第2話「知らない街」
森を抜けた、その先。
ルゥの目の前に――大きな街が広がっていた。
「わぁ……! 大きな街にゃ!」
思わず声が出る。
高い門。
大きな建物。
そして、遠くまで続く街並み。
ルゥは目を輝かせながら、街を見つめた。
――ここが、この世界の街なんだ。
少し緊張しながら、ルゥは門をくぐった。
そこには、たくさんの猫たちがいた。
いろんな猫たちが行き交っている。
通りには、見たことのないお店。
色とりどりの商品。
そして――
どこからか、いい匂いが漂ってくる。
「……いい匂いにゃ」
お店から流れてくるのは、ルゥが知らない料理の匂いだった。
思わず足を止めて、お店を眺める。
見たことのない道具。
見たことのない商品。
知らないものばかりだ。
ルゥはキョロキョロしながら、ゆっくりと街の中を歩いていった。
「ここ……本当に知らない場所にゃ」
街は賑やかだった。
たくさんの猫たちがいる。
でも――
ルゥの知っている場所ではない。
元の世界に帰りたい。
その気持ちは変わらなかった。
けれど、どうすれば帰れるのかは分からない。
「誰かに聞いてみたいにゃ……」
ルゥがそう呟いた、そのときだった。
――通りの先に、大きな建物が見えた。
ルゥは、そちらへ目を向ける。
入口には、立派な看板が掲げられていた。
そこに書かれていたのは――
『冒険者ギルド』
「冒険者……?」
ルゥは、看板を見上げた。
聞き慣れない言葉。
いったい、ここは何をする場所なんだろう。
そう思っていると、ギルドの扉が開いた。
中から出てきたのは、冒険者らしい猫たちだった。
剣を持った猫。
杖を持った猫。
大きな荷物を背負った猫。
みんな、それぞれ違った姿をしている。
ルゥは、その様子をじっと見つめた。
そして――
「ここなら、この世界のことを知ってる猫がいるかもしれないにゃ!」
少しだけ、勇気が湧いてきた。
ルゥは大きな扉の前まで歩いていく。
目の前にすると、やっぱり少しドキドキする。
それでも、帰る方法を知るために。
ルゥは、そっと前足を伸ばした。
そして――
扉に前足をかける。
カラン、カラン――。
小さなベルの音が、ギルドの中に響いた。
「こんにちは……にゃ」
ルゥは、そっとギルドの中へ足を踏み入れた。
知らない街。
知らない世界。
分からないことばかり。
それでも――
ルゥは、少しずつ前へ進んでいる。
森から街へ。
そして今、冒険者ギルドへ。
ここから、何かが始まる気がした。
ルゥは、まだ知らない。
この小さな一歩が――
冒険者としての最初の一歩になることを。
第2話・おわり
次回予告
たくさんの猫たちが暮らす街、エルニア。
ルゥが次に見つけた場所は――?
次回、第3話「はじめての冒険者登録」




