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異世界転移というけれど…  作者: 橘吟香
第三章
51/53

3-1

 こんにちは。

 橘 吟香です。

 お待たせしました。

 投稿再開です。

 更新はこれまでと同じ週2回(火・木)となっています。

 よろしければ、引き続きお付き合いください。

 おはようございます。

 異世界に来て11日目の朝です。

 正直1ヶ月は過ぎているような気がするのは何故でしょう。

 疲れているんですかね、私。


 さて現在。

 ソファで寝ていた私の目の前で、赤い髪をした河童ちゃん…もとい、昨日、神父さんから押し付けられた奴隷さんが深々と土下座をしております。

 異世界にも土下座ってあるんですね。

 しかし……何故、彼は土下座をしているのでしょう。

 えーと、確か……

 昨夜、私が彼に『大きな葉っぱ』を貼り過ぎたせいで、食事中に熱を出して倒れたんだよね。

 うん……ごめん。

 彼をベッドに寝かせて、付きっきりで看病していたら、いつの間にか空が白み始めて……

 その頃には彼の容体も落ち着いていたから、私も少しだけソファに横になったんだよね。

 さすがに限界だったから。

 そして目が覚めたら、すっかり陽が昇っていたという……

 ――そういえば。

 昨夜、彼が「ベッドは奴隷が使用するものじゃない」とか言っていたような気がする。

 もしかして、それで土下座をしているのかな?

「――…具合は、もういいの?」

「――…はい」

「そか……今、何時?」

「陽が昇ってから、2時間ほど過ぎています」

 ――…うむ。

 つまり、何時かわからん。

 窓からは温かくも眩しい陽が入ってくる。

 確か、朝日は体内時計をリセットし、脳を覚醒させ、心身ともに良い影響をもたらすとか……

 ――……うん。ムリぽ。

「下に行って……1時間後に朝食を持って来てもらうよう、頼んでいいかな?」

「はい……」

「ごめん……それまで寝かせて?」

「はい……」

「――土下座はしなくて良いから」

「――はい」

「あと、朝から全裸はキツいから、マント羽織って?」

「はい……」


 ―― 約2時間後 ――


「ごめんなさい。寝坊しました」

 今度は私がソファの上で土下座する番でした。

 1時間で起きるつもりだったのに……

 やっぱり疲れていたんですかね、私。

「いえ――その……だい、じょうぶ、です……ので……どうか、頭を……あげてクダサイ……」

 私が頭を下げたことに、彼はもの凄く狼狽え、半泣き状態になっている。

 しかし、下げた目線の先にある彼のモノがいただけない。

 おかげで少し目が覚めましたよ。

 彼が着ていたボロボロの服、処分しちゃったからなぁ。

 故にマントの下はすっぽんぽん。

 早くなんとかしないと……

 あー……ダメだ。

 目は覚めたけど、頭が全っ然起きてない。

「顔、洗って――」

 きます、という前に、彼がさっとホカホカのタオルを無言で私の前に差し出してきた。

「……」

「……ありがとう」

「……いえ」

「えーと、お手洗いは……」

 確か1階だったかなと、ソファから立ち上がった瞬間、またもや彼がささっと部屋の扉を開けてくれた。

「……ありがとう」

「……いえ」

 その後も、行く先々で扉を開け閉めしてくれる。

 ――何、この至れり尽くせり感。

 昨日も思ったけど、執事か?執事なのか?

 ちなみに。

 異世界で初めて使ったスライムが処理してくれるお手洗いは……意外と使いやすかったデス。

 ただし!

 座るまで非っっ常に勇気がいったけどね!!

 普段からアルコール入りの除菌シートを持ち歩いてて本っ当に助かったわ。

 トイレットペーパーは景品で貰った物だけど。

 私には……洗ってあるとはいえ、共有の布(もちろん未使用)で拭く勇気は無かったよ――

 ううっ、温水便座が恋しい……


 トイレを済ませて部屋に戻る時、彼が朝食を持って上がってきた。

 テーブルの上に置かれたのは、昨夜の残りのような硬いパンとスープ。

 訊けば、これがこの辺りでは一般的な朝食なんだとか。

 うん。ここでの料理はもう期待しないことにした。

 あぁ、米粒が……納豆が恋しい……

「そうだ!」

 朝食を食べる前に、彼に背を向け【空間収納】から【複製】済みの私の服を2枚取り出す。

 片方の袖同士をきゅっと結んだ状態で彼の前に立ち、

「この服で……こう、前と後ろで挟んで……横で袖を結べば……」

 ほぉ~ら。簡易腰巻の完成だ。

「昨日、服を処分しちゃったでしょ。これなら前を隠せるかなって」

 彼が歩くたびに見えるのよ。チラチラと……

 本人は全く気にしてないみたいだけど、私はめちゃくちゃ気になるのよね。

「……あ、ありがとう、ございます……」

 困惑しながらも、どこか嬉しそうに彼は礼を言う。

「どういたしまして。さ。食べようか」




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