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異世界転移というけれど…  作者: 橘吟香
第一章
31/32

2-6

 それから、牧歌的な風景の中を昔ハマったファンタジーロボットアニメの挿入歌を流しながら、のんびり車を走らせること数十分。

 なだらかな下り坂のその先に、ようやく人家らしき建物が見えてきたので車を停めた。

 目を細めてじっ……と見てみると、どうやら小さな集落のように見える。

 こっちから目視できるってことは、あっちからも見えている可能性が高くない?

 だったら、余計な誤解や混乱を招かないためにも、ここら辺で車を【空間収納】に封印しておいた方が良いかもしれない。

 竜賢さんの反応からしても、この世界に『車』という乗り物はないっぽいからね。

 まぁ、竜賢さんは500年近く引き籠ってたから、あまり当てにはできないけど。

 仮にあったとしても、その時に出せば良いだけの話だし。

「その前に……」

 後部座席から謎の卵をリュックに3個とも入れる。

 ほら、【空間収納】は「生きているモノは禁止」だから。

 衝撃で割れると大変なので、卵と卵の間にはタオルを挟み、クッション代わりにすることを忘れない。

 リュックに入れていた車のカギや財布などの荷物はエコバッグにまとめて放り込む。

 何かあった時のために、手は空いてる方がいいもんね。

 でも、不思議だなー。

 このリュック、そこまで大きくないはずなのに、なんで人の頭くらいの卵が3個も入るんだろう?

 ――…これもアレか。

 深く考えたらいけないやつか。

 さて。

 ここから集落まで歩いて10分……いや、20分くらいかな。

「忘れ物は、ないかな?――…よし」

 ポンポンと車を叩いて労う。

 愛車ちゃん、今までありがとう。

 キミとはしばしお別れだ。

 また何かあったら、その時はよろしく頼む。

 そう心の中で感謝して車を【空間収納】にしまう。

 ついでに虫よけの薬玉もしまう。

 リュックを背負い、その上からマントを装備してフードをかぶる。

 エコバッグを肩にかけたら準備はOK。

「いざ!出っ陣~!」


 ……卵、思っていたよりも重くなくてよかった。




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