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異世界転移というけれど…  作者: 橘吟香
第一章
43/44

2-18

 最初は、彼らが何をしているのか、まったく分からなかったの。

 いや、何をしているのかは分かっていたのよ?

 ただ、頭が追いついてなかっただけで――

 でも、人を蹴る音と下品な笑い声と一緒に、

「奴隷のくせに湯を使うとか、生意気なんだよ」

「部屋に入れてもらおうとか良いご身分だな。身の程を知れよ」

 とか言っているのが聞こえてきて。

 ……あぁ、これが俗にいう「殴る蹴るの暴行」ってやつなんだな――って。

 ようやく理解が追いついて……沸々と、怒りが沸いてきたんですわ。

「――…随分と、楽しそうですね」

 アンタら、そうおっしゃいますけどね。

 それ、全部私がお願いしたことなんですが。

 あと、こんなこと、本っ当に言いたくないんだけど、仮に私が彼の主人だったとして、主人の許可なくボコるってどうよ?

 それがこの世界の常識なのか?

 絶対違うだろ。

 お前らが身の程を知れよ。

 自分でも驚くくらいの低い声と、相当悪い目つきで二人を睨みつける。

 飛び上がらんばかりに驚いて振り向いた彼らに、私の怒りが伝わったらしい。

 一人はバツが悪そうに焦りながら、

「あー……いや……その……」

 もう一人はへらへら笑いながら、

「お湯と焼き石、ご用意できました……」

 とか言いながら、そそくさと去っていきやがりましたよ。

「――この三流どもが……」

 そういうとこやぞ?

 去り行く背中に吐き捨てる。

 おっと。お口が悪くなっちゃったわ。

 いけないいけない。

 あんまり怒ったことがなかったから知らなかったけど、私って怒りがMAXになったら逆に冷静になれるタイプだったのね。

 従業員さん、良い経験と発見をありがとう。

 できれば貴様らには二度と会いたくないけどな!




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