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こねこの異世界冒険記  作者: ポンデリング
第2章「こねこ冒険者、次の一歩へ」

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13/25

第13話「いつもより少し遠くへ」

【異世界生活3日目】


朝のエルニア冒険者ギルド。

ルゥは今日も、依頼掲示板の前に立っていた。

レベル2になったばかりだ。

でも――

「そろそろ、もう少し難しい依頼にも挑戦したいにゃ!」

ルゥは掲示板をじっと見つめる。

薬草採取。

荷物運び。

街のお手伝い。

そして、その中に――

『森の道標を確認してほしい』


という依頼書があった。

「道標……?」

依頼内容は、エルニアから少し離れた森にある三つの道標を確認すること。

これまでの依頼より、少し遠い場所だ。

「これ、やってみたいにゃ!」

ルゥが依頼書を手に取ると、ミーナがやってきた。

「その依頼を受けるんですか?」

「うんにゃ!」

ミーナは依頼書を確認する。

「いつもの森より少し遠い場所ですよ。道に迷わないように、周りをよく見て進んでくださいね」

「分かったにゃ!」

ルゥは胸を張る。

「もうレベル2にゃ! ちゃんとできるにゃ!」

ミーナは優しく笑った。

「それなら、気をつけて行ってきてくださいね」

「行ってくるにゃ!」

エルニアを出て、ルゥは森へ向かった。

いつも行っている森より、少し遠い。

歩いているうちに――

「……この道、初めて通るにゃ」

見慣れた景色が、少しずつ変わっていく。

大きな木。

曲がった岩。

小さな川。

ルゥは周りを見ながら歩いた。

「ちゃんと覚えておくにゃ」

いつもより遠くへ行くなら、帰り道も覚えておかなくてはいけない。

ルゥは一つひとつ、目印を確認しながら進んでいった。

やがて――

「あったにゃ!」

一本目の道標を見つけた。

「壊れてないにゃ!」

ルゥは依頼書を確認しながら、道標の状態をしっかり確かめた。

「次は二つ目にゃ!」

しばらく進むと――

「……あれ?」

道が二つに分かれていた。

「どっちに行くにゃ?」

ルゥは立ち止まった。

右の道。

左の道。

依頼書には、二つ目の道標までの詳しい道順は書かれていない。

「うーん……」

ルゥは周りを見回す。

すると――

「あっ!」

地面に、小さな木の杭が並んでいる。

「道標の方向を示してるのかにゃ?」

ルゥは杭を一つずつ確認した。

右の道には、杭がない。

左の道には、少し離れた場所にもう一本。

「こっちにゃ!」

ルゥは左の道を進んだ。

しばらくすると――

「あったにゃ!」

二つ目の道標を発見した。

「やったにゃ!」

ルゥは嬉しそうに尻尾を振った。

残るは三つ目。

けれど――

三つ目の道標は、二つ目よりさらに奥にある。

「ちょっと遠いにゃ……」

ルゥは少しだけ不安になった。

でも、すぐに前を向く。

「ここまで来たんだから、最後までやるにゃ!」

一歩。

また一歩。

森の中を進んでいく。

すると――

ガサッ。


「……!」

ルゥの耳がピンと立つ。

草むらが揺れた。

「魔物……かにゃ?」

ルゥは立ち止まり、じっと様子を見る。

すると――

ぴょんっ!

小さなツノウサギが飛び出してきた。

「……ツノウサギにゃ!」

第10話で出会った魔物だった。

あのときは、突進してくるツノウサギを必死に避けた。

でも――

今のルゥは、あのときとは少し違う。

「大丈夫にゃ……」

ルゥは距離を取る。

ツノウサギの動きを、じっと見る。

身を低くした。

「来るにゃ!」

ダッ!

ルゥは慌てず、横へひらり。

ツノウサギは、そのまま走り抜けていく。

「……避けられたにゃ!」

前よりも、動きがよく見えた。

「前より、ちゃんと動けたにゃ!」

ツノウサギは、そのまま森の奥へ逃げていった。

ルゥは追いかけなかった。

「依頼を先に終わらせるにゃ!」

そして――

森の奥で、三つ目の道標を見つけた。

「あったにゃ!」

道標を確認する。

問題なし。

「これで全部にゃ!」

ギルドへ戻ると、ミーナが迎えてくれた。

「おかえりなさい、ルゥさん」

「三つとも確認してきたにゃ!」

ルゥは依頼の結果を報告する。

「初めて行く場所だったのに、ちゃんと道を覚えて帰ってこられたんですね」

「途中でツノウサギにも会ったにゃ!」

「まあ」

ミーナが少し驚く。

「でも、ちゃんと依頼を優先して戻ってこられたんですね」

「うんにゃ!」

ルゥは胸を張った。

「前なら、もっと慌ててたかもしれないにゃ」

ミーナは嬉しそうに笑った。

「それも立派な成長ですよ」

今回の報酬は――

80G。


現在の所持金は260G。

今回の報酬を合わせて――

340G。


「340Gになったにゃ!」

ルゥは嬉しそうに冒険者証を見る。

月のひげ亭へ戻る道。

ルゥは今日の冒険を思い出していた。

初めて行く場所。

分かれ道。

そして――

ツノウサギ。

少し前なら、怖くて慌てていたかもしれない。

でも今日は違った。

「ちゃんと考えて、動けたにゃ」

レベルが上がった。

少しだけ強くなった。

そして――

冒険者としての経験も、少しずつ増えている。

「もっといろんな依頼、できるようになりたいにゃ!」

ルゥは夕暮れのエルニアを歩いていく。

まだFランク。

まだまだ新人。

それでも――

昨日より、ほんの少しだけ前へ進んだ。

こねこ冒険者の次の一歩は、今日も小さい。


でも、その一歩は確かに未来へ続いていた。


――第13話・おわり。

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