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たくさんの花に埋もれて眠る竜賢さんを改めて見て、みんなから愛されていたんだな、と実感する。
そんな竜賢さんをこの森から連れ出すことに、少しだけ後ろ髪を引かれる思いがした。
でも、こればかりは仕方がない。
竜賢さんをアンデッド化させるわけにはいかないのだ。
安らかに眠る竜賢さんに手を合わせ、最後の手向けとして、生前好んでいた神聖力の『聖水』を竜賢さんの全身にかけて清める。
光に反射して黄金に輝く『聖水』を風がそっと運んでくれる。
キラキラと舞い散るその様は、夏の最後の花火に似ていて――
泣きたくなるくらい、綺麗だった。
洞窟内に残る、祭りの後のような余韻を胸に、竜賢さんを花々と共に【空間収納】へ収め、そっと抱きしめる。
――…もう悲しまないのだ。
大切な人を偲び、感謝し、別れを受け入れる。
その時間はもう終わった。
いつまでも、ここで立ち止まっているわけにはいかない。
旅装束を身に纏い、必要な物を全て【空間収納】に納め、周囲を見渡す。
竜賢さんと過ごした日々は本当に短いものだった。
けれど、思い出は十分にある。
大丈夫。なんとかなる!
そう自分に強く言い聞かせ、長い髪をぎゅっと結ぶ。
フードの中に竜賢さんと一緒に作った虫よけの薬玉をセットしたら、出発の準備は完了だ。
何事も、最初が肝心。
大きな声を上げて、覚悟を決める。
「――行ってきます!」




