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こねこの異世界冒険記  作者: ポンデリング
第2章「こねこ冒険者、次の一歩へ」

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第17話「はじめての魔物討伐」

【異世界生活7日目】

朝。


月のひげ亭の窓から差し込む光で、ルゥは目を覚ました。

「今日も冒険するにゃ!」

昨日は、グレイファングと初めて向き合った。

攻撃をかわし、少しだけ反撃もした。

最後は、戦わずに森へ誘導した。

「ルゥ、もっと強くなりたいにゃ……」

そう思いながら、ルゥは冒険者ギルドへ向かった。

今日の依頼


ギルドに着くと、ルゥは依頼掲示板を眺めた。

その中で目に留まったのは――

『畑を荒らす魔物を退治してほしい』

という依頼だった。

「退治……にゃ?」

ルゥは依頼書を持って、ミーナのところへ向かう。

「ミーナさん、これやってみたいにゃ!」

ミーナは依頼書を確認すると、少し真剣な表情になった。

「今回の相手は、ツノウサギです」


「ツノウサギ……!」

ルゥの耳がピンと立つ。

以前、出会ったことのある魔物。

あのときは、攻撃をかわして畑から追い払っただけだった。

「今回は……退治するにゃ?」

「はい。ただし、無理はしないでくださいね」

ミーナは優しく続ける。

「危険だと思ったら、逃げても大丈夫です」

「わかったにゃ!」

ルゥは依頼書を受け取った。

以前は、追い払うことしかできなかった相手。

今の自分なら――

もう少し、できるかもしれない。

もう一度、ツノウサギ


エルニアを出て、依頼先の畑へ向かう。

畑の近くには、小さな足跡がいくつも残っていた。

葉っぱは食べられ、土も掘り返されている。

「ここにいるにゃ……」

ルゥは周囲を見回した。

すると――

ガサッ!


畑の向こうで何かが動いた。

「いたにゃ!」

そこにいたのは、茶色い毛並みのツノウサギ。

ルゥを見ると、耳を伏せる。

「キュッ!」

そして――

ダッ!


ツノウサギが突っ込んできた。

「にゃっ!」

ルゥは横へ飛び退く。

以前と同じ攻撃。

でも、今のルゥは違った。

ツノウサギが方向を変える。

ルゥは相手の動きを見る。

「次は……こっちにゃ!」

先に体を動かす。

ツノウサギの角が、ルゥのすぐ横を通り過ぎた。

「やっぱり、前より分かるにゃ!」

はじめての討伐


ツノウサギは何度も突進してくる。

ルゥは逃げながら、相手の動きを観察した。

一度目。

避ける。

二度目。

避ける。

三度目――。

ルゥは、ツノウサギの動きを見た。

「今にゃ!」

突進してくるツノウサギの横へ回り込む。

「えいっ!」

前足の一撃が、ツノウサギに当たった。

ツノウサギがよろめく。

ルゥはすぐに距離を取る。

「まだにゃ……!」

ツノウサギが向きを変える。

その動きを見て、ルゥも身構える。

「来るにゃ!」

そして――

「にゃあっ!」

ルゥは横へ回り込み、前足を振り抜いた。

ツノウサギは地面に倒れた。

しばらく待っても、動かない。

ルゥは慎重に近づく。

「……にゃ?」

ツノウサギは、倒れたまま動かなかった。

「……倒したにゃ」

ルゥは、自分の前足を見つめた。

これまでの依頼では、魔物を倒したことはなかった。

初めてだった。

「ルゥ……魔物を倒したにゃ」

嬉しい。

でも、それだけではない。

少しだけ怖かった。

「……ちゃんと、できたにゃ」

ルゥは深く息を吐いた。

その瞬間――


胸の奥が、ふっと熱くなった。

「……にゃ?」

頭の中に、今までとは違う感覚が広がっていく。

何度も見てきた魔物の動き。

攻撃の前の小さな変化。

次にどこへ動くのか。

それらが、ひとつにつながったような感覚だった。

【スキル『見切り』を習得しました】


「……スキルにゃ?」

ルゥは驚いて目を丸くした。

はじめてのスキル

エルニアへ戻る途中も、ルゥは何度も自分の冒険者証を確認した。

そこには新しく――

スキル:見切り


と表示されていた。

「相手の動きが……前より分かる気がするにゃ」

それは突然手に入った不思議な力ではなかった。

ツノウサギを追い払った経験。

森で相手の動きを観察した経験。

荷車を守った経験。

グレイファングと向き合った経験。

そして今日。

何度も相手の動きを見続けたことで、ルゥの中に新しい力が芽生えたのだ。

はじめての討伐報告


ギルドへ戻ると、ルゥはミーナに報告した。

「ツノウサギを……討伐しました」

ミーナが驚いたように目を丸くする。

「ルゥさん、初めての討伐ですね!」

「そうにゃ!」

「以前は、追い払うだけでしたよね」

「うんにゃ」

「でも今回は、相手の動きを読んで、自分で攻撃するタイミングを選べたんですね」

「にゃ!」

ミーナは嬉しそうに笑った。

「本当に成長しましたね、ルゥさん」

そしてルゥの冒険者証を見たミーナが、さらに驚く。

「それに……新しいスキルを覚えていますね!」

「これにゃ!」

ルゥは冒険者証を嬉しそうに見つめた。

「見切り。相手の動きを観察して、攻撃のタイミングを予測しやすくするスキルですね」

「すごいにゃ……!」

今回の報酬は――

100G。

所持金は、

560G → 660Gになった。


そして――

ピカッ……!

冒険者証が再び光り始める。

「……にゃ?」

ミーナが冒険者証を確認する。

「ルゥさん。これは――」

「にゃ?」

「レベルアップです!」

「にゃあっ!?」

冒険者証に、新しい数字が刻まれていく。

Lv3 → Lv4


「また強くなったにゃ!」

新しい力

ミーナがステータスを確認する。

「ステータスも少し変わっていますよ」

ルゥは目を輝かせた。


HP:14 → 16

攻撃力:3 → 4

防御力:2 → 2

素早さ:3 → 4


魔力と運は変わらなかった。

「すごいにゃ……!」

ルゥは自分の体を見回す。

昨日より、少しだけ力がある。

昨日より、少しだけ速く動ける。

そして今は――

自分の力で相手の動きを読むための、新しいスキルもある。

「ルゥ、もっと冒険したいにゃ!」

ミーナは笑顔でうなずいた。

「でも、焦らず少しずつですよ」

「わかったにゃ!」


夕暮れ。

ギルドを出たルゥは、エルニアの街を歩いていた。

今日は初めて、魔物を倒した。

以前は、ツノウサギを追い払った。

昨日は、グレイファングを戦わずに誘導した。

そして今日は――

自分の力で魔物を討伐し、新しいスキルまで身につけた。

「ルゥ、少し強くなったにゃ……」

でも、ルゥは分かっていた。

強くなったから勝てたわけじゃない。

相手の動きを見た。

危険を考えた。

攻撃するタイミングを選んだ。

これまでの経験があったからこそ、今日の討伐につながった。

そして、その積み重ねが――

新しい力になった。


「冒険って……少しずつ、できることが増えるんだにゃ」

ルゥは空を見上げた。

そして――

「次は、もっと難しい依頼にも挑戦するにゃ!」

小さなこねこ冒険者は、新しいスキルと力を胸に、また一歩、冒険の道を進んでいく。

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