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ネットニュースとコンテストをハックして金儲け  作者: 伊藤テル


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【10 返済】

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・【10 返済】

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ウミガメ系のクイズ。

『菊が植えてあるのに、人は見ない』


Q.それは室内ですか?

A.NO。


Q.通行人が見ないだけですか?

A.NO。誰も見ない、が、逆に通行人だけ見ることはある。


Q.その菊は綺麗ですか?

A.まあYES。普通にお花なので。


Q.その菊は見る以外の用途がありますか?

A.YES。


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ウミガメ系のクイズ。

『鏡餅の上に蛇が乗っているのに、女子が喜んでいる』


Q.その蛇は可愛いですか?

A.YES。


Q.食用ですか?

A.YES。餅は食用、蛇は食べられません。


Q.正月用ですか?

A.YES。


Q.蛇は本物ですか?

A.NO。


Q.喜ぶのは女子だけですか?

A.NO。そういうモノが好きな人はみんな喜びます。


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 今日は町おこしのパートととして、地元企業とも親密になるため、三人で営業へ行くことにした。今回は一応アポをとっていて話だけは聞いてくれるらしい。

 間多布町にある餅メーカーへ行ったあーしたち。そこで出迎えてくださった社員さんはあーしたちを見るなり、すぐに溜息をつき、

「あーまあ、社会見学ですか。どうぞこちらに」

 その言葉のニュアンスには、仕事の依頼だと思ったら、子供の遊びだったという感じが含まれていた。

 その社員さんはまた溜息をつくと、

「社会見学なら社会見学と言ってくだされば、良かったんですがねぇ」

 と明らかに不快そうにそう言ったわけだけども、舞江お姉ちゃんは資料を取り出して、ネットニュースの閲覧実績やSNSの総フォロワー数などをプレゼンしていく。ちなみにSNSの”総”フォロワー数ということに舞江お姉ちゃんはかなりこだわっていた。総フォロワー数なんて、重複しているフォロワーがほとんどで意味の無い数字なんだけども、田舎の企業は情弱で、アクティブユーザー数なんて知らないので、とにかく数が多いということを伝えればいい、ということらしい。

 すると、社員さんはみるみる目の色が変わっていき、その後、舞江お姉ちゃんの家に戻ってからもメールで何ラリーかして、なんと見事この企業のアンバサダーとして活動していけることになったのだ!

 ただし正式なアンバサダーはモニカちゃんだけにすることにした。あーしと舞江お姉ちゃんは決して品行方正じゃないから。

 もしのちのち、あーしの闇金融とかのことがバレたら違約金とかは設定していないけども、問題があるので、リスクヘッジとしてあーしはアンバサダーを辞退した。

 モニカちゃんは勿論だけども、あーしも舞江お姉ちゃんも試供品をたっぷりともらえて、それはネットを介してアプリで売ることにした。この場合は地元バレが一番良くないから。

 そしてついに! あーしは借金が完済出来たのだ! これであーしは目標達成! すこぶる嬉しい!

 これを機に、スマホの電話番号を変えて、痕跡を出来るだけ向こうの闇金融に残さないようにした。メールアドレスも勿論変更。用心してSIMカードも別のモノにして、携帯会社も別の会社にして、全く新しいスマホを使うことにした。そのお金は舞江お姉ちゃんが出してくれたが、勿論出来高払いだと。でもここまでやってこれたのは舞江お姉ちゃんとモニカちゃんのおかげなので、あーしに文句の類は一切無い。

 『菊が植えてあるのに、人は見ない』というクイズの答えは食用菊だから。食べるために育てているため、あんま人目にもつかないところで育てているってわけ。あーしのオンラインカジノや闇金融関係のこと、人目につかなければいいんだけども。

 『鏡餅の上に蛇が乗っているのに、女子が喜んでいる』というクイズは、干支のオブジェが乗っている商品で、その年は巳年だったってわけ。勿論、この餅メーカーの商品だ。早速クイズにして、ネットニュースに流して宣伝した。


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時計が午後九時で寝ている男装した舞江お姉ちゃんの写真。

それとは別に、あーしとモニカちゃんが下記の吹き出しで会話している。

「彼氏は③①⑤④②」

「②③③、①④⑤、そんな彼氏」

ただし、あーしの画像は地肌の黒じゃなくて、AI加工で白い肌になっている。

ヒント「肌の白さ以外にも自信があるし!」

『答えの野菜は、①②③④⑤ぎ』


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 あーしもたまに喫茶店で働いている。舞江お姉ちゃんいわく、一応籍があることをアピールするためらしい。

 喫茶店での仕事中はモニカちゃんと離れ離れなので、それだけはちょっと寂しい。だからって、喫茶店は三人を雇う余裕は無いだろうし、何よりもモニカちゃんに色仕掛け営業なんてさせたくない。常連のお客さんは悪い人ではないけども、年寄り特有のセクハラ気質なのは止まらないので、やたら「良いケツしてんね」とか「ピッチリとしたスパッツを履いてみたら、どう?」やら「スカート見えそうでちゅ~」とか言ってくる。何か途中、スパッツフェチがいたな。まあいるんだけども。林さんのことです。

 マスターは常連の女性を外に見送りへ行き、一時的に舞江お姉ちゃんと二人きりになった時、急に、

「もしかするとモニカのこと恋愛的にも好きなん?」

 と聞かれて、あまりにも唐突過ぎて、あわあわしてしまうと、ニタァッと笑った舞江お姉ちゃんから、

「応援するよぉ」

 とだけ言われて、めっちゃ怖かった。特にそれ以上ツッコんでくることは無かった。でも舞江お姉ちゃんにバレたら何が起きるのかと、自宅に戻ってきてから、何だかずっとそわそわしてしまっている。

 次の日、LINEのメッセージで、舞江お姉ちゃんから、

『文学者アイドルのMVをどんどん作っていくことにします アタシもいっぱいトラックメイクします』

 という宣言が送られてきて、モニカちゃんはトラックメイキングは苦手だったらしく、それを肯定的に受け入れていた。

 でも急なその舞江お姉ちゃんの方向転換に昨日の会話が滲んでくる。一体何を企んでいるのだろうか。だからって、また舞江お姉ちゃんの家で撮影をしていても、無理にくっつけようとしてくる感じは無く、むしろ自然に、あーしとモニカちゃんが一緒に何かする時間を作ってくれるだけで、それはまあ有難いけども。でもやっぱり一抹の不安を抱えていたある日、急にSNSで”文学者アイドルに百合疑惑”というニュースが流されていて、すぐにこれが舞江お姉ちゃんの仕業だと思った。

 勿論あーしたちが関わっている地元スポーツ新聞社のネットニュースを介して流されているわけじゃないけども、全くあーしたちと関係無い媒体がそのことをネットニュースにしていて、ホントかよ、と思ってしまった。

 あーしとモニカちゃんはその日のうちに、放課後、舞江お姉ちゃんの家を訪ねて、舞江お姉ちゃんを問いただそうとすると、割とあっさり、

「だってこうなったほうがバズるし、何よりもファンは安心で嬉しいし、百合が好きな男子も女子もいるから」

 と悪気も一切無さそうに言い切った。さすがサイコパスという所以を見た気がした。

 舞江お姉ちゃんは余裕そうに続ける。

「現に特に不便はないでしょ、ずっと一緒にいるわけだし」

 と言うわけだけども、あーしは語気を強めて、

「百合とか、つまり同性愛って宣言したら、モニカちゃんが好奇の目で見られるじゃん! そんなん許せるわけないし! そういうことじゃないしさ!」

 舞江お姉ちゃんは小首を傾げながら、

「そういうわけじゃないのっ?」

 あーしは一瞬モニカちゃんのほうを向いてから、いやすぐに舞江お姉ちゃんのほうを向き直し、

「そういうわけじゃないじゃん! そういうのは双方の気持ちあってのことだし!」

 舞江お姉ちゃんはかなり不満げに、

「えー、でも百合って言ったほうがバズるはバズるからさぁ」

 あーしは自分の圧を止めるつもりは無い。

 なんせ一応、闇金融にお金を完全に返したし、オンラインカジノからも足を洗って、やっていた端末は全て削除した。舞江お姉ちゃんの喫茶店乗っ取りのためにまだ一緒にやっているけども、ホントはもう離れたっていいはず。だから喧嘩腰でもハッキリ言いたいことは言うことにする。だってこれはモニカちゃんの平穏のためだから。

「モニカちゃんを好奇な目に晒されるのはホントにダメなんだし! あーしのような自業自得の女子じゃないんだからさ!」

「いやでも、言うても百合は百合なんでしょ?」

「仮に事実だとしても宣言する必要は無いじゃん! 仮に事実だとしても、だよっ?」

「いやでも百合好きなのは本当に多いしさ、百合は男子だけじゃなくて女子も安心して見れるコンテンツの一つなんだよ」

「コンテンツって言うな! モニカちゃんの人生を!」

 舞江お姉ちゃんは後ろ頭を掻きながら、

「でもさ、逆に言い寄る男が減るんじゃないの?」

「そんなことない! 男子はそんなこと気にしない! 絶対気にしないで迫ってくるヤツは迫ってくる!」

「いやまあ、まあ、そうか、それはまあそうかもな、男ってキモイもんな」

「そう! 男ってキモイから百合だって言ってても言い寄ってくるヤツは言い寄ってくる! これは何のプラスでもない!」

 舞江お姉ちゃんは眉毛を八の字にして、

「いやー、はっはっは」

 あーしは声を荒らげる。

「笑って誤魔化さないで! というか全然誤魔化せてないよ! ほら! コンテストをハックする時みたいにちゃんと誤魔化しなよ!」

「あー、いやー、本気で怒っている人を、どうにかするハックって、あんま無いよね」

「じゃあ誤魔化せていないじゃん! 笑うなよ! モニカちゃんの人生がこれから大変になることを笑うなよ!」

 正直モニカちゃんのほうは見れない。もしかしたら勝手に代弁するなと思っているかもしれない。でもあーしはこのことを言いたい。いやモニカちゃんの代弁をしているようで、実はあーしの気持ちを吐露しているだけなのかもしれない。そう考えたら、何か卑怯だなと思って、ちょっと一息ついてしまうと、舞江お姉ちゃんが、

「あの、まあ、それは……申し訳無かった」

 と多分、あーしは舞江お姉ちゃんから初めて謝罪された。

 舞江お姉ちゃんはすぐさま「アタシ、生まれてきて初めて謝罪した。でもこれは謝罪させてもらう。申し訳御座いませんでした。モニカも本当に悪かったです」と言って、頭を下げると、モニカちゃんはまず舞江お姉ちゃんのほうを見て、舞江お姉ちゃんが顔を上げたところで、あーしのほうを向くと、

「言いたいことは全部愛華ちゃんが言ってくれましたし、別にもういいです。というか、事実ですし」

 と神妙な面持ちで見てきて、あーしは何だか顔が真っ赤になってきた。

 モニカちゃんは続ける。

「ただ愛華ちゃんはどう思っているか……私、気持ち悪いですか?」

 あーしは首を大きく横に振って、

「気持ち悪くない! というかあーしはモニカちゃんのこと大好きだし!」

 とデカい声が出てしまい、モニカちゃんとあーしは笑い合った。つまり相思相愛だったというわけ。嬉し過ぎる。

 舞江お姉ちゃんは反省した面持ちで何度も何度も頷いていた。


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