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……と、意気込んでいた時期が私にもありました。
しかし、現実はそう甘くなかった。
いや、ね。
最初は良かったのよ?最初は。
洞窟を出ると森の住人が「ついて来い」と言わんばかりに、適度な距離を保ちながら先導してくれる。
なんなら振り返り、振り返り、私を気にしてくれている様子。
その気遣いは非常にありがたく、嬉しかったんだけど。
とにかく――森の中は歩きづらい!
ちゃんとした道はない、舗装もされてない、平坦じゃない、の「ないない」尽くし!
木の枝や石がそこら中にごろごろ落ちていて、いつの間にかブーツの中に入り込んだ小石が地味に痛い!
その小石が確実に私のやる気を削いでいく。
こいつ……やるな!
きちんとアスファルトで舗装された、平坦で、水はけの良い、ゴミ1つ落ちていない――は、ちょっと言い過ぎか。
そんな道に慣れきっている現代人に、この森は無理ゲー過ぎて……
何度石や木の根に躓いて転びそうになり、何度足首を捻りそうになったことか。
先導を見失わないように、足元を気にしつつ歩いていたら、あっという間に陽も暮れて。
気づいた時は辺り一面、真っ暗になっていた。
そんなヘロヘロの状態で【空間収納】から愛車を取り出し、早々に車中泊と決め込んだ私は絶対に悪くない。
車内で汚れた手足を拭き、『女神の果実』を食べながら今日を振り返ってみる。
正直、2kmも歩いていない。
でも、自分では頑張ったと思っている。
明日はもう少し頑張ろう、なんて考えながら瞼を閉じたら――……余程疲れていたのか、秒で寝落ちしたみたい。
朝までぐっすりでした。
いやぁ、寝る前に魔物除けの薬玉を用意していた私はほんとにえらい。
本当は着火しないといけなかったんだけど、火種がなかったから車の上に置くだけにしてたんだよね。
何も起きなかったってことは、あのくさ…ひど…すごい臭いだけで寄って来なかったってことなのかな?
虫よけの薬も効果てきめんだったしね。
さすが、竜賢さんと一緒に作っただけのことはある。
あ。
先導してくれた森の住人には、お礼に『聖水』を満たした容器を車のボンネットに置いておきましたよ?
翌朝には容器が空になっていたので、喜んでくれたのかなと勝手に思っています。




