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外側から見える世界


ニナが風呂へと入っている間に部屋の窓から続いているバルコニーへと出てみた。


遠くに魔族の村の集落だろうか、灯りが見えてなんだか安心する。


「こうしてみると生活自体は人間とあんまり変わらないのかもな・・・。」


そんな事を考えていると隣のバルコニーから声が掛かった。


「あら、ジーク様。」


呼ばれた方を振り返ると三女のリリーがワイングラスを片手に隣のバルコニーに出ていた。


「折角だし、お付き合い頂けませんか?」


グラスを揺らしながらそう言ってくるリリーに頷いてから隣のバルコニーへと一気に飛ぶ。


「まぁ!ジーク様は翼が無くても飛べるのですね・・・。」


「えぇ、風の加護がありますので。」


勇者は属性の加護を持つ者にしかなれない職業でもある。

そしてジークは風の加護を受けている勇者なのだ。


「そうなのですね、とても素敵です。」


ワインが注がれたグラスを差し出しながらリリーが微笑む。


少しニナに似ている笑顔にドキドキさせられてしまった。


「ジーク様は魔石に興味がおありかしら?」


「そうですね、魔界の洞窟で良く魔石を持って帰って生活の足しに売ったり

大きな魔法を使う際の媒介に使ったりしてました。」


「クス・・・。」


怪しく微笑む三女は確か17歳だったか。年下の癖にこんな妖艶な顔も出来るとは・・・。


「あそこを見て頂けるかしら?」


リリーの指が森の中の方を指し示す。暗闇の中から漏れるような光が見えた。


「あんな森の中に光?村とは全然違う方向ですね・・・。」


「あそこは魔石の精製や錬成を行う施設なのです。勿論、立ち入り禁止で

結界もありますが実は空には結界はないのです。」


リリーがあっさりと魔界の秘密を打ち明けてくるが逆にジークは嫌な予感がしてくる。

まるでその場所に人間である俺を行かせたい様にも受け取れる。


確かに魔石については謎が多く人間界では作る事は不可能だ。

それがあそこで精製と錬成がされているとなれば興味は出てしまう。


それに自分で精製や錬成が出来れば人間界では一生お金に困る事は無いだろう。

国を買えるほどの富を得る事も出来るかもしれない。


ニナを幸せにする為には知っておいた方が有利なのは間違いがないだろうな。


「ルナルザ商会というのを知っているかしら?」


「えぇ、人間界では相当大きな商会で各国にも支店を持つほどの大商会ですが・・・。」


問題は何故それを悪魔であるリリーが知っているのかという事だ。


「不思議じゃありませんか?人間界の様に悪魔は農地を耕しません。

ですが人間界と同じ食事が出来ているのです。」


言われてみて気が付いたが城で出てくる食事は人間界の物と酷似している。

材料はどう考えても同じものを使っていると思って間違いない。


そうすると働かない悪魔がどうやって食べ物やアイテムを揃えているのかという疑問に繋がる。


「簡単ですよ、魔石をルナルザ商会に卸しているのです。」


「馬鹿な・・・、人間が悪魔と取引などあり得ない・・・。」


「クス。人間界では罪でも悪魔の世界では罪ではないのです。」


リリーの言いたい事は何となく分かった。つまり今の俺は悪魔側にいる。

人間世界の常識で物事を計る事は止めた方がいいという事だろう。


「そう言えば、人間界の魔石の流通価格はルナルザ商会が決めていたな・・・。」


正しくやりたい放題って事か・・・。


それに中からじゃ見えなかったが人間界も悪魔に負けないほど汚い世界だという事か。


「あら、私とした事が少し酔ってしまったみたいです。お手を貸して頂けるかしら?」


リリーがそう言って手を差し出しくてくるのでその手を取った。


部屋に向かって歩き出すとリリーは酔ってるのか、足が縺れて転びそうになる。


慌てて彼女の腰を支えると両腕を回して抱き着いてくる。

大きな胸が押し付けられて、ぐにゃりとその形を変えた。


「大丈夫ですか?」


「えぇ、申し訳ございません。少々足首を捻ってしまったみたいです・・・。」


体重を掛ける様に抱き着いてくるリリーの体温が柔らかい胸から伝わって来るが

足首を捻ってしまっては仕方がない。


「失礼ながら部屋まで運ばせて頂きます。」


「申し訳ございませんが宜しくお願い致します。」


ジークがそのままお姫様抱っこをして部屋の中に運ぼうとした所で

隣のバルコニーに出て来たニナと目が合った。


両手でしがみ付く様に首に手を回すリリーとお姫様抱っこをしている場面を

目撃されるとは夢にも思わなかったがニナは口元に両手を当てたまま固まっていた。


不味い・・・。非情に不味いが言い訳はしておくべきだろう。


「ニナ、リリーさんが足首を捻ったから誰か手当が出来る者を呼んでくれ。」


それを聞いてニナの顔が不機嫌そうになった。


「あらもうニナに見つかってしまったのですね、残念です。」


そう言いながらリリーは白魔法を使って足首を治してしまう。


「え?えっ・・・?」


ジークが呆気に取られているとリリーが頬にキスをしてくる。


「えっ?あ・・・。」


まるでジークを困らせたい様にも見えるリリーの態度に動揺してしまう。


何より他の女にキスされたところをニナに見られるとは・・・。


そっとリリーを下ろして頭を下げてからニナの居るルーフへと戻る。


「うぅっ・・・。」


睨んで唸ってくるニナが死ぬほど可愛い。

睨んでる筈なのに可愛いってどういう事なんだ・・・。


「少しリリーさんに揶揄われたみたいだ。」


ふいっとニナがひとりで部屋に入って行ってしまうのを慌てて追いかける。


「ニナ、待って。」


慌ててニナを後ろから抱きしめるとニナの控えめな胸に触れてしまう。


「どうせ私は小さいです・・・。」


不機嫌そうに唇を尖らせるニナが可愛くて仕方がないが

どうすれば機嫌を直してくれるのかは分からなかった。


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