰ろうか」とロックが言う。
「ネネ、またね」
俺は手を振った。
ネネも手を振りながら、見えなくなるまで見送ってくれた。
「いい子が、できたじゃねぇか」ロックが冷やかす。
「とても、いい子です」
「おぉ、お熱いことで」
道中は平穏だった。
ゴブリンが出たが、俺たちを見ると逃げて行った。
そして、地獄の野営を経て、町に戻って来た。
***
冒険者に謝礼に色をつけてわたすと、
「いいのか、何もしてないぜ俺たち」
「初めての旅で、楽しかったんでいいんです」
「そうか、また呼んでくれよな!」
冒険者たちは、去って行った。
実家に帰ると、両親が俺の無事をよろこんだ。
「父さん、仕事は順調にすませたよ」
「そうだろう、そうだろう、お前に任せていたら問題ない」
俺は、久しぶりの実家でのんびり過ごした。




