第9話「なくしものを探して」
【異世界生活2日目】
朝の冒険者ギルド。
ルゥは掲示板の前で、たくさんの依頼書を見比べていた。
「今日は、どれにするにゃ?」
薬草採取。
荷物運び。
街のお手伝い。
以前受けたことのある依頼も並んでいる。
そんな中――
ルゥは、一枚の依頼書に目を留めた。
『なくしものを探してほしい』
「探し物の依頼にゃ?」
そこへ、ミーナがやってきた。
「その依頼、街の猫さんからのお願いですよ」
依頼内容は――
大切な銀色のペンダントを探してほしいというものだった。
「大切なものなら、早く見つけてあげたいにゃ!」
「お願いしますね、ルゥくん」
「任せるにゃ!」
ルゥは依頼書を手に、中央広場へ向かった。
中央広場に着くと、ルゥは依頼主の猫に話を聞いた。
「最後にペンダントを見たのは、この辺りなんです」
「分かったにゃ! 探してみるにゃ!」
ルゥは周りを見回した。
まずは、ベンチの下。
「……ないにゃ」
次は、植木のそば。
「こっちにもないにゃ……」
今度は、石畳の隙間まで覗き込む。
けれど、ペンダントは見つからない。
少し歩いて、もう一度探す。
それでも、見つからない。
それでも、ルゥは諦めなかった。
「絶対に見つけるにゃ!」
そのときだった。
ふわっ――。
風が吹いた。
近くの草むらが、さらさらと揺れる。
「……あれ?」
ルゥが足を止めた。
何かが、気になった。
ゆっくりと草むらへ近づいていく。
すると――
草の間に、何かが引っかかっていた。
「キラッ……」
朝の光を受けて、小さな光が輝く。
「もしかして……!」
ルゥはそっと手を伸ばした。
拾い上げてみると――
銀色のペンダントだった。
「見つけたにゃ!」
「これにゃ!」
ルゥがペンダントを渡すと、依頼主の猫は目を輝かせた。
「これです! 本当にありがとう!」
大切そうにペンダントを抱きしめる姿を見て、ルゥも嬉しくなった。
「見つかってよかったにゃ!」
大きな戦いではなかった。
強い魔物と戦ったわけでもない。
それでも――
誰かの大切なものを見つけることも、冒険者の大切な仕事。
ルゥは、またひとつ。
冒険者としての経験を積んだ。
ギルドへ戻ると、ミーナが笑顔で迎えてくれた。
「お疲れさまでした、ルゥくん」
「ちゃんと見つけたにゃ!」
「はい。依頼達成です」
ミーナから渡された報酬は――
40G。
「40Gにゃ!」
ルゥは嬉しそうに報酬を受け取った。
現在の所持金は90G。
今回の報酬を合わせて――
130G。
「お金も増えたにゃ!」
けれど、今回ルゥが嬉しかったのは、それだけではなかった。
誰かの大切なものを見つけてあげられた。
誰かの役に立つことができた。
そのことが、ルゥには嬉しかった。
「もっといろんな依頼をやってみたいにゃ!」
ルゥは再び掲示板へ向かった。
掲示板には、今日もたくさんの依頼書が並んでいる。
ルゥが眺めていると――
掲示板の隅に、一枚の依頼書が目に入った。
「……あれ?」
今までの依頼とは、少し雰囲気が違う。
ルゥは、その依頼書をじっと見つめた。
「これ……なんにゃ?」
ルゥは、まだ知らなかった。
この一枚の依頼書が――
新しい冒険へつながっていくことを。
――第9話・おわり。
次回予告
大切なものを探す依頼を終えたルゥ。
そして次に受けた依頼は――初めての魔物に関わるものでした。
次回、第10話「はじめての魔物」




