【08 文学者アイドル】
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・【08 文学者アイドル】
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日課のように、いや実際は毎日じゃないけども、舞江お姉ちゃんの家に集まって撮影などをしている時に、舞江お姉ちゃんがこんなことを言い出した。
「ちょっとバズるかは未知数なんだけどもさ、文学者アイドルとしてMVを作るか」
あーしは即座に、
「アイドルという言い方はまだ納得していないけども、MVってちょっと楽しそうだしっ」
モニカちゃんも同調するように、
「それは確かにそうかもしれませんっ」
あーしは舞江お姉ちゃんへ、
「AIで作曲でもするの?」
と聞くと、舞江お姉ちゃんはバカ笑いしてから、
「そんなカスじゃないわ!」
と一蹴した。いやカスではあるでしょ、と思っていると、舞江お姉ちゃんがスマホで調べ物を始めながら、
「昔の曲でカノンという曲があるんだけども、そのカノンのコードで作曲すると良い曲に聞こえやすいって言うからさ、カノンコードを使って、ピアノメインで、ベースとドラムで作ればいいんじゃね?」
それに対してモニカちゃんが、
「カノンコードは聞いたことありますっ」
あーしはそういう有名なヤツがあるんだと知った。
舞江お姉ちゃんは少し無言で調べ物をした結果、
「ラップ調の曲にするか、そうしたらワンループトラックでいいし、ピアノで上ネタ作って、あとは太いベースと、クラシックなドラムでそれっぽくなるだろう」
あーしは小首を傾げながら、
「で、作詞は誰がするの?」
舞江お姉ちゃんは当然といった感じで、
「それは愛華とモニカがやるに決まっているだろ。ラップ詞なんて基本七五調で、川柳作る感覚でいいんじゃないか? 七五調の五で五文字の韻とか作れば、普通のラッパーよりも韻を踏んでいることになるだろうし。ラッパーとしての技術の無さはセンテンスで勝負だろ」
モニカちゃんはうんと頷いて、
「それは良いかもしれませんっ、全部七五調というコンセプトで技術の無さを誤魔化せるというか」
舞江お姉ちゃんは嬉しそうにモニカちゃんを指差しながら、
「そゆこと! コンテストも何でも技術の無さはコンセプトで誤魔化す! 絵が下手なら線を出来るだけ太くしてそういう作風として誤魔化す! 小説の地の分が苦手なら会話劇が作風だと誤魔化す! 逆に会話劇が苦手なら地の文多めで純文学風に誤魔化す! 短歌はあえて季語を入れて空気感あります風にして誤魔化す! 詩は難しい言葉を知らなかったら、難しい言葉を使わず子供でも分かるようにしているんですよヅラして誤魔化す! 料理が下手なら、お子様と一緒に作れるレシピにしたかったので包丁とフライパンは使いませんみたいなレシピに特化して誤魔化す! 写真が上手くないなら、とにかくしゃがんで撮ることにより、目の前のモノをダイナミックに映して誤魔化す! 困ったらユーモアセンス勝負に持ち込んで、誤魔化す!」
モニカちゃんは吹き出して笑ってから、
「めっちゃ多いですねっ、誤魔化す方法っ。あと普通に写真コンテストのそれは誤魔化しているわけじゃなくて、それが技術ですよっ」
舞江お姉ちゃんは首を横に振って、
「いいや! 全部誤魔化してアタシは受賞しているんだ!」
あーしも笑ってしまい、モニカちゃんと笑い合った。何故か舞江お姉ちゃんは鼻高々だった。
というわけで、あーしとモニカちゃんは十六小節分、リリックを書き、舞江お姉ちゃんいわく「フック(サビ)はトラックの音数を豪華にして誤魔化すから」と言って、それはそれであーしもモニカちゃんもウケて、あーしとモニカちゃんの作詞も舞江お姉ちゃんの作曲も一時間で完成し、その場で簡単な動画を撮って、それをMVにすることにした。
勿論MVも舞江お姉ちゃんいわく”誤魔化す”らしく、それぞれのパートは文字が表示されるリリックビデオ+今まで撮った観光地の写真の静止画にして、フック(サビ)だけ実写の動画を映すというスタイルにして、時間の無さや技術の無さや面倒クサさを誤魔化すらしい。
あーしは少し胸元を開けてスカートの丈短めの制服にして、モニカちゃんはスカートの下にジャージを履いて、動画を撮ることにした。
こういうのはネットニュースには載せられなかったけども、SNSに投稿すると割と人気が出たので良かった。
でも後日、舞江お姉ちゃんが、
『仕事量に合っていないな』
LINEで言い、すぐに追加でメッセージがきて、
『これは今後脚下にしよう』
と言ったんだけども、なんとモニカちゃんが即座に、
『私がリリックビデオの合成や曲作りを学んで今後も投稿していきたいです。愛華ちゃんはどうですか?』
と送って、あーしは何だかすごく嬉しかった。というわけですぐさま、
『あーしもモニカちゃんと一緒にやりたい!』
と返信して、舞江お姉ちゃんからは、
『まあご勝手に コンテストとかは疎かにならないように』
という返信がきた。
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「頭にHが浮かぶ? あと、最後は濁る? あと、地面から顔を出している?」
答えは、①タマネ②
「ヒントの①②れが悪くてゴメンね」
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舞江お姉ちゃんの思考回路には常に何事も挑戦という考え方がある。
だからこそいろんなコンテストに投稿して、それぞれハックの仕方を思いつき、受賞しているんだと思う。
ハック云々はちょっとどうかなと思うところもあるけども、挑戦すること自体は結構良いことだと思う、思うんだけども、
「さすがにちょっとハズイかも……」
あーしが水着にエプロンを付けた格好でそう言うと、制服にエプロンを付けているモニカちゃんが、
「料理動画は普通の恰好で撮ってもいいんじゃないですか? 舞江さん」
舞江お姉ちゃんは意に関せずみたいな顔で、
「いや、愛華はそういう恰好のほうが見てくれる人多くなるだろ」
モニカちゃんは頬を膨らませながら、
「でもさすがに露骨です! 愛華ちゃんも嫌なら嫌とハッキリ言ったほうがいいです!」
舞江お姉ちゃんはニヤリと怪しく微笑むと、
「でもなぁ、愛華には秘密があるからなぁー」
そう言えばあーし、まだモニカちゃんにオンラインカジノと闇金融の件を話していないかも。というか意図的に失念するように考えていたかも。
モニカちゃんはあーしのために怒ってくれているけども、あーしは舞江お姉ちゃんには逆らえないし、というかこのままそのことを言わないのも不誠実かもしれないので、
「モニカちゃん、あーし実はね、舞江お姉ちゃんに泣きついてこうなっているんだ」
「泣きついて……? ど、どういうことですか?」
舞江お姉ちゃんは斜め上のほうを見て、こちらを見ていない。そのリアクションが何を意味しているのか分からないけども、あーしはあーしが言いたいことを言う。舞江お姉ちゃんも止めに入るわけではないから。
「実はあーし、オンラインカジノにハマちゃっていた過去があって。その、家の民宿の仕事ばかり手伝わされて、遊ぶ暇が無くて、心に隙間が出来たところで悪友に誘われて」
モニカちゃんは絶句といったような面持ち。やっぱり言わないほうが良かったかな、でも言わないとあーしが何で舞江お姉ちゃんの言いなりで露出の高い服を着ているか分かんないし。あーしは続ける。
「で、高校生に五千円からお金を貸す闇金融にも手を出しちゃって。その借金で首が回らなくなって、最後に舞江お姉ちゃんに泣きついたんだ。だからあーしがコンテストするのも、町おこしをしようとするのも、全部全部お金を返すためなんだ。コンテストはそのまま賞金ほしさだし、賞品は高校の先生に売っているし、町おこしで民宿が流行れば特別なお小遣いとかもらえるかなって」
一応言いたいことを全部言い切ったわけだけども、何だかモニカちゃんの面持ちは憂鬱そうに項垂れてしまい。何でここまでモニカちゃんがショックを受けるのか、最初は分からなかったけども、どうやらあーしに失望しているということに気付いた。だからあーしは慌てて、
「あーしってそんな品行方正じゃないからさ!」
と割とデカい声でそう言ったわけだけども、モニカちゃんは小声で「そ、そう……」と言うだけで、もうお通夜みたいな空気になった。
その時に気付いた。あーしはとんでもないことをしていたんだって。このままモニカちゃんとの関係が無くなってしまうかもしれない、否、何なら警察にチクられてしまうかもしれない。そうなったらあーしは少年院とかでモニカちゃんと離れ離れ? いやいやチクられた時にはもうモニカちゃんとは縁が切れているわけだからいいのか、いや良くない、良くない良くない良くない、どうしよう、言わないほうが絶対良かったかもっ。
あーしの額からは脂汗が吹き出してきた。モニカちゃんがこのまま黙ってしまっていることが一番怖い。何か喋ってよ、モニカちゃんと思っていると、声が聞こえてきた。ただし、それは舞江お姉ちゃんだった。
「愛華は悪いことをしたということに既に気付いているんだ。したくもない民宿の手伝いをして友達とも遊べない、そんな心の隙間に入り込んだという情緒酌量もある。愛華は自分が悪いことしたことに気付いて、自分で一歩踏み出している最中なんだ。モニカは正義の心が強いことは知っている。でもそれだけで世の中は成立しないんだ。愛華は言うなれば、家業のヤングケアラーみたいなもんさ。無理やり手伝わされて心が壊れたんだ。オンラインで出来る遊びがオンラインカジノしか知らなくて、心と時間にピタッとフィットしてしまった。ただそれだけだ。民宿だって繁盛していればお小遣いも弾んで、闇金融に手を出すこともなかった。全て親が悪かったんだ。愛華は親の都合に振り回されているだけの被害者だ。でも愛華は被害者のままで終わらず、今こうして自分で行動をしている。愛華の今を一緒に見てくれないか、モニカ」
するとモニカちゃんはゆっくり頷いてから顔を上げて、
「もう二度と、オンラインカジノも闇金融もしないでね……」
と瞳に涙をあふれながら、そう言ってきた時に、あーしはホントに初めて、オンラインカジノで遊んだことを後悔した。
モニカちゃんをこんな顔にさせてしまったなんて、あーしはホントに酷い事をしてしまったんだ、って……。
結局、料理動画を撮ることは止めて、早めの解散となった。
一緒に帰るフリをして、あーしだけ舞江お姉ちゃんの家へ戻って来た。何故ならLINEでそういう指示があったからだ。
舞江お姉ちゃんから、
「これ一貸しだからな!」
と快活に言われた。ホントにもう、めっちゃ明るく。舞江お姉ちゃんは続ける。
「いやー! とんでもない空気になったなぁ! まあアタシが誤魔化したから良かったけどもさ!」
ただただ喫茶店乗っ取り計画のためにあーしを失いたくないからの誤魔化しというヤツなのかもしれない。知ってる、舞江お姉ちゃんは自分の思ってないようなことをペラペラ語れるサイコパスだって。でもあの時に言ってくれた言葉でもあーしは救われていて、舞江お姉ちゃんが実際のところ何を考えているか分からないけども、やっぱりあーしは舞江お姉ちゃんを頼って良かったって心底思っている。
舞江お姉ちゃんは笑顔で、
「じゃっ、この葉タマネギは適当に卵とじにして、一緒に食うか!」
あーしと舞江お姉ちゃんで、葉タマネギを一口大に切り分けて、元々カットされている油揚げと一緒にめんつゆで煮るように炒めて、最後に溶いた卵を入れて、葉タマネギの卵とじを完成させた。葉タマネギの緑と卵の黄色のコントラストが綺麗で、油揚げの食感の違いも楽しくて、何よりも油揚げは味を良くするので、とても美味しかった。
あの謎解き『「頭にHが浮かぶ? あと、最後は濁る? あと、地面から顔を出している?」答えは、①タマネ②。「ヒントの①②れが悪くてゴメンね」』は答えは葉タマネギでヒントの歯切れが悪くてゴメンね、だ。ちゃんと謎解きの答えと料理の食材が一緒になるように考えていたわけなので、料理の写真だけはちゃんと撮影し、その日は終わった。いや、終わらなかった。あーしはずっと深夜の午前一時になっても悶々と考えていた。
モニカちゃんのあの表情であーしはホントに胸が苦しくなった。何でここまでと思ってしまうくらいホントにつらかった。もしかしたら、モニカちゃんがまともに出来た最初の友達だったからかも、と思った。悪友は悪いことをするための頭数要員であーしがいるみたいなことかもだし、高校では広く浅くで実際放課後遊ぶような相手もいなくて。だからオンラインカジノをしたのも家業の手伝いとか関係無く必然だったのかもしれないし。それを全部親のせいにしてしまったのも少し罪悪感がある。いやあれは舞江お姉ちゃんが言ったことだけどもさ。
もっと真面目に生きよう、もっとちゃんとしよう、せめてモニカちゃんがあーしのことで悲しまないようにしよう、と心に誓ったその時だった。
LINEの通知画面がポップアップしてきて、あーしはゾッとしてしまった。
差出人はあーしの悪友で、一瞬見えた最初の文字は『闇バイトに参加しようぜ』だった。
そのまま無視しようかと思ったんだけども、既読がつかない方法でメッセージを確認すると、
『闇バイトに参加しようぜ 来なかったらオンラインカジノをしていたことをバラす』
と書かれていた。今、世間にオンラインカジノをしていたことをバラされたら、かなり危険なんじゃないか、顔出しで文学者アイドルみたいなことしている状態で。
あーしは包み隠さず、舞江お姉ちゃんにLINEで即座に相談すると、舞江お姉ちゃんがあーしの家へ来てくれることになった。
舞江お姉ちゃんの軽自動車があーしの家に横づけし、あーしは静かに玄関の鍵を開けると、舞江お姉ちゃんがやたら笑顔で来た。何がそんな楽しそうなんだ、おい。
そこから一階の居間で、あーしと舞江お姉ちゃんは会議を始めることにした。
舞江お姉ちゃんいわく「とりま向こうの出方次第。既読つけてスルーしてみよう」ということで、既読だけつけてスルーしていると、すぐに次のメッセージが送られてきた。
『返信しろ 殺すぞ』
あーしは正直震え上がってしまった。なんせこの悪友はかなり本気なヤツで、目も結構イッちゃってるヤツで。でも舞江お姉ちゃんは余裕そうにニヤニヤしながら、
「殺すぞて、可愛いー」
と相当舐めているような態度。あーしはこの悪友がしてきた悪行をつらつらと喋り、不安を煽ることにより、ちゃんとした案を出してくれるよう促したんだけども、舞江お姉ちゃんはハハッと笑ってから、
「まあ本元が来ることは無いからさ、マジの最強に殺されることはないから。会って話がしたいって送ればいいんじゃないか?」
「会って話をするのぉっ?」
あーしはデカい声が出てしまった。両親が起きてきたら説明面倒なのに。あーしはすぐさま小声に戻して、
「えっと、それは舞江お姉ちゃんも来てくれるの?」
「勿論」
と頷いてくれて、それはまあ心強いんだけども、
「普通に舞江お姉ちゃんのことも巻き込むことにならない?」
「大丈夫、アタシは愛華のストーカーに扮するから」
「アタシのストーカーぁっ?」
上ずった変な声が出た。舞江お姉ちゃんは続ける。
「そう、身内として来たらアタシも夜に襲われるとかありそうだけども、マスクとかして愛華のストーカーとして、たまたまストーキングしていたら場面に出くわしたみたいにするから大丈夫」
「な、なる、ほど……?」
あーしがイマイチ理解出来ていないことを悟ったのだろう。舞江お姉ちゃんは自信満々に、
「だって今愛華は顔出しして活動しているんだからストーカーがいたって何も不思議じゃない。相手に対して、愛華はストーカーに常に守られていると思わせれば勝ちさ」
なんて、なんてサイコパスな作戦なんだ。でも確かにアリかもしれない。
というわけで、あーしは悪友に連絡して、この深夜に決着を付けることにした。これも舞江お姉ちゃんのアドバイスで、相手の決断や感覚が鈍るように、出来るだけ早くしたほうがいい、と。
一旦舞江お姉ちゃんの家を経由してから、指定した公園へ車で行き、自販機と街灯の前で一人で立っていると、悪友とその仲間たちが三人やって来た。悪友は女子、その仲間たちは全員男子だ。
悪友はあーしに向かってこう言う。
「闇バイト、上手くいったら指示役になれるみたいだからさ、めっちゃ儲かるぞ」
そんなわけないだろ。こんなガキが一発で指示役になれるはずないだろ。ホント世間を知らな過ぎる。川柳コンテストは今の流行りを抑えた上で、流行りをバカにした句が好まれる。AIやchatGPTやネットやSNSのことをこき下ろし、闇バイトのことを全力で腐す、これに限るのだ。ちなみに良いことを言う時は必ず二刀流だ。いやそんな脳内の反芻はどうでも良くて、舞江お姉ちゃんに合図を送るため、デカい声を出すことにした。
「あーし! 闇バイトは絶対無理だし!」
そう言った刹那、
「愛華ちゃんに手を出すなぁぁぁぁあああああああああああああああぁぁぁぁあああああああああああああ!」
と言いながら、鉄パイプを振り回し、振り回した鉄パイプを普通に悪友の背中に当てたストーカーに扮した舞江お姉ちゃん。
悪友はゲフッと言いながら、前のめりになり、男子たちは慌て始める。
舞江お姉ちゃんは叫んだ。
「ぼくはぁぁああ! 愛華ちゃんのストーカーだぁあああ! 愛華ちゃんに何かしようとする連中は許さなぁぁあああいぃぃいいいい!」
真っ黒い恰好に身を包み、真っ黒いマスク、声は低めに喋って男性っぽくしている。鉄パイプをぶんぶん振り回しているが、一応、背中の高さくらいまでにしている。悪友も男子たちも焦っている様子だ。勿論あーしも焦っている演技をする。初めて出くわしたていでやっている。
「死ねぇぇええええええええええ! 死ねぇぇええええええええええ!」
舞江お姉ちゃんは叫びつつ、なんと鉄パイプを高い位置に据えたと思ったら、今度は男子の後頭部に結構強めにぶつけたのだ!
「うわぁあああ!」
さらに舞江お姉ちゃんは声を荒らげながら、既に抜き身になっているナイフをポケットから取り出して、
「こここ、ここここ、殺すぅぅうう!」
と叫ぶと、悪友も男子たちも散り散りになって走って逃げ出したので、舞江お姉ちゃんは即座に悪友を追いかけた。
舞江お姉ちゃんがあーしの傍からいなくなったら、自動車に戻れと言われているので、走って舞江お姉ちゃんの自動車に乗り込み、鍵を掛けて隠れた。
数分後、舞江お姉ちゃんが戻ってきて、すぐさま車を走らせて、誰もいない河川敷に着いてから、舞江お姉ちゃんから説明を受けた。
「いやぁ! 思いきり暴力を振るえて楽しかったぁ!」
あーしはついデカい声で、
「本気で当てちゃダメなんじゃないのっ?」
「いやだって本気で当てないとビビらないでしょ。まあ話をつけてきたから大丈夫だよ、多分。これはもうマジで多分。こういう人間が関わる部分はマジで分かんないもんだから」
「というか舞江お姉ちゃん、暴行罪で捕まったりしない?」
「アイツらが暴行されたって警察に言ったら愛華は闇バイトの話を出すしかないんだから、合理的に考えれば警察に言わないでしょ。というか、アタシだってバレないだろうしさ」
まさかホントに暴力を振るうまでは思わなかったけども、まあ舞江お姉ちゃんの助けの甲斐もあり、それ以降、あーしへその悪友が連絡をしてくることは無くなった。




