君さえいればいい
裏切る事になってしまった友には本当に申し訳ないが
腕の中の温もりを守りたいという気持ちは本物だった。
「ニナは温かいな・・・。」
「そうですか・・・。ジークさんも、その、温かいです。」
腕の中に居るニナが天使過ぎてもう離したくない。
大きな渦を巻くような羊角がとても似合って可愛い。
「ニナが可愛い過ぎて離したくない。」
「えぇっ・・・。そんな事初めて言われました・・・。」
羊角を撫でると少しだけ擽ったそうにニナが笑った。
ニナの笑顔が眩しくてくらくらする・・・。
それにニナの身体からいい匂いがして眩暈がしそうだ・・・。
「それにしても良かったんですか?お友達を裏切ってしまって・・・。」
「あいつ等には本当に悪い事をしたと思ってる。でも俺は、それでもニナと一緒に居たいんだ。」
「私なんてそんな価値はないと思いますよ。力は無いしこんな辺境の
どうでもいい仕事をさせられるくらいですし・・・。」
ニナは魔王の娘とは言っても4番目の娘で実際、力も姉妹の中で一番下らしい。
本人はそれを恥じているみたいだがそんな些細な事は俺には関係ない。
ニナが魔王の娘だろうが町娘だろうがなんだっていいのだ。
「俺にはニナが居ればそれでいい。他には何も望まない。」
「ジークさん・・・。」
ニナの蒼くて深い瞳を見つめているとまるで引き寄せられてしまいそうだ。
「あっ・・・。」
ニナが小さな声をあげるが身体が吸い寄せられたようにキスをしてしまった。
「悪い、急だったか?」
「いえ・・・。少し恥ずかしいですが・・・。」
上目遣いで少し照れた様なニナの表情は反則的に可愛い。
まるで地上に舞い降りた天使、いや女神としか思えない。
「ニナが魅力的過ぎてくらくらする・・・。」
「えぇっ、もうまたそんな事言って、ずるいです・・・。」
「ずるいのか?」
「はい、ジークさんも、その、恰好いいです・・・。」
なんだこの可愛すぎる生物は・・・。
俺が今まで見て来た女という生き物はなんだったんだろう・・・。
それに誰かを好きになるという事がこれほど幸せな事だったなんてな・・・。
もう一度だけニナにキスをしてからその身体を離した。
そうでもしなければ何時までもニナの事を離せそうになかったからだ。
「それでニナは何の仕事をしてるんだ?出来れば俺も手伝うから。
あ、いや、まずはニナがこれからどうしたいかを聞かせて貰えるか?」
「私、ですか?私はお父様より洞窟の調整を命じられています。調整というのは
罠が壊れていれば再設置したり魔物や悪魔の配置を見直したりする事なんですよ。」
「あ、いや。そう言う事じゃなくてニナが俺とどうなりたいかって事なんだけど。」
「えっ、あの、その・・・。け、け、結婚でしょうか!?」
慌てふためくニナも可愛いな・・・。っと呆けてる場合じゃなかったな。
「ニナの父に俺たちの事を認めさせるか二人で逃げるかって話なんだけど。」
「あっ・・・。」
ニナの表情が少しだけ沈んでしまう。それだけの事なのに、それだけの事の筈なのに
何故こんなにも胸が締め付けられるほど苦しくなるのだろう・・・。
「俺はニナの希望を全て叶えたい、君が望む事の全てを俺が叶えていきたい。
だからニナ、言ってくれ。ニナが望む未来を。」
「ジークさん・・・。私は家族の役に立ちたいです。お母様が亡くなったお父様を
お姉さま達と一緒に支えて、みんなで楽しく生きていければいいと思っています。」
何て良い子なんだろうニナ。天使が間違って悪魔に生まれてしまったとしか思えない。
「ニナはとても優しいな。そういうニナを俺はずっと愛していきたい。」
「ジークさん・・・。」
潤んだニナの瞳はまるでハンマーか何かで殴られた様な衝撃がある・・・。
宝石の様な蒼く深い瞳が眩いばかりに輝いて見える。
ニナの為に、ニナの家族を守る。つまり一番安全であるだろう選択肢は消えたか。
だが仕方がない。俺はニナの為に生きると決めたのだから。
まずは魔王に会う事だろうが普通に考えて人間に娘を嫁に出すか?
出さないだろう。ならどうするかだな・・・。
どうやってニナを嫁に貰えばいいかを考える必要がある。
魔王に取り入ったとして、人間界に敵対するだけじゃなくその敵対する証拠や
手柄も求められるだろう。つまり人間を殺すという事になる。
試練や試験という事も考えられるな。そして俺は・・・。
「ジークさん?難しいお顔をされています。」
「あぁ、悪い。美しすぎるニナを表す言葉が見つからなくて困ってたんだ。」
「やだ、もうそんな事ばっかり・・・。」
照れるニナが可愛すぎて思わず抱き締めてしまう。
腕の中に小さく包み込めるニナは150cm程の身長で体重も40kg台くらい
だろうか。腰は細いが意外とお尻はふっくらしていてとても魅力的だ。
頬もすべすべしていてとても触り心地がいい。薄い唇はとても可憐で美しいと思う。
それにニナの声を聞いているだけでとても幸せな気分になってしまう。
これから魔王との交渉となれば大変だろうが俺にはニナが居る。
ニナの為ならきっと何でも出来る筈だ。
「取りあえずはニナ、洞窟の調整をしてニナの父親へ挨拶へ行こうか。」
「はい、ジークさん。」
微笑むニナの手を取り二人で洞窟へと向かった。




