響心
「ごちそうさまでした。」と手を合わせる愛理に合わせるように、敬斗も手を合わせた。
「お風呂入る?」と彼女は問いかけた。彼にとって、風呂というものは長らく入っておらず、どんなものかさえ忘れていた。彼の困惑した表情を見ると、彼女はいたずらっぽく「一緒に入ろっか。」といった。彼は、首を縦に振った。「え…。」そんなことはないだろうと思って驚いた彼女は、「本当に?」と、また問いかけた。彼はまた、首を縦に振った。予想外のことに、困惑しつつも、「わかった。」と、顔を赤らめながら彼を脱衣所に連れて行った。
「ちょっと恥ずかしいから、そっち向いててね。」と、敬斗を壁に向かせ、愛理は服を脱ぎ始めた。するすると服を脱いでいき、パチッと上の下着を外し、最後に下をパサッと音を立てて脱いだ。胸を抑え、膝を内側にとじながら、彼のほうへ向き、「敬斗君も脱ぎなよ。」と言った。彼は言われるがまま、服を脱ぎ始め、恥ずかしげもなく彼女のほうを向いた。「ひゃあ!」何も言わずに振り向いたため、彼女は恥ずかしそうに、背を向けからだを隠した。「ご、ごめん。」と謝りながら、少し彼に目を向けると、そのからだを見て彼女は言葉を失った。骨ばったからだに、皮が張り付いたような状態で、とても男性の肉体には見えなかった。
そのからだを見て愛理は、恥ずかしがっている自分が虚しくなり、からだを隠すのをやめた。さっきまでほてっていたからだは冷め、哀れみが彼女を襲った。彼をどうにかしたいと思った彼女は、風呂から出た後、彼に寄り添うかのように、抱きしめ、自分に身を預けるように言った。
古びたアパートの一室、その奥の暗い部屋の中で、彼女の吐息が激しくなっていく。彼を満たしたいという思いで、自らの体を彼のために使わせた。




