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報復一途  作者: G0MA6GI


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10/10

一途

 逃走した彼が行きついた先は、阿川の病院だった。奥へ入っていくと、研究室に阿川がいた。「君が来ることは、わかっていたよ。殺したくばそうすればいい。」「その前に、答えてもらおう。なぜ、僕を生かした。あの時、受け取った金は、大金でもなかったはずだ。」「君には、私のことが理解できると思ったからだよ。君も分かっただろう、この世界は不条理で、非常だと。だから、君に託そうと思ったんだ。」「託す?それで、僕が壊れてしまったというのに?」「私も君も、もう壊れていただろう。」彼は、阿川に銃口を向けた。「何か、言い残すことは?」「愛だけが救いではない。それを、双方が受け入れることで、形として成り立つ。君にはそれができた。でも、もう戻れない。やはり、君は私と同じだよ。」話を聞き終わると、彼は引き金を引いた。「さようなら。」そういうと、病院から足早に立ち去った。

 それから数分後、彼は愛理の部屋の前にいた。インターフォンを鳴らすと、すぐに彼女が出てきた。出てきた勢いのまま、彼に抱き着き涙を流した。「どうして…どうしてまた、私の前からいなくなったの?どうして…。」泣きじゃくる彼女を抱き上げ、部屋に入ると「ごめんね愛理。時間がないんだ。」外から、鉄製の階段を数人が駆け上がる音が聞こえた。彼は、とっさにベランダの戸を開け、彼女を抱きかかえながら、柵に上がると、扉を蹴破って部屋に入ってきた警察と目があった。「待て!」警察の制止も聞かず、彼は後ろ向きにベランダから飛び降りた。警察が下をのぞき込むと、すでに彼の姿はなかった。

 サイレンの音が鳴り響く中、2人はビルの屋上にたどり着いた。「敬斗君…。」泣き腫らし、真っ赤になった眼をこすりながら、愛理は彼の顔を見た。「ごめん、愛理。ごめん…。」涙を流しながら、謝る彼を抱き寄せ、「大丈夫、私はここにいる。だから…。」「気づいたんだ、愛理のお腹の子のこと。君一人に、背負わせたくなかった。けど…。」「いいよ、いいんだよ。私も、敬斗君が背負ってたこと、気づけなかったんだから。だから、一緒に逃げよう。」そう笑いかけながら言う彼女の手を離すと「それはできない。愛理をこれ以上、巻き込むわけにはいかない。だから…。」そういうと、彼女の涙をぬぐい、キスをした。何分立っただろう、いや、1分にも満たない時間だったが、2人には、永遠のように感じれた。

「愛してるよ、愛理。」離れていく彼の背を、愛理はただ、見続けることしかできなかった。



 それから数年たった成人の日。あのいじめっ子は、同級生らと、東京の一番高い建物で、街並みを展望していた。男は、エレベーターに乗った。扉が閉まると、電源が落ち、男は振り向いた。そこには、あの不敵な笑みを浮かべる、敬斗が立っていた。

「久しぶり、元気だった?」「なんで、お前が。」敬斗は答えず、エレベーターの天井を突き破ると、本来立ち入れない場所に、男を連れだした。そして、展望階の天井に出ると、男を脅し始めた。「みんないなくなったね。君にもそろそろ来てほしいと思ってんじゃない?」「何が欲しい?金か?」「別に、僕は何もほしくないよ。でもまあ、君には死んでほしいかな。」「頼む!許してくれ。お願いだ!」「許す?何を?僕はもう何も思ってないよ。」「へ…?」「みんな待ってるよ。大丈夫、僕も一緒に行ってあげるから。」「何、言ってんだ。一緒に?」「そう、一緒に。」そういうと、敬斗は男の手を引き、端まで連れて行った。「待ってくれ!やめてくれ!」「何をいまさら、みんな悲しむよ。」と言って、男を突き落とした。そして、敬斗もそこから飛び降りた。

 鈍い音が、連続で2回聞こえ、多くの野次馬が集まった。そこに、子供を連れた愛理もいた。



 終わり…

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

はじめての作品で、至らないところも多かったと思いますが、私自身は、楽しんで作ることができました。

続編も考えていますので、以降も、私の作品を読んでいただけると幸いです。

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