第二十八話 試験終了
あれから晩ご飯をみんなで食べて今回はお開きにした。泊まっていっても良かったけど、美羽姉が許可をしてくれなかった。
そんなこんなで中間試験が開始され、試験は一週間続いた。毎日机に向かって試験問題を解き続ける。そして一週間後ーー。
「終わった~!!! 和馬! 終わったぞ、自由だー!!!!!」
信三が試験が終わった瞬間に僕の机までやってきて涙を流しながら叫んでいた。僕からしたらそこまでの事なのかと思ってしまう。だが、周りのみんなもそんな感じで友達同士で終わった喜びを分かち合っている。すると、教室の扉が開かれ、千景が入ってきた。
「和馬和馬っ! あたし何とか頑張ってみたよ? 先生に教えてもらって本当に良かった……ぐすんっ」
「えっ!? いやいや、急に来て泣かないでって。もう終わったんだからこの話は終わり、終了、オッケー?」
千景と信三に話を終わらせるように促す。試験だけなので今日はもう後は帰るだけである。土日を挟んで来週からまた授業が始まる。そこから一ヶ月後の定期試験が終われば、高校生初の夏休み。僕としても実に喜ばしい。帰りの支度をして信三と下駄箱の方に向かう。千景はあの後、原野先生に呼ばれてどこかに言ってしまった。
「和馬! 久々に帰りどっかに寄っていかないか? 例えばゲーセンとか!」
「おぉ! それいいな、なら行くかゲーセン」
この時、僕は信三と一緒に帰っておいて本当に良かったと感じている。それは家に帰ってから初めて気がついた。
*****
試験が終わった後だというのに私は生徒会室で杏ちゃんと一緒に書類整理をしている。本当はカズ君に今すぐに会いに行きたいんだけど、杏ちゃんがなかなか許可してくれない。今回ばかりは先に書類の方を片付けて言って欲しいようだった。
「杏ちゃん、この間の資料はどうした?」
「それ、この間ではなく先月の奴ですからとっくに終わってます。私が今やって欲しいのは目の前にある書類の山を今日中に片付けて下さい」
「は~い。…………カズ君と打ち上げとか行きたかった」
「何か言いましたか?」
「…………何でもなーい」
私は試験中に貯まってしまった学園関係の書類整理をすることにした。でも、流石にいつもと違って大分貯まっていて机の上に収まりきらない量だ。こういうつまらない事をする時は監視カメラでカズ君の見ながらの方が仕事が捗るはず。
机の引き出しにしまっていた学園専用の監視カメラモニターを出すリモコンを足りだし、天井に向けてボタンを押す。すると、わざとらしく飾ったあったシャンデリアが上に上がっていき、その代わりに大量のモニターが上から降りてきた。そこには校舎裏から屋上のこの場所に至るまで、学園のありとあらゆる映像が映し出されていた。
その中からカズ君が映ってるモニターだけピックアップする。ちょうど信三と今からゲームセンターに行くようだ。学園の坂を下ってから徒歩十分くらいかかる距離。まあ遅くはならないだろうと思うがなんだか心配になってきた。私は仕事も忘れてモニターばっかり見ていたからか杏ちゃんにきつく注意された。
「生徒会長! 仕事中にそれを見るのは構いませんが手を止めないで下さい。次にモニター見ながら仕事が止まっていたら……モニター全部撤去しますからね」
「うー……分かった」
渋々承諾。杏ちゃんはやる時はやる子だから本当に恐ろしい。でも、私のことを理解してくれる唯一無二の親友。勿論、カズ君の事だってたまに雑になるけど聞いてくれる。そんな事を思いながら微笑んでいると気づいたらしく、自分の仕事を止めてこっちに来た。
「そこまで面倒なら、やる気になるような事を教えてあげましょうか生徒会長?」
「ん? なになに? どんな事?」
「書類整理も面倒ですから今ここで、今日中に仕事を終わらせて今度の休みに和馬君とデートでもしてくれば良いじゃないですか?」
「………………はっ! そ、そうか。その手があったか……」
「どうですか? 少しはやる気が出ましたか、生徒会長……いや、美羽」
「うん♪ すっごくやる気出た! ありがとね♪」
杏ちゃんからのアドバイスを聞いて仕事に励む私。これなら今日中に仕事を片付けられて、今度の休みにカズ君をデートに誘えそう。そこからのペースはいつもの三倍以上早かった。
「カズ君とデートって考えると……捗る~♪ ちょー捗る~♪ …………はい! 今日の仕事おしまい♪ これでいいでしょ? 杏ちゃん」
僅か十数分程度で机に山のようにあった書類も綺麗さっぱり処理できていた。
「どれどれ? ……うん、本当にちゃんと終わらせてるみたいですね。これなら今日はもう帰りましょうか」
「やったー!!」
杏ちゃんの許可も出たようなので帰りの準備をしながらカズ君が映っているモニターを眺める。カズ君がゲームセンターに入ったところだった。ならば帰りにカズ君の所に行こうかなと考えていると別のモニターが視界に入った。
映像には私達の家が映し出されていて、その中に何人かの大柄な男達が家から出て行くのが見受けられた。
今回から第四章となります。中間試験も終わり、後は期末を残すのみとなりましたが和馬達の家に不審な男が侵入したようですね。美羽姉はこれをどうするか! が見物ですね笑。
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