反骨
警察にとらえられ、署で取り調べを受けた敬斗は、その精神性から、阿川の元に戻される。学校は、彼を退学にし、この件をもみ消した。
阿川の元に戻った敬斗は、愛理に会えなくなったことで、さらに気を病んだ。髪は色が抜け、からだはだんだん細くなり、抜け殻のような状態になった。
再び自分の居場所を失い、そこに戻れない喪失感から、何も手を付けられずにいた敬斗はふと、愛理の言葉を思い出した。「あなたは、あなたのために生きればいい。」それは、自分が生きていてもいいということを教えてくれた言葉だった。そこから彼は、これまでのことを振り返り、この不条理な世界を許せなくなっていく。
深夜になると、毎日こっそり病院を抜け出して、外の世界に見聞を広め始めた。法、社会、秩序、あらゆる事柄の知識を蓄え、生き残っていく術を、独学で修得していった。ある日、廃棄物処理場を見つけた彼は、そこに捨てられたもので、自分に合った衣装と、顔を隠すためのマスクを自作する。
それから半年がたち、本来ならば、2年生になる年、自作したマスクをつけ、いつものように病院を抜け出し、東京の街並みを望むように、ビルの屋上に立っていた。標的は、自分をいじめたあの数人。そして、愛理をもてあそんだあの男。彼は、自分の平和を脅かした敵を、地の果てまで殺し続ける、殺戮マシーンになってしまった。
後戻りはできない、それでも、愛理が言った言葉を固く信じ、行動を始める。




