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第三十一話 拘束 

 

 外の茂みで身を隠していた泥棒の仲間のもう一人男は壊れた玄関から仲間がやられたのを見ていた。助けに入るべきだったんだろうと思ったが、狭い廊下ではかえって邪魔になると判断した。その為外でチャンスを伺っていたのだ。


「まさか、やられるとは思わなかったが、好都合だぜ」


 男は先生と言っていた女性が玄関から背を向けたそのスキを見計らって、中に入った。足音さえ気をつければ、バレる事はない。女性は今、ガキの真っ正面に立っているため後ろから来る男の姿は見えない。まさに絶好のチャンス。

 それに今回の襲撃はこの男の他にもう一人いる合計三人でおこなっている。もう一人は二階を漁っている為に一階の音は聞こえなかっただろうが、携帯で手を出さないように連絡を入れたので問題ない。

 後はこの女性を気絶させるだけ。男は手刀を使って女性の首めがけて振り下ろした。気づく事の無かった女性はそのまま地に伏せた。


 *****


 美夜さんが倒れたその背後にいつから居たのだろう? 先ほどの男とは違う男が立っていた。僕は瞬時に美夜さんがやられた事に気づくと、美夜さんを起こそうとした。


「み、美夜さん! 返事をして下さい! 美夜さんっ!」


 男に構わずに声をかけ続ける。男がゆっくり、ゆっくりと近づいてくる。そんな事で僕は酷く恐怖していた。次は僕が何かされる番なのかと、何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もっ! 美夜さんに声をかけるたびその光景が視界にちらつく。

 男は僕もすぐ近くまで来ると、声をかけてきた。


「ガキ、お前ここの家の奴なんだよな? YESかNOで返事しな!」


 上から浴びせられる声に僕はすっかり怯えてしまい、返事をする事が出来なかった。男は頭をポリポリ掻いて軽くため息をついた。


「……黙ってると、殺すぞ! ガキ」


 恐怖してしまった僕には反抗する声すら出せない。そんな中、二階から見知らぬ男がもう一人降りてきた。


「一体何がどうなってんだ? おい、三河。さっさと答えろや!」


 僕はもう一人の男の方に顔を向けた。三河と呼ばれた男より身長は低く、頬に切り傷がある男だった。


「知らん。取りあえず、このガキ連れてくぞ! 人質って奴だ」


「はぁん、なるほどね。了解!」


「んじゃ、そいつ連れてこい!」


「へいへい」


 大柄の男に蹴りを入れる。すると男はピクッとなり、ゆっくりだが手をついて立ち上がった。


「あー、……っぺ! 痛てー。糞がっ! ったく、何にもんだこの女?」


 大柄な男は美夜さんを睨み付けながら他の仲間に聞く。三河は知らん、ほっとけと言った表情で先に出ていく。大柄の男もその後をついて行く。傷のある男は僕を無理矢理立たせると腹部に一発ぶち込む。僕は強烈な痛みを腹部に感じながら胃液をばらまき、気絶した。

 ここまでに起こった事は僕と美夜さんが来てから僅か数分の出来事だった。


 *****


 私は走って家に向かった。その最中、おそらくあいつらだろうと私には泥棒に心当たりがあった。でも、美夜もいるからカズ君は心配しなくでも大丈夫だろう。私は生徒会室からおよそ十数分で自宅に到着した。生徒会室で見ていたとおり、酷い有様だった。これじゃ、カズ君哀しむよねと思いながらも中に入っていった。


 中はさらに酷く、そこら辺に穴が開いていた。だが、そんな光景の中で人が倒れていた。よく見るスーツ姿。もしかしてと脳裏で最悪の事態を想定した。考えるのも怖い中、横たわっている人物に近づき顔を確認する。美夜だった。それならカズ君は!? 美夜が生きている事が分かった私はカズ君の姿を探す。一階、二階各部屋の中を探すものの見つからなかった。


 それから一時間後、美夜が目覚めるまで私はリビングを綺麗に片付けていた。美夜が目を覚ましてからは私が来るまでの事情を聞く事にした。


「……と言うわけです。申し訳ありません! 和馬様を守れず、家をこんな事にしてしまいまして!」


「頭を上げて。別に美夜のせいじゃないわよ。それなりの人数が居たし、不意を突かれたんだったら仕方ないよ。今はこれからどうするかって事でしょ?」


 私は美夜と自分の部屋に戻って監視カメラを起動させた。様々な所に配置されているため見られないところはない。私は一時間前の玄関付近の映像を再生した。男が三人、それから車を運転してきた男が二人の計五人居る事が分かった。私はパソコンを起動させ、男達の情報を打ち込んでいく。


「美羽様、一体何をしているのですか?」


「何って、カズ君の居場所を突き止めてるんだけど?」


 私の打ち込んだ情報をこの町にある全ての監視カメラ(自分が仕掛けたカメラ)の映像と一致させる。映像検索から数十秒後。カズ君を拉致した男達が映し出され、場所も特定する。私はその次に岡野さんに電話をする。何回かのコールの後、本人の声が聞こえた。


『もしもし? 岡野ですが』


「もしもし? 岩永美羽ですが? 岡野さん?」


『み、美羽様!? どどど、どうかしましたか?』


「そんなに緊張しないで。ちょっと確認したいんだけど、岡野さんのお父様って軍の関係者だったよね?」


『は、はい! それがどうかしましたか?』


 私はその言葉についつい笑みがこぼれてしまった。だが、すぐさまいつもの表情に戻すと岡野さんに話を続けた。


「実はね? お父様の電話番号を教えてもらえないかな? ちょっとゴミの処分に困ってて」


『はい! そのくらいならお安いご用ですよ。口頭でお伝えしてもよろしいですか?』


「えぇ、大丈夫よ」


 私は岡野さんから電話番号をメモし終えると、次にそこに電話をした。長いコール後、岡野さんの父親が電話に出た。


『もしもし? ……どちら様かな?』


 岡野さんの電話番号でかかってこなかった為か少し警戒しているようだった。


「こんにちは、岡野陸将。娘さんの学園の理事長です」


『っ!? ……それで一体、理事長殿が私に何のご用件かな』


 予想も出来なかった人物に少々驚いた雰囲気を漂わせたが、すぐに態度を元に戻した。


「率直におっしゃいますと……軍隊の一部を貸して頂きたいのです」


『そ、そんな事出来るわけが無いだろっ! 何を言っているんだ貴方は!?』


「そうですよね、そんなに簡単に返事を貰えるとは思っていません。ですが、時間が無いので早めの決断をオススメしますよ」


 電話越しで向こうの息を呑む音が聞こえた。今の私はそんな息を呑む数秒の時間さえ無駄に感じた。私は交渉が面倒くさくなって岡野陸将に言った。


「分かりました。そちらの軍隊の一部を〇〇億円で買収することにします」


『なっ!?』


「勿論拒否権なんて存在しません。それでは今回はこれで失礼いたします」


『ちょっ! ちょっと待ちたまーー』


 ーーピッーー。


 携帯電話の電源を切り、後ろを振り返る。流石の美夜もここまでの事を想像していなかったのであろう。いつもの冷静な目が驚きに満ちている。私は次にネット内の自分の口座からある場所に振り込んだ。すると、返信が返ってきた。


 ーー『許可』ーー。


 私の中で全ての準備が整った。その時間ほんの数十分。


「さてと、美夜。行きましょうか」


「行くって何処に……」


「何処にって、カズ君の所に決まってるでしょ?」


 部屋から出て玄関まで来ると、目の前に戦闘ヘリコプターが縄ばしごを下ろして待機していた。


 ーーさて、私のカズ君に酷い事したあいつらはこれからの人生を平和には生きられないようにしてあげる♪ ーー








さて、朝からの更新も出来ました……というか、美羽姉が何だか恐ろしく感じます。これから一体どうなるのでしょう? それについては次回お楽しみに!

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