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報復一途  作者: G0MA6GI


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9/10

悪運

 大家のおかげで、気が晴れた愛理は、外に出られるようになり、笑顔も少しずつ増えていった。そんなある日、彼女が眠りにつこうと部屋の電気を消しベットに横になったところ、彼は現れた。月明かりに照らされたその顔は、以前までとは違い、大人びた印象があった。「敬斗君!」再会の喜びで、彼女は思わず飛び起きた。「よかった。生きててくれたんだね。」涙を流しながら、抱き着く彼女を、彼も抱き返した。「愛理ちゃん、ごめんね。僕のせいでつらい思いをさせて。」「ううん、敬斗君は何も悪くないよ。私は大丈夫だから、だから、もう一度、一緒に暮らそう。」嗚咽交じりにそういうと、彼は「ダメだよ。僕はもう人じゃない。君とは一緒に入れないんだ。」と返した。「へ?」その言葉に、ショックを隠せずにいると、彼は彼女をベットに押し倒し「だから、最後に…」言い終わらぬうちに、彼女の服を脱がせ、否定された悲しみと、その行為からえづく彼女を余所に、大きくなった彼の体は、彼女を押しつぶすように動き始めた。

 激しさを増す行為に、彼女は身を任せ、喘ぐ声は一層大きくなった。彼の首に手をまわし、離さないといわんばかりの力で、顔の前まで引き寄せた。ゆっくりと口づけをし、下が絡み合うと、からだの揺れもだんだん落ち着いてきた。顔を離した彼は、月明かりに照らされ、ほてってとろけたその顔を見ると、再び行為をし始めた。何度からだを重ねただろうか、彼女は深い眠りについた。彼は、シャワーを浴びると、自分の荷物をまとめ、最後に、彼女にキスをし、家を出た。

 彼の次なる標的は、未成年で、喫煙所に入り浸る女だった。

 女はいつものように、人目もはばからず喫煙所に入り、煙草に火をつけた。巻き上がる煙の陰から、彼は現れた。「司君と準君のこと、残念だったね。」女の気づかぬうちに、隣に腰掛けていた彼の声に、女は震えながら、顔を向けた。「な、なんで?」「なんで?それを僕に聞くのかい?」マスクで隠されていても、その不気味な笑みは透けるように見えた。「いやだ、やめて。」「もう遅いよ。君たちは、もっと早く気付くべきだったんだ。死ぬ前じゃなく、もっと早くに。」そういうと、マスクの口元を縫い付けてあった糸を引きちぎり、女の首を抑えると、耳をかじりちぎった。女の悲鳴が響き渡る前に、口をふさぎ、ちぎった耳をはき捨てた。「やっぱり、君たちまずいよ。いろんな意味でね。」

 3件目の事件になって、警察はようやく、不良グループの犯行でないとわかった。現場に残された遺体から、彼の歯形や唾液を採取し、それらによって特定が進んだ。しかし、事態はさらに深刻になっていく。

 彼が、警察に一度捕まえられたとき、その時の当事者の最後の1人が標的になると踏んだ警察は、その男に、家から出ず、警察の保護下に入ってほしいといった。だが、男はそれを断り、その夜、事件は起きた。

 ネオンがきらめく東京の街、この日は、仮装した人々とでごったがえしたいた。そう、ハロウィンである。男は、友人2人を連れ、ひしめき合う歩行者天国を歩いていた。すると、彼は現れた。深々と被ったフードで、大勢の人に紛れていても、男には、その異様さがすぐに分かった。ゆっくりと顔を上げると、あのマスクから見える左目は、すでに殺気立っていた。

 右手に持つ包丁を見ると、男はすぐに逃亡した。慌てて友人2人も逃げ出すも、人の波にのまれ、はぐれた1人は、路地裏に入った。しかし、後ろから口を抑えられ、のどを切られた。そしてもう1人は、人込みから男を見つけ、男もまたその友人を発見し、そちらへ寄っていった。その瞬間、友人は一瞬にして殺され、男は足を止めた。男は恐怖し、その場から動けなくなった。

 彼は、襲い掛かろうと男に近づくも、近くにいた警察が、異変に気付いた。「止まれ!」大きな声に、周りの人間は驚き、警察はその中をかき分け、彼をとらえた。彼は冷静で、抵抗することなく手かせがかけられた。しかし、その鋭い眼光は、男を睨み続けた。パトカーが現場につくと、彼は後部座席に乗せられ、マスクをはぎ取られた。ただ、彼はすでに、手錠を外しており、扉を閉めようとした警察の拳銃をつかむと、素早くセーフティーを外し、拳銃ホルダーごと、警察の足を打った。手早く、拳銃を抜き取ると、逃走を始めた。破裂音を聞いたほかの警察が、音のほうへ駆けつけた。1人の警察が、彼が逃走するのを目撃し、無線機で報告しながら追いかけるも、路地裏に差し掛かったところで見失った。

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