↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
こねこの異世界冒険記  作者: ポンデリング
第1章「こねこ、異世界で居場所を見つける」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/25

第4話「はじめてのクエスト」

冒険者ギルドの掲示板を前に、ルゥは依頼書をじっと見つめていた。

掲示板には、新人冒険者でも受けられる依頼がいくつも並んでいる。

薬草採取。

荷物運び。

街のお手伝い。


どれもルゥにとっては、初めて見る仕事ばかりだった。

「うーん……どれにするにゃ?」

しばらく悩んだあと、ルゥの目に一枚の依頼書が留まった。

『薬草採取――薬草を5本集めてください』


「これなら、ルゥにもできそうにゃ!」

ルゥはその依頼書を手に取り、受付へ向かった。

「この依頼を受けたいにゃ!」

受付のミーナは、にっこり笑って説明してくれた。

「街の近くにある森で、薬草を5本集めてきてください。採取したら、この袋に入れて持ってきてくださいね」

「分かったにゃ!」

小さな採取袋を受け取る。

その瞬間――

ルゥの胸が、少しだけ高鳴った。

これが、冒険者になって初めて受けるクエスト。


ルゥは袋を大事に抱えて、ギルドを出た。

目指すのは、街の近くにある森。

石畳の道を歩いていくと、少しずつ街の喧騒が遠ざかっていく。

やがて――

木々の間から、緑いっぱいの森が見えてきた。

「わぁ……! 森が見えてきたにゃ!」

ルゥは嬉しそうに走り出す。

けれど、森の入口まで来ると、少しだけ足を止めた。

知らない場所。

初めてのクエスト。

「……ちゃんと薬草、見つけられるかにゃ?」

小さな不安が、胸の中に浮かんだ。

それでも――

「よし! やってみるにゃ!」

ルゥは勇気を出して、森の中へ入っていった。


森の中には、木漏れ日が優しく差し込んでいた。

鳥の声。

葉っぱが風に揺れる音。

街とは違う、静かな空気。

ルゥは地面をじっと見ながら歩いていく。

「薬草……薬草……」

けれど、なかなか見つからない。

「どこにあるにゃ……?」

草むらを覗き込み、木の根元を探し、岩の周りも見てみる。

すると――

「あったにゃ!」

木の根元に、小さな緑色の葉っぱが生えていた。

普通の草とは少し違う。

葉っぱの周りが、淡く光っている。

「これ……薬草かにゃ?」

ルゥがそっと前足を伸ばす。

そして、葉っぱを摘んだ瞬間――

ふわっ……。


薬草が小さく光った。

「わぁ……!」

ルゥの青い瞳が、キラキラと輝く。

「これが薬草にゃ!」

大切そうに採取袋へ入れる。

薬草、1本。


「あと4本にゃ!」

それからルゥは、森の中を一生懸命探した。

木の陰。

草むら。

小さな岩のそば。

見つけるたびに、採取袋へ一つずつ入れていく。

2本。


「あと3本!」

3本。


「あと2本にゃ!」

そして――

「あと1本……!」

残りは、たった一本。

ルゥは辺りを見回した。

けれど、なかなか見つからない。

「どこにあるにゃ……?」

少し歩いても見つからない。

来た道を戻って探してみる。

それでも見つからない。

「うーん……」

ルゥは困った顔で考えた。

そのとき――

木漏れ日の向こうに、小さな光が見えた。

「……あれ?」

近づいてみると――

大きな木の根元に、淡く光る薬草が一株だけ生えていた。

「……あったにゃ!」

ルゥは嬉しそうに駆け寄った。

そっと摘み取る。

ふわっ……。


最後の薬草も、優しい光を放った。

「やったにゃ!」

ルゥは採取袋を開いて、中を確認する。

薬草、5本。


「全部そろったにゃ!」

思わず両前足を上げて喜ぶ。

「やったにゃ! 初めてのクエスト、成功にゃ!」

ほんの小さな依頼。

薬草を5本集めただけ。

けれど――

ルゥにとっては、特別な出来事だった。

何も分からないこの世界で、今日、初めて自分の力で何かを成し遂げた。

自分で選んで、自分の力で、一つのことを成し遂げた。


その小さな成功が、ルゥの胸に少しだけ自信を与えてくれた。

「……ルゥにも、できたにゃ」

そう呟いたルゥの顔には、嬉しそうな笑顔が浮かんでいた。

採取袋を大事に抱える。

「さあ、ギルドに戻って報告するにゃ!」

ルゥは森の出口へ向かって走り出した。

その足取りは、森へ入ってきたときよりも少しだけ軽かった。

まだまだ小さな一歩。


だけど――

その一歩は、確かに「冒険者ルゥ」の一歩だった。

ルゥの冒険は、まだ始まったばかり。


――第4話・おわり。

次回予告

初めてのクエストを無事に終えたルゥ。

冒険者として、初めての報酬を受け取ることに――!

次回、第5話「はじめての報酬」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。