実行
最初の標的は、飲み屋街の駐車場で、仲間を待つ男だった。男はよく、深夜に不良グループとつるんで、飛行を繰り返しており、彼をいじめていたのもその一環だった。
彼は、男がいつもそこで、仲間を待っていることを認知しており、どう殺すか考えていた。そして、実行に移した。男が駐車場の縁石に腰掛け、街頭に当たらない場所で、スマホをいじっていたところに、彼は音もたてず目の前に立ち、「僕を知っているかい?」と、問いかけた。いきなりのことに、男はスマホを放り投げるほど驚いた。「な、なんだおまえ!」おびえ、震える声に「君だよ。」と、笑いかけながら言った。事態を飲み込んだ男は、立ち上がり、「なめんじゃねえ!!」と、いきなりこぶしを振ってきた。彼はそれを、ひらりと交わし、男の耳元で「さようなら。」と言って、腹に包丁を刺した。男は、言葉にならないような声を荒げ「や、やめてくれ、許してくれ。」と、涙を流しながら懇願した。その願いもむなしく、彼はさらに包丁を腹に突き刺し、最後に首を刺した。足元には、血だまりができ、凄惨なさまであった。やがて、男は絶命し、日が昇ると、その遺体が通行人により発見された。
警察は、男が不良グループとつるんでおり、非行を繰り返していたことから、別のグループの反感を買い、その結果こうなったのだと断定した。そのため、彼の犯行だとは誰も気づかず、彼は、次の標的に照準を当てた。
次の標的は、バイト終わりに、自宅まで原付で帰ってきたところだった。駐輪場の照明が、ちかちかと音を立てて光っているその横に、彼は立っていた。「おかえり。」その声を聴いた標的は、原付を倒す勢いで驚き、声がするほうを振り返った。口元と右目の部分を、網目状に縫い付けられた不気味な仮面に、細身ながら、少し背の高い様子に、標的は、腰を抜かしたように動かなくなった。「驚かないで、大丈夫、君も彼のところに送ってあげる。」そういうと、ゆっくりと標的に近づき、襲い掛かった。すんでのところで、意識が戻った標的は、攻撃を避け、身構えた。「はあ。」彼は、深くため息をつき「よけないでよ、痛くしちゃうじゃないか。」といった。「そうか、お前があいつを殺したやつか、俺も殺すってのか、じゃあ俺がお前をぶっ殺してやる。」と、拳を構えながら、じりじりと彼に近づき、3メートルほどの距離まで来ると、とびかかるようにこぶしを振り上げ、彼の顔面を殴った。しかし、びくともしない彼に「嘘だろ。」と驚き、後ろに下がろうとした瞬間、小さく不気味な声で笑いながら、先の男のように、包丁を腹に突き刺し、標的が痛む間もなく、さらに刺し続けた。その遺体もまた、明け方、通行人によって発見された。




