表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
龍と虎の首縊りの迷宮の悪役令嬢  作者: 秦江湖


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
51/74

職員室のドアは蹴破られる

「エ、エレノアお嬢様!? ここは職員室ですよ! ドアを破壊するなど、言語道断です!」


 ナイジェルが慌てて立ち上がり、手にしたコーヒーカップを震わせながら叫んだ。

 周囲の教師たちも、突然の襲撃に悲鳴を上げて机の下に隠れている。


「ドアの修理代くらい、愛結商店の経費で落とすからいいわよ! それより大問題よ、ナイジェル!」

「大問題? まさか、他の生徒と乱闘騒ぎでも起こしたのですか!?」

「違うわよ! 『学食』よ! この学園の学食、信じられないくらいマズいのよ!!」


 愛結は、手に持っていた「本日の日替わりランチ(パサパサのパンと謎のスープ)」を、ナイジェルのデスクにバンッと叩きつけた。


「いい? 王国のエリート貴族たちが集まる学園で、こんな貧民街みたいなメシを出してるのよ!? しかも値段は金貨一枚! ぼったくりにも程があるわ!」

「……先生。貴女が今までやってきた『ただの海水を金貨二枚で売る』などの商売に比べれば、まだ良心的な価格設定だと思いますが」

「私のぼったくりは『付加価値エンタメ』があるからいいの! でもこれはただの怠慢よ! 学園の厨房を仕切ってる業者が、予算を中抜きしてるに決まってるわ!」


 愛結は憤慨し、ナイジェルの胸ぐらを掴んで揺さぶった。


「というわけで、決めたわ! 今日からこの学園の学食は『愛結商店』が乗っ取るわよ! ナイジェル、あんたは今すぐ厨房に行って、現在の業者を物理的に追い出してきなさい!」

「……は? 私が、ですか?」

「当たり前でしょ! あんたは私の『優秀な執事』なんだから! あ、ついでに学園長も買収しておくから、契約書の作成もよろしくね!」


 愛結はそれだけ言うと、嵐のように職員室から去っていった。

 あとに残されたのは、粉々に砕け散ったドアと、冷めきったコーヒー、そして完全に絶望した顔のナイジェルだけだった。


「……私の、平和な教師生活が……」


 ナイジェルは崩れ落ちるように椅子に座り込んだ。

 同僚の教師たちが、同情の涙を流しながら彼の肩を叩く。


「元気を出してください、ナイジェル先生……」

「我々も、あの学食はマズいと思っていました。貴方の犠牲は、無駄にはしません……」


 教師たちからの謎の連帯感を感じながら、ナイジェルは重い腰を上げた。

 悪徳社長の命令は絶対である。彼はチョークを置き、エプロンと包丁(という名の武器)を手に、学園の厨房へと向かうのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ