14歳の花嫁
戦闘後、ヴァンパイアのフィネルに案内されるままに謁見の間に赴く。
またここから交渉が始まるかと思って身構えた。
現れた魔王は人間界の情報通りの人物、ルギア・カルディアナだ。
俺が仲間達と戦えば勝てたであろう相手だがもう戦う事はないだろう。
「お主が勇者ジークか。ニナを嫁に欲しいという言葉に相違はないか?」
「はい。間違いありません。」
「ならばくれてやる。」
「は?」
余りに簡単にそして想像もしてなかった展開に戸惑ってしまう。
「ただし、お主は魔王軍に所属し人間を殺す事になる。その覚悟があれば、だがな。」
「その覚悟は既に済んでる。ニナの為なら世界を敵に回しても構わない。」
「ジークさん・・・。」
魔王の隣にいるニナが嬉しそうに微笑む。
「分かった、部屋はニナと同じで良いだろう。物好きな勇者よ、悪魔の為に尽力せよ。」
頭を下げると魔王ルギアは直ぐに部屋を出て行ってしまう。
取りあえずは悪魔軍に所属出来たという事だがそれより部屋はニナと同じでいいのか・・・。
ニナの寝顔なんてみたら幸せ過ぎて死ぬかもしれない・・・。
「ジークさん。」
パタパタと駆けよって来るニナが死ぬほど可愛いが・・・。
「これでニナと結婚出来るな。」
「あっ・・・。」
両手で口元を抑えるニナを見ると転げまわりたいほど愛らしいが何とか堪える。
「と、取りあえずジークさんはお疲れでしょうしお部屋へご案内致します。」
ニナがそう言って謁見の間から俺を連れ出そうとするがそれは他の姉妹によって遮られた。
「あらニナ。私達にも是非ご紹介を。」
そう言って三人の姫君が近づいてきた。ニナは何だか作り笑顔を浮かべているみたいだ。
この城ではニナも立場がある。俺が粗相をして姫たちの機嫌を損ねればニナにも影響するか・・・。
「ジーク・アスタルテです。以後、お見知りおきを。」
「まぁ人間なのにあれ程お強いとは素晴らしいですね。」
「えぇ、顔もなかなか可愛いのではないかしら。」
「何より魂の色が・・・。」
「えっ?」
「お姉さまっ!」
「あら失礼。ニナ、姫がそんなはしたない声を上げるべきではありませんよ。」
「申し訳ございません、お姉さま・・・。」
何だ今のニナの反応は・・・。魂の色って言葉に反応したよな?
すっかり大人しくなってしまったニアを置いて三人の姫は色々と質問を投げかけてくる。
三人共少しだけニナに似ているが胸はとても大きかった。
という事はニナもいずれは大きくなるのかもしれないな・・・。
ってニナって一体何歳なんだろう・・・。そんな基本的な事も聞いてないとは
俺って一体なにをやっているのだろう・・・。
適当に姫たちの会話に相槌を打ちながらやはりニナが一番可愛いと再確認してしまった。
そうして姦しい歓談を耐えてニナと一緒に部屋に戻る。
ニナの部屋は白が基調の部屋でやっぱり天使を思わせる雰囲気だった。
「ニナらしくてとても素敵な部屋だ。」
「ありがとうございます・・・。」
何だかさっきから少し沈んだようなニナが気になる。
「お姉さん達との事を気にしてる?」
「少し・・・。だってお姉さまってみんなお綺麗で・・・。」
そっとニナに近づいて耳元で囁く。
「ニナが一番誰よりも綺麗だったよ。」
「えっ、そんな嘘・・・。」
「嘘じゃない。俺はニナが一番だから。」
「ジークさん・・・。」
涙を浮かべるニナをそっと抱きしめる。
ニナよりも美人とか可愛い子なんて居る訳がないのだ。
「そう言えばニナって何歳なんだ?俺は一応18歳だけど。」
「あ・・・、14歳です。」
「14歳でその美しさは反則だな、それ以上綺麗になったら
眩しくて見ていられなくなりそうだ。」
「もうまたそうやって・・・。」
「兎に角、今日からはずっと一緒だ。よろしくな、ニナ。」
「は、はい・・・。不束者ですが、どうぞよろしくお願い致します。」
悪魔なのに悪魔らしくないニナを見ているだけでとても癒される気持ちになる。
どちらかというとニナは精霊に系統があるのかもしれない。
魔王の祖先の事なんて分からないから何とも言えないが、ニナはニナのままでいて欲しい。
部屋でメイドが運んで来た食事を取ると何だかニナがソワソワしてきた様な気がする。
「どうしたニナ?」
「えっ、えっとその・・・。夫婦はお風呂に一緒に入るものなのでしょうか?」
「ニナが嫌なら一緒には入らないよ。俺はニナの嫌がる事はしたくないから。」
「でもその、あんまりがっかりさせたくないので・・・。」
ニナはやっぱり胸が小さい事を気にしてるのか。俺は全く気にならないんだが。
やはり姉妹があれだけ大きいからな、それも仕方がないのだろう。
「俺はニナの胸は好きだな。とっても綺麗だったし。」
「えっ、えっ・・・、あの・・・。」
「男は胸の大きい女性を好きだというのは間違ってるからな。」
「ふぇっ!そ、そうなのですか?」
「そうだよ。実際俺は誰と比べてもニナの胸が好きだしな。」
「・・・。」
真っ赤な顔で無言になるニナの髪を撫でるだけで心が満たされていく。
「ニナ、今日はひとりで入っておいで。」
真っ赤な顔のまま頷くニナを見送りソファに腰掛ける。
ニナと一緒に暮らせるとか、幸せ過ぎて怖いな・・・。
後はこの幸せをずっと壊さないようにしないとな・・・。




