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「はぁー…これが異世界の集落か」
石垣を修繕していたおじさんに言われた通り、道なりに進みながらきょろきょろと周囲を見回す。
荒い石作りの建物、整備されていない道、清潔とは言い難い服装、壊れた生活道具の放置具合。
この感じは、俗にいう「始まりの村」的な?
見るからに……ものすごく……何もなさそうな……げふんげふん、失礼。
この道が集落のメインストリートになるのかな?
時々見かける人達はみんな男性で、私よりも背が高いから巨人の国に来た感じが否めない。
駆逐されないように気をつけようっと。
それにしても、さっきからチクチクとすごく視線を感じるのは、私が完全部外者だからかな。
フード、もっと深くかぶっとこ。
――そういえば。
竜賢さんがこの世界は人間の他に獣人さんやエルフさんがいるって言っていたけど、今のところ見ないな。
会うのが楽しみだったからちょっと残念な気もするけど、正直ホッとしている。
小説や漫画、アニメで予備知識はしっかりあるけれど、妄想と現実は違うからね。
慣れてないから実際に出会った時、失礼な態度を取らないか、ちょっと心配。
まぁ、最初に出会ったのが竜賢さんだったから、大丈夫といえば大丈夫なんだけど。
そんな風に、いかにもお上りさんといった感じで、お目当ての看板を探して歩いていると、左側に一際高く、大きい建物が飛び込んで来た。
木々に囲まれたその建物は、基礎的な部分は他の建物と同じ灰色の石で造られているけど、それ以外の柱や壁は木で作られていて、集落の建物とは一線を画している。
長年の風雨に晒されて色褪せ、傷んでいるように見えるけど、蜘蛛の巣が張っているといった様子はないから、手入れはしっかりとされているみたい。
「何の建物なんだろ……」
看板はないから宿屋ではない。
でも……なんか、気になる。
――ちょっと行ってみようかな。




