水着ミスコンと真っ当な優勝
そして迎えた、王立学園の卒業パーティー当日。
大講堂に集まった貴族たちや王族、さらには各国の要人たちは、ステージ上で繰り広げられている信じられない光景に目を丸くしていた。
「さあ、続いてのエントリーは、我が学園が誇る特待生、マリアさんです!」
司会者の声とともに、スポットライトがステージを照らす。
そこには、清楚な白いビキニに身を包んだマリアが、恥ずかしそうに頬を染めながら立っていた。
「きゃあっ……あの、店長に言われて無理やり出たんですけど……」
「おおおおおっ! 聖女様万歳!」
「あの恥じらいがたまらん!」
会場の男子生徒たちから、地鳴りのような歓声が上がる。
神聖なる卒業パーティーは、愛結の職権乱用によって、完全に「水着ミスコン会場」と化していた。
「ふん、マリアもなかなかやるじゃない。でも、主役は私よ」
ステージ袖で待機していた愛結が、ニヤリと笑ってマントを脱ぎ捨てた。
「最後のエントリー! 愛結商店社長にして、クライス公爵家令嬢! エレノア様です!」
愛結がステージに現れた瞬間、会場の空気が一変した。
彼女が身につけているのは、プラチナブロンドの髪に映える、漆黒のセパレート水着。
日々のハードワーク(という名のぼったくり行脚)で鍛え上げられた無駄のないパーフェクトボディと、自信に満ち溢れた堂々たるポージング。
それは、清楚なマリアとは対極にある、圧倒的な「強者の美」だった。
「どう? 私より美しい女がこの世にいるかしら?」
愛結が挑発的にウィンクをすると、会場の男女問わず、全ての視線が彼女に釘付けになった。
「す、すごい……なんて堂々とした……」
「悪徳社長だとは聞いていたが、あの美貌は本物だ……!」
審査員席に座るアルベルト王子や学園長も、満場一致で札を上げる。
裏工作など一切必要なかった。愛結は、その圧倒的な美貌とカリスマ性で、会場の空気を完全に支配したのだ。
「結果発表! 第一回・王立学園ミスコンテスト、優勝は……エレノア様です!!」
割れんばかりの拍手の中、愛結の頭上に「純金のティアラ」が輝く。
「当然の結果ね。私に勝とうなんて、百年早いわよ!」
愛結はティアラを被り、ステージの中央で高笑いをした。
しかし、その歓声を引き裂くように、会場の入り口から鋭い声が響き渡った。
「そこまでですわ、悪徳令嬢!!」
バンッ! と扉が開き、カトリーヌを中心とした貴族派閥の生徒たちが、厳しい顔つきでなだれ込んできた。
「神聖なる卒業パーティーを、こんな破廉恥な見世物小屋に変えるなんて……貴女の悪行も、今日で終わりですわ!」
カトリーヌは扇子をビシッと愛結に突きつけた。
水着姿でティアラを被ったままの愛結は、キョトンとした顔で首を傾げる。
「あら? あんた、水着審査に出る勇気がなくて逃げ出したカトリーヌじゃない。何しに来たの?」
「誰が逃げたですって!? ……ち、違いますわ! 今日こそ、貴女をこの学園から追放するために来たのです!」
いよいよ、原作のメインイベントである「悪役令嬢の断罪」が幕を開けた。
しかし、愛結の顔には、焦りどころか、底意地の悪い笑みが浮かんでいた。




