2-18
最初は、彼らが何をしているのか、まったく分からなかったの。
いや、何をしているのかは分かっていたのよ?
ただ、頭が追いついてなかっただけで――
でも、人を蹴る音と下品な笑い声と一緒に、
「奴隷のくせに湯を使うとか、生意気なんだよ」
「部屋に入れてもらおうとか良いご身分だな。身の程を知れよ」
とか言っているのが聞こえてきて。
……あぁ、これが俗にいう「殴る蹴るの暴行」ってやつなんだな――って。
ようやく理解が追いついて……沸々と、怒りが沸いてきたんですわ。
「――…随分と、楽しそうですね」
アンタら、そうおっしゃいますけどね。
それ、全部私がお願いしたことなんですが。
あと、こんなこと、本っ当に言いたくないんだけど、仮に私が彼の主人だったとして、主人の許可なくボコるってどうよ?
それがこの世界の常識なのか?
絶対違うだろ。
お前らが身の程を知れよ。
自分でも驚くくらいの低い声と、相当悪い目つきで二人を睨みつける。
飛び上がらんばかりに驚いて振り向いた彼らに、私の怒りが伝わったらしい。
一人はバツが悪そうに焦りながら、
「あー……いや……その……」
もう一人はへらへら笑いながら、
「お湯と焼き石、ご用意できました……」
とか言いながら、そそくさと去っていきやがりましたよ。
「――この三流どもが……」
そういうとこやぞ?
去り行く背中に吐き捨てる。
おっと。お口が悪くなっちゃったわ。
いけないいけない。
あんまり怒ったことがなかったから知らなかったけど、私って怒りがMAXになったら逆に冷静になれるタイプだったのね。
従業員さん、良い経験と発見をありがとう。
できれば貴様らには二度と会いたくないけどな!




