第9話 物件巡り
朝、ネネが起こしに来てくれた。
「おはよう!もう朝食出来てるよ」
耳をパタパタ、しっぽブンブン。
「ええもんは、ええ!異論は認める!」
おっと、寝起きで理性が制御できてない。
「あー、ゴホン、すぐ行くよ」
「変な、マシュー。すぐ来てね」
朝食もめちゃくちゃ美味しかった。
「ネネのおかあさん。食堂は出さないの?客が呼べるよ?」
「そんな余裕は、うちにはないわ。ネネと暮らすので精一杯よ」
笑って、流された。絶対に成功すると思うんだけど。
***
その日もネネと連れ立って、商業ギルドに向かう。
今日は、紹介して貰った物件の内覧だ。
商業ギルドについたら、本部長のマークが飛んできた。
「お坊ちゃん、今日は何の御用むきで?」
腰が低い、めっちゃ、低い。
「今日は、紹介して貰った物件の内覧をお願いします」
「そうですか、ウチの者もお付けします。」
「おーい、マリー、おいで」
昨日の優しい受付の女性だった。
「マリーです。今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしく」
まず、一件目に向かう、中心街の外れの平屋の空き店舗だった。
「こちらは、いかがでしょうか」
正直、ちと狭い、2階建て以上は欲しいところだ。
「うーん、狭いですね。ここは、パスで」
二件目に向かう、中心街に近い、二階建てだ。
「ここは、いいかも。キープで」
三軒目に向かう途中で、中心街の角で三階建ての空き店舗があった。
「あれは、空き物件ではないのですか?」
案内のマリーの顔が曇る。
「空き店舗なのは、間違いないのですが、止めておいた方がいいかと」
「何故に?」
「事故物件なのですよ、何回か店舗が入ったんですが、みんな出て行ってしまって」
「いい立地だと思うんですが」
「出るんですよ・・・」
「何が?」
「幽霊ですよ!幽霊!」
「みんな、幽霊に追い出される形で、出て行ってしまうんです」
「興味深い、見てみましょう」
「事故物件なら、お安いんでしょう?」
「めっちゃ安いです。買い手がつかないもので」
「よし、行ってみましょう!」
「やめましょうよ、他に物件はありますから」
「中心街で角、それも三階建て。いい物件でしょ」
俺はマリーさんの静止も聞かず、その物件に入った。
マリーさんとネネも恐る恐る入って来た。
「いいじゃないですか、広い店舗。三階建て」
「ここは、強盗に殺された少女の霊が出るって」
マリーさんも、ネネも怖がっている。
俺は平気だ。だって、防御力・攻撃力・魔法がハンパないから。
店舗の中は薄暗く、いかにも出そうな感じだった。
ヒュードロロ。
どこかで、音がなった。「ヒュードロロ」って古くないか?
マリーさんとネネは、ビクッとする。
あぁ、効くんだなぁ。
そこに、半透明のゴスロリの少女が現れた!
「出てゆけー、出てゆけー」
「ゴスロリ少女、キターーーーー!」
少女がビクッとする。
いかん、いかん。冷静に冷静に。
俺は、ビクついてる少女に話かける。
「どうして、ここにいるの?成仏できないの?」
「なんで!あんたは、私が怖くないの?」
「全然、ゴスロリだし」
「ゴスロリは、関係ないでしょうが!」
「地縛霊なの?」
「本当に怖くないようね。そうよ地縛霊よ」
「よし、決めた!君ごと、この物件を買う!」
マリー「えっ!」
ネネ「ええっ!」
ゴスロリ少女「ええーーー!」
「馬鹿じゃないの、あんた!幽霊ごと買うって、どうゆうこと?」
「オプション、オプション」
「そんな、オプションあるかぁーー!」
そんなこんなで、ゴスロリ少女、名前はジュディと言うらしい、と話をつけて、たまに現れて店のマスコットになると言うことになった。
物件も安く変えて、ホクホクである。




